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18-5 城主の秘密
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「これも駄目だ……!」
シュミットは城から持ってきた全ての解毒薬を試してみたが、一向にエルウィンの体調は回復しない。
意識を無くたエルウィンは、ぐったりしたまま弱い呼吸を続けるばかりだった。
「そ、そんな……!」
アリアドネは目に涙をためて震えている。
「大丈夫です、アリアドネ様。カルタン族の者は猛毒だと話しておりましたがエルウィン様は幼少期より、ずっと毒を摂取し続けているのです。普通の者ならとっくに命を落としているような毒であろうとも……決して死ぬことなどあり得ません!」
シュミットはきっぱりと言い切った。
「ああ、そうだ。シュミットの言う通りだ。いいか?アイゼンシュタット家が何故代々辺境伯として、この国の砦となっているか分かるか?」
スティーブがアリアドネに語り始めた。
「い、いいえ……分かりません……」
首を振るアリアドネ。
「それは、アイゼンシュタットの正当な血を引き継ぐ者達には特別な力が宿っているからだ」
「特別な力……?」
「そうだ。普通の人間には無い、特別なオーラを持っているのさ。何しろ初代のアイゼンシュタット城の城主はドラゴンの血を引いていたと言われているらしいぞ」
「え……?そ、その話は本当なのですか……?」
「そうですよ。アリアドネ様。しかもそのオーラはアイゼンシュタットの次期後継者しか引き継ぐことが出来ない特別な力なのです」
シュミットはエルウィンの治療を続けながらアリアドネに語った。
「そ、そんなことが……」
「だから安心しろアリアドネ。大将は強い。これくらいのことで死ぬような男じゃないさ」
スティーブはアリアドネを安心させる為に笑みを浮かべた。
「は、はい……」
アリアドネは神妙な面持ちで頷き、エルウィンを見つめた。
しかし、予断を許さない状況であるのは確かであった。
(このままでは非常にまずい……。後3日も持たないかもしれない。何としても毒の種類を解析し、一刻も早く解毒薬を作らなければエルウィン様の命は……!)
スティーブも同じことを考えていた。
(くそっ!早いとこ解毒薬を与えなければ……本当に大将は死んでしまうかもしれない……!)
「エルウィン様……どうか頑張って下さい……」
アリアドネはエルウィンの枕元にひざまずき、汗を拭っている。
「とりあえず、エルウィン様の身体から引き抜いた矢の毒の成分を調べてみるしかないな。スティーブ、弓矢を持って大至急城に戻ってくれ。急いで毒の成分を調べさせるんだ」
「ああ、分かった!任せろ!」
スティーブはテーブルの上に置いておいた2本の弓矢を握りしめると、宿屋を飛び出して行った。
「アリアドネ様。毒のことはスティーブに任せて、我々でエルウィン様の看病を続けましょう」
「はい、シュミット様」
頷くアリアドネ。
彼らはまだ知らない。
ある者達が『アイデン』目指して近づいてきていることを――。
シュミットは城から持ってきた全ての解毒薬を試してみたが、一向にエルウィンの体調は回復しない。
意識を無くたエルウィンは、ぐったりしたまま弱い呼吸を続けるばかりだった。
「そ、そんな……!」
アリアドネは目に涙をためて震えている。
「大丈夫です、アリアドネ様。カルタン族の者は猛毒だと話しておりましたがエルウィン様は幼少期より、ずっと毒を摂取し続けているのです。普通の者ならとっくに命を落としているような毒であろうとも……決して死ぬことなどあり得ません!」
シュミットはきっぱりと言い切った。
「ああ、そうだ。シュミットの言う通りだ。いいか?アイゼンシュタット家が何故代々辺境伯として、この国の砦となっているか分かるか?」
スティーブがアリアドネに語り始めた。
「い、いいえ……分かりません……」
首を振るアリアドネ。
「それは、アイゼンシュタットの正当な血を引き継ぐ者達には特別な力が宿っているからだ」
「特別な力……?」
「そうだ。普通の人間には無い、特別なオーラを持っているのさ。何しろ初代のアイゼンシュタット城の城主はドラゴンの血を引いていたと言われているらしいぞ」
「え……?そ、その話は本当なのですか……?」
「そうですよ。アリアドネ様。しかもそのオーラはアイゼンシュタットの次期後継者しか引き継ぐことが出来ない特別な力なのです」
シュミットはエルウィンの治療を続けながらアリアドネに語った。
「そ、そんなことが……」
「だから安心しろアリアドネ。大将は強い。これくらいのことで死ぬような男じゃないさ」
スティーブはアリアドネを安心させる為に笑みを浮かべた。
「は、はい……」
アリアドネは神妙な面持ちで頷き、エルウィンを見つめた。
しかし、予断を許さない状況であるのは確かであった。
(このままでは非常にまずい……。後3日も持たないかもしれない。何としても毒の種類を解析し、一刻も早く解毒薬を作らなければエルウィン様の命は……!)
スティーブも同じことを考えていた。
(くそっ!早いとこ解毒薬を与えなければ……本当に大将は死んでしまうかもしれない……!)
「エルウィン様……どうか頑張って下さい……」
アリアドネはエルウィンの枕元にひざまずき、汗を拭っている。
「とりあえず、エルウィン様の身体から引き抜いた矢の毒の成分を調べてみるしかないな。スティーブ、弓矢を持って大至急城に戻ってくれ。急いで毒の成分を調べさせるんだ」
「ああ、分かった!任せろ!」
スティーブはテーブルの上に置いておいた2本の弓矢を握りしめると、宿屋を飛び出して行った。
「アリアドネ様。毒のことはスティーブに任せて、我々でエルウィン様の看病を続けましょう」
「はい、シュミット様」
頷くアリアドネ。
彼らはまだ知らない。
ある者達が『アイデン』目指して近づいてきていることを――。
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