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14−26 晩餐会後の揉めごと
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エルウィンがアリアドネを置き去りに、林へ走り去った頃――。
ベアトリスの騒ぎのせいで、国王主催の晩餐会は早めにお開きになり、ステニウス伯爵夫妻は気まずい席から解放されていた。
だがしかし、滞在先の客室ではちょっとした騒ぎになっていた……。
「な、何ですってっ?!辺境伯がこの城に来ているですってっ?!」
ミレーユの金切り声が客室内に響き渡る。
…
「ああ、そうだ……。全く驚いたよ。陛下も人が悪すぎる……辺境伯が来ていることが分かっていれば、わざわざ来ることも無かったのに……」
ステニウス伯爵は忌々し気に腕を組んだ。
「ほ、本当に晩餐会の間……生きた心地がしなかったわ。周囲の出席者たちからは白い目で見られるし……」
マルゴットは両肩を抱えてブルブル震え……次に伯爵を鋭い口調で詰った。
「私がこんな惨めな目に遭ったのも……ハロルド!全て貴方の責任よっ!」
マルゴットが伯爵を指さした。
「な、何故だ?!何故私が責めなければならないのだ?!」
「そうよ!元はと言えばお父様が卑しいメイドに手を出してアリアドネが産まれてしまったせいよっ!お父様のせいで私たちは恥をかかされているのよ!」
ミレーユがマルゴットと一緒になって伯爵を詰り始めた。
「何を言う、ミレーユッ!元はと言えば陛下がお前の夫候補に辺境伯を名指ししてきたのはお前が男に奔放過ぎて嫁の貰い手が何処も無かったからだろう?!」
伯爵が怒りで顔を赤らめながらミレーユを怒鳴りつけた。
「な、何ですって?!酷いわ!お父様っ!」
侮辱されたミレーユも黙ってはいられない。
「黙れっ!自分好みの男と見れば、誰でも彼でも簡単に股を開きおって!このあばずれめ!」
「酷い!酷すぎるわっ!あばずれなんて!!」
ついにミレーユは泣き崩れてしまった。
「いい加減にして頂戴!元はと言えばミレーユがこんなに性に奔放になった全ての原因は貴方の血を引いているからでしょう?!」
ヒステリックにマルゴットは叫んだ。
「黙れっ!2人とも!!と、とにかく陛下には辺境伯に差し出した娘はアリアドネだとバレてしまっているのだっ!もう明日にはここを引き払って屋敷に帰るぞ!」
「「いいえ!帰りません!!」
するとマルゴットとミレーユが同時に叫んだ。
「な、何だと?お前達2人して一体何を言うのだ?」
伯爵は信じられない気持ちで妻と娘を見た。
「私は帰るわけにはいきません!この城で開催される夜会に出席して、夫になってくれそうな男性を見つけなければならないのですから!」
「ええ、そうよ!もう周辺貴族達はミレーユの噂が伝わって、誰も妻に娶ろうと思ってくれる男性がいないのよ?貴方はこのまま娘の嫁ぎ先が無くなっても構わないと言うのですか?!」
「お、お前達……」
(晩餐会に参加した貴族たちは全て名門の家紋を持っている。我がステニウス家の話が広がるのはあっという間だろう。そんな状況でミレーユの縁談相手が現れると思っているのか?!)
妻と娘が城で開催される夜会を未だに期待している事実を知った伯爵はただ、呆れるばかりであった――。
ベアトリスの騒ぎのせいで、国王主催の晩餐会は早めにお開きになり、ステニウス伯爵夫妻は気まずい席から解放されていた。
だがしかし、滞在先の客室ではちょっとした騒ぎになっていた……。
「な、何ですってっ?!辺境伯がこの城に来ているですってっ?!」
ミレーユの金切り声が客室内に響き渡る。
…
「ああ、そうだ……。全く驚いたよ。陛下も人が悪すぎる……辺境伯が来ていることが分かっていれば、わざわざ来ることも無かったのに……」
ステニウス伯爵は忌々し気に腕を組んだ。
「ほ、本当に晩餐会の間……生きた心地がしなかったわ。周囲の出席者たちからは白い目で見られるし……」
マルゴットは両肩を抱えてブルブル震え……次に伯爵を鋭い口調で詰った。
「私がこんな惨めな目に遭ったのも……ハロルド!全て貴方の責任よっ!」
マルゴットが伯爵を指さした。
「な、何故だ?!何故私が責めなければならないのだ?!」
「そうよ!元はと言えばお父様が卑しいメイドに手を出してアリアドネが産まれてしまったせいよっ!お父様のせいで私たちは恥をかかされているのよ!」
ミレーユがマルゴットと一緒になって伯爵を詰り始めた。
「何を言う、ミレーユッ!元はと言えば陛下がお前の夫候補に辺境伯を名指ししてきたのはお前が男に奔放過ぎて嫁の貰い手が何処も無かったからだろう?!」
伯爵が怒りで顔を赤らめながらミレーユを怒鳴りつけた。
「な、何ですって?!酷いわ!お父様っ!」
侮辱されたミレーユも黙ってはいられない。
「黙れっ!自分好みの男と見れば、誰でも彼でも簡単に股を開きおって!このあばずれめ!」
「酷い!酷すぎるわっ!あばずれなんて!!」
ついにミレーユは泣き崩れてしまった。
「いい加減にして頂戴!元はと言えばミレーユがこんなに性に奔放になった全ての原因は貴方の血を引いているからでしょう?!」
ヒステリックにマルゴットは叫んだ。
「黙れっ!2人とも!!と、とにかく陛下には辺境伯に差し出した娘はアリアドネだとバレてしまっているのだっ!もう明日にはここを引き払って屋敷に帰るぞ!」
「「いいえ!帰りません!!」
するとマルゴットとミレーユが同時に叫んだ。
「な、何だと?お前達2人して一体何を言うのだ?」
伯爵は信じられない気持ちで妻と娘を見た。
「私は帰るわけにはいきません!この城で開催される夜会に出席して、夫になってくれそうな男性を見つけなければならないのですから!」
「ええ、そうよ!もう周辺貴族達はミレーユの噂が伝わって、誰も妻に娶ろうと思ってくれる男性がいないのよ?貴方はこのまま娘の嫁ぎ先が無くなっても構わないと言うのですか?!」
「お、お前達……」
(晩餐会に参加した貴族たちは全て名門の家紋を持っている。我がステニウス家の話が広がるのはあっという間だろう。そんな状況でミレーユの縁談相手が現れると思っているのか?!)
妻と娘が城で開催される夜会を未だに期待している事実を知った伯爵はただ、呆れるばかりであった――。
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