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19-2 勘違いさせる言葉
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「良かった……エルウィン様。ようやく目が覚めたのですね?」
アリアドネが声をつまらせながらエルウィンを見つめている。
「え……?ようやく……?」
首を傾げるエルウィンにシュミットとスティーブは声を掛けた。
「それでは邪魔者はいなくなりますから」
「しっかり気持ちを伝えるんですぜ。大将」
「は?何を言ってるんだ?お前達は」
2人の言葉の意味が未だによく理解出来ていないエルウィン。
「アリアドネ様、それでは後のことは宜しくお願いしますね」
「大将の面倒をみてやってくれよな?」
「は、はい」
シュミットとスティーブはアリアドネに声を掛けると、部屋を出て行ってしまった。
バタン……
扉が閉ざされると、室内にはアリアドネとエルウィンの2人きりとなってしまった。
「あ、あの……エルウィン様……」
未だに扉の前に立つアリアドネにエルウィンは手招きした。
「何してるんだ?そんなところに立っていないで、こっちへ来たらどうだ?」
「はい……」
アリアドネは頷くと、オドオドした足取りでエルウィンがいるベッドの直ぐ側までやってきた。
「アリアドネ……」
「は、はい!」
ビクリと肩を上げて返事をする。その姿にエルウィンは眉を潜めた。
(何故そんなに怯えている?も、もしかして……俺がいきなり告白して抱きしめてしまったからか?どうして俺はいつもいつも考えなしに行動してしまうんだ……)
エルウィンは改めて自分の突発的な行動を後悔し、自分自身に嫌気を感じていた。
「あ……い、いや。その……い、今何時だ?どうやらずっと眠ってしまったようだからな。時間の感覚がさっぱり分からないんだ」
ゴホンと咳払いしながらアリアドネに尋ねた。
「今ですか?18時半になるところです」
「え?な、何だって?そんなに長い間俺は眠っていたのかっ?!」
今迄部屋に差し込む光は朝焼けの光だとばかり思い込んでいたエルウィンは時間を聞いて驚いた。
(あり得ない……戦場では三日三晩寝なくても平気なのに。その俺が半日以上も眠っていたとは……!)
「はい……エルウィン様。本当に申し訳ございませんでした」
再び頭を下げてきたアリアドネ。
「何でそんなに謝ってばかりなんだ?」
「それは背中の傷が開いてしまったのは、私が上に乗ったまま……エルウィン様が……そ、その……ベッドに倒れてしまったからです」
アリアドネの言葉にエルウィンは息を呑んだ。
(そうか!あの時のあれが原因で俺は……!)
「だ、だからと言って、アリアドネのせいでは無いだろう?あれは俺が勝手に……そ、そのあんな真似をしたから……であって……。い、いや。そもそも俺は何でこんなに長い時間眠っていたんだ?」
「はい。お医者様がエルウィン様を安静にさせる為に、かなり強力な睡眠薬を使われたからだと思います」
「何だって?医者が……?だから俺はこんなに長い時間眠ってしまっていたのか?」
「はい、そうです。お加減はいかがですか?」
アリアドネは心配そうにエルウィンに尋ねて来た。
「ああ、お陰で殆ど痛まない。もう大丈夫だ」
ほっとした様子でアリアドネは笑みを浮かべた。
「それは良かったです……。ところでエルウィン様、何か私にして欲しいこととか……ありますか?私に出来る事でしたら精一杯務めますので」
しかし、エルウィンはアリアドネの言葉を聞いていなかった。ただ黙ってメイド服姿のアリアドネをじっと見ていたのだ。
(またメイド服なんか着て……お前はメイドでは無いと何度も言っているのに……)
「あの……エルウィン様?」
エルウィンが何も言わないのでアリアドネは恐る恐る声を掛けた。
「アリアドネ……一体いつまでそんなメイド服を着ているのだ?」
「え?」
「そんなもの、さっさと脱いでしまえ。お前にはもっと別にふさわしい格好があるだろう?」
ため息交じりにエルウィンはアリアドネに言葉を掛けた。すると何故か瞬時に顔を真っ赤にさせるアリアドネ。
「?」
しかし、エルウィンは何故アリアドネが顔を赤く染めたのか……その理由にまだ気づいてはいなかった――。
アリアドネが声をつまらせながらエルウィンを見つめている。
「え……?ようやく……?」
首を傾げるエルウィンにシュミットとスティーブは声を掛けた。
「それでは邪魔者はいなくなりますから」
「しっかり気持ちを伝えるんですぜ。大将」
「は?何を言ってるんだ?お前達は」
2人の言葉の意味が未だによく理解出来ていないエルウィン。
「アリアドネ様、それでは後のことは宜しくお願いしますね」
「大将の面倒をみてやってくれよな?」
「は、はい」
シュミットとスティーブはアリアドネに声を掛けると、部屋を出て行ってしまった。
バタン……
扉が閉ざされると、室内にはアリアドネとエルウィンの2人きりとなってしまった。
「あ、あの……エルウィン様……」
未だに扉の前に立つアリアドネにエルウィンは手招きした。
「何してるんだ?そんなところに立っていないで、こっちへ来たらどうだ?」
「はい……」
アリアドネは頷くと、オドオドした足取りでエルウィンがいるベッドの直ぐ側までやってきた。
「アリアドネ……」
「は、はい!」
ビクリと肩を上げて返事をする。その姿にエルウィンは眉を潜めた。
(何故そんなに怯えている?も、もしかして……俺がいきなり告白して抱きしめてしまったからか?どうして俺はいつもいつも考えなしに行動してしまうんだ……)
エルウィンは改めて自分の突発的な行動を後悔し、自分自身に嫌気を感じていた。
「あ……い、いや。その……い、今何時だ?どうやらずっと眠ってしまったようだからな。時間の感覚がさっぱり分からないんだ」
ゴホンと咳払いしながらアリアドネに尋ねた。
「今ですか?18時半になるところです」
「え?な、何だって?そんなに長い間俺は眠っていたのかっ?!」
今迄部屋に差し込む光は朝焼けの光だとばかり思い込んでいたエルウィンは時間を聞いて驚いた。
(あり得ない……戦場では三日三晩寝なくても平気なのに。その俺が半日以上も眠っていたとは……!)
「はい……エルウィン様。本当に申し訳ございませんでした」
再び頭を下げてきたアリアドネ。
「何でそんなに謝ってばかりなんだ?」
「それは背中の傷が開いてしまったのは、私が上に乗ったまま……エルウィン様が……そ、その……ベッドに倒れてしまったからです」
アリアドネの言葉にエルウィンは息を呑んだ。
(そうか!あの時のあれが原因で俺は……!)
「だ、だからと言って、アリアドネのせいでは無いだろう?あれは俺が勝手に……そ、そのあんな真似をしたから……であって……。い、いや。そもそも俺は何でこんなに長い時間眠っていたんだ?」
「はい。お医者様がエルウィン様を安静にさせる為に、かなり強力な睡眠薬を使われたからだと思います」
「何だって?医者が……?だから俺はこんなに長い時間眠ってしまっていたのか?」
「はい、そうです。お加減はいかがですか?」
アリアドネは心配そうにエルウィンに尋ねて来た。
「ああ、お陰で殆ど痛まない。もう大丈夫だ」
ほっとした様子でアリアドネは笑みを浮かべた。
「それは良かったです……。ところでエルウィン様、何か私にして欲しいこととか……ありますか?私に出来る事でしたら精一杯務めますので」
しかし、エルウィンはアリアドネの言葉を聞いていなかった。ただ黙ってメイド服姿のアリアドネをじっと見ていたのだ。
(またメイド服なんか着て……お前はメイドでは無いと何度も言っているのに……)
「あの……エルウィン様?」
エルウィンが何も言わないのでアリアドネは恐る恐る声を掛けた。
「アリアドネ……一体いつまでそんなメイド服を着ているのだ?」
「え?」
「そんなもの、さっさと脱いでしまえ。お前にはもっと別にふさわしい格好があるだろう?」
ため息交じりにエルウィンはアリアドネに言葉を掛けた。すると何故か瞬時に顔を真っ赤にさせるアリアドネ。
「?」
しかし、エルウィンは何故アリアドネが顔を赤く染めたのか……その理由にまだ気づいてはいなかった――。
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