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14−18 憤るマティアスとカイン
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「な、何ですって?今……アリアドネ様はパンとお水を頂いた、と仰ったのですか?」
マティアスが声を震わせながら尋ねた。
「はい、そうですが……?」
「何故、そのような状況に置かれているのですか?アリアドネ様は仮にも国王陛下から招待を受けたお方ではありませんか?」
カインは今のアリアドネの状況にどうしても納得がいかなかった。
「そ、それは……」
2人に問い詰められて顔を伏せるアリアドネ。
まさか離宮にいるメイド達に嫌がらせを受けているとは言い出せなかった。
「アリアドネ様。どうしてもお答えして頂けないのであれば、エルウィン様に報告をさせて頂きますが……宜しいでしょうか?」
汚い手段だとは思ったが、マティアスはアリアドネに告げた。
「エルウィン様に……?そ、それだけはどうかおやめ下さい!」
(ただでさえ、エルウィンは離宮へ来る馬車の中で私たちを案内した男性に剣をむけようとしたわ。それがメイドの人達から嫌がらせを受けていると知られれば……どんな目に彼女たちが遭わされるか…!)
アリアドネが必死で懇願する様子に、マティアスはため息をついた。
「分かりました。それではエルウィン様に報告するのはやめます。ただし、アリアドネ様が説明して下さるのであれば……ですが」
「はい……。全てお話致します……」
観念したアリアドネは正直に話すことにした――。
**
「な、何ですって?そんなことを言われたのですか?!」
カインはアリアドネが言われた陰口の内容を聞いて驚いた。
「なんて、最低なんだ……!メイドという立場にありながら、招かれた客人に対してそのような陰口を叩くなんて……!」
マティアスは必死で怒りを抑えている。
「あ、あの……、どうぞお願いですから今の話はエルウィン様には内緒にしておいて頂けないでしょうか?もしあの方のお耳に入れば、ここにいるメイドの方々がどんな目に遭うか分かりませんので」
頭を何度も下げて頼み込んでくるアリアドネの様子に、カインとマティアスは顔を見合わせた――。
****
「全く……困ったことになったな」
アリアドネの部屋を後にし、ダイニングルームへ向かいながらマティアスがため息を付いた。
「ええ、本当にその通りです。ですが、一体何故この離宮のメイド達はアリアドネ様に嫌がらせをするのでしょうか?」
カインはどうしても理由が分からなかった。
「さぁな……とにかく黒パンと水だけなんてあまりに酷すぎる。早く食事をアリアドネ様に届けよう」
「はい、そうですね」
2人が部屋を出てきたのは、満足のいく食事を与えられなかったアリアドネの為に自分たちに提供された食事を届ける為だったのだ。
「それにしても、誰にも言わないで欲しいなんて……どうしてアリアドネ様は甘んじて受け入れようとなさるんだ……?」
カインは悔しそうに唇を噛んだ。
「そうだな、せめてここのメイド達がアリアドネ様に酷いことをした証拠でもあれば……」
マティアスが言いかけた時、廊下の先で女性達の話し声が聞こえてきた。
「フフフ……うまくいってるわね」
「ええ、ベアトリス様も満足して下さるわ」
「大体、妾腹の娘のくせに生意気なのよ」
「そうよね、元は同じ立場のメイドなのに」
「これからも嫌がらせ続けましょう」
この言葉に、マティアスとカインが素早く反応した――。
マティアスが声を震わせながら尋ねた。
「はい、そうですが……?」
「何故、そのような状況に置かれているのですか?アリアドネ様は仮にも国王陛下から招待を受けたお方ではありませんか?」
カインは今のアリアドネの状況にどうしても納得がいかなかった。
「そ、それは……」
2人に問い詰められて顔を伏せるアリアドネ。
まさか離宮にいるメイド達に嫌がらせを受けているとは言い出せなかった。
「アリアドネ様。どうしてもお答えして頂けないのであれば、エルウィン様に報告をさせて頂きますが……宜しいでしょうか?」
汚い手段だとは思ったが、マティアスはアリアドネに告げた。
「エルウィン様に……?そ、それだけはどうかおやめ下さい!」
(ただでさえ、エルウィンは離宮へ来る馬車の中で私たちを案内した男性に剣をむけようとしたわ。それがメイドの人達から嫌がらせを受けていると知られれば……どんな目に彼女たちが遭わされるか…!)
アリアドネが必死で懇願する様子に、マティアスはため息をついた。
「分かりました。それではエルウィン様に報告するのはやめます。ただし、アリアドネ様が説明して下さるのであれば……ですが」
「はい……。全てお話致します……」
観念したアリアドネは正直に話すことにした――。
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「な、何ですって?そんなことを言われたのですか?!」
カインはアリアドネが言われた陰口の内容を聞いて驚いた。
「なんて、最低なんだ……!メイドという立場にありながら、招かれた客人に対してそのような陰口を叩くなんて……!」
マティアスは必死で怒りを抑えている。
「あ、あの……、どうぞお願いですから今の話はエルウィン様には内緒にしておいて頂けないでしょうか?もしあの方のお耳に入れば、ここにいるメイドの方々がどんな目に遭うか分かりませんので」
頭を何度も下げて頼み込んでくるアリアドネの様子に、カインとマティアスは顔を見合わせた――。
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「全く……困ったことになったな」
アリアドネの部屋を後にし、ダイニングルームへ向かいながらマティアスがため息を付いた。
「ええ、本当にその通りです。ですが、一体何故この離宮のメイド達はアリアドネ様に嫌がらせをするのでしょうか?」
カインはどうしても理由が分からなかった。
「さぁな……とにかく黒パンと水だけなんてあまりに酷すぎる。早く食事をアリアドネ様に届けよう」
「はい、そうですね」
2人が部屋を出てきたのは、満足のいく食事を与えられなかったアリアドネの為に自分たちに提供された食事を届ける為だったのだ。
「それにしても、誰にも言わないで欲しいなんて……どうしてアリアドネ様は甘んじて受け入れようとなさるんだ……?」
カインは悔しそうに唇を噛んだ。
「そうだな、せめてここのメイド達がアリアドネ様に酷いことをした証拠でもあれば……」
マティアスが言いかけた時、廊下の先で女性達の話し声が聞こえてきた。
「フフフ……うまくいってるわね」
「ええ、ベアトリス様も満足して下さるわ」
「大体、妾腹の娘のくせに生意気なのよ」
「そうよね、元は同じ立場のメイドなのに」
「これからも嫌がらせ続けましょう」
この言葉に、マティアスとカインが素早く反応した――。
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