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第11話
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迎えたガーデンパーティー当日。
通常のパーティーよりも衣装の色合いは黒やグレイ等の暗めの色や血の色を思わせる赤が多い印象である。
それでも仮装の内容によっては淡いパステルピンクや水色などの衣装を身に着けている者だっている。
アドリアンにエスコートされながらフローレンスも会場である学園の庭園に姿を現す。
事前の打ち合わせ通り、アドリアンはベルベット素材のジャケットとスラックスにプラスして黒のマントを羽織り、口元は小さめの牙を覗かせている。
パーティー会場で飲食することがあるので、あまり長い牙だとその時に支障が出る為、小さめだ。
髪型と眼鏡はいつも通りなので頭から下は完璧だが、顔は美のイメージがあるヴァンパイアから離れている。
一方、フローレンスの方は黒のレースやリボン、フリルを多用したゴシックで退廃的なドレスを着用し、黒の総レースの手袋を嵌め、黒のシンプルな黒いリボンで全体を巻き毛にした髪をハープアップにしている。
いつものフローレンスは健康的に輝くような色白だが、今日はアンデッドということで青ざめたかのような顔色の化粧をし、血色を悪く見せている。
二人は生徒会所属の為、生徒会仲間がいるところに向かう。
「御機嫌よう、メラール会長とフローレンス様。お二人の仮装はヴァンパイアとアンデッドかしら?」
「カトリーヌ様、御機嫌よう。そうですわ。自分でも中々いい感じに仮装出来たのではないかと思っておりますの。カトリーヌ様のお連れ様の方はカトリーヌ様の婚約者のステファン・ダカン様で合っておりますか?」
フローレンスとカトリーヌは生徒会で知り合う前は、お互い成績順位の表で名前だけ知っている者同士だった。
フローレンスはこのようなパーティー系の行事には、婚約者不在の為、あまり頻繁には参加しておらず、実はカトリーヌの婚約者を見たのはこれが初めてだった。
「そうですわ。彼はステファン・ダカン様。私の婚約者で、ダカン伯爵家の長男ですわ。ステファン様、ご存知とは思いますが、此方はアドリアン・メラール様とフローレンス・アンベール様。私の生徒会仲間ですの」
「メラール様とアンベール様。カトリーヌから紹介に預かりましたステファン・ダカンと申します。お二人のことは会長と副会長として存じておりますが、こうして私的に交流するのは初めてですね。カトリーヌ共々よろしくお願いします」
「ダカン様、ご挨拶ありがとうございます。アドリアン・メラールと申します。カトリーヌ嬢にはいつも生徒会活動で力をお借りしています。こちらこそよろしくお願いします」
「ダカン様、初めまして。フローレンス・アンベールですわ。カトリーヌ様には生徒会メンバーの中で令嬢同士ということで仲良くさせて頂いておりますの。よろしくお願いします。お二人の今日の仮装は魔法使いと魔女ですの?」
カトリーヌは赤いドレスに黒のマントを羽織り、魔女と言えばイメージされる三角の帽子を被っており、ステファンは黒の礼装に黒いマントを羽織り、カトリーヌとお揃いの三角の帽子を被っている。
「ええ。せっかくですし、お揃いにしたいと思いまして」
アドリアンとフローレンスが、カトリーヌとステファンのところで和やかに談笑していたところに、ユージェニー王女殿下がやって来た。
通常のパーティーよりも衣装の色合いは黒やグレイ等の暗めの色や血の色を思わせる赤が多い印象である。
それでも仮装の内容によっては淡いパステルピンクや水色などの衣装を身に着けている者だっている。
アドリアンにエスコートされながらフローレンスも会場である学園の庭園に姿を現す。
事前の打ち合わせ通り、アドリアンはベルベット素材のジャケットとスラックスにプラスして黒のマントを羽織り、口元は小さめの牙を覗かせている。
パーティー会場で飲食することがあるので、あまり長い牙だとその時に支障が出る為、小さめだ。
髪型と眼鏡はいつも通りなので頭から下は完璧だが、顔は美のイメージがあるヴァンパイアから離れている。
一方、フローレンスの方は黒のレースやリボン、フリルを多用したゴシックで退廃的なドレスを着用し、黒の総レースの手袋を嵌め、黒のシンプルな黒いリボンで全体を巻き毛にした髪をハープアップにしている。
いつものフローレンスは健康的に輝くような色白だが、今日はアンデッドということで青ざめたかのような顔色の化粧をし、血色を悪く見せている。
二人は生徒会所属の為、生徒会仲間がいるところに向かう。
「御機嫌よう、メラール会長とフローレンス様。お二人の仮装はヴァンパイアとアンデッドかしら?」
「カトリーヌ様、御機嫌よう。そうですわ。自分でも中々いい感じに仮装出来たのではないかと思っておりますの。カトリーヌ様のお連れ様の方はカトリーヌ様の婚約者のステファン・ダカン様で合っておりますか?」
フローレンスとカトリーヌは生徒会で知り合う前は、お互い成績順位の表で名前だけ知っている者同士だった。
フローレンスはこのようなパーティー系の行事には、婚約者不在の為、あまり頻繁には参加しておらず、実はカトリーヌの婚約者を見たのはこれが初めてだった。
「そうですわ。彼はステファン・ダカン様。私の婚約者で、ダカン伯爵家の長男ですわ。ステファン様、ご存知とは思いますが、此方はアドリアン・メラール様とフローレンス・アンベール様。私の生徒会仲間ですの」
「メラール様とアンベール様。カトリーヌから紹介に預かりましたステファン・ダカンと申します。お二人のことは会長と副会長として存じておりますが、こうして私的に交流するのは初めてですね。カトリーヌ共々よろしくお願いします」
「ダカン様、ご挨拶ありがとうございます。アドリアン・メラールと申します。カトリーヌ嬢にはいつも生徒会活動で力をお借りしています。こちらこそよろしくお願いします」
「ダカン様、初めまして。フローレンス・アンベールですわ。カトリーヌ様には生徒会メンバーの中で令嬢同士ということで仲良くさせて頂いておりますの。よろしくお願いします。お二人の今日の仮装は魔法使いと魔女ですの?」
カトリーヌは赤いドレスに黒のマントを羽織り、魔女と言えばイメージされる三角の帽子を被っており、ステファンは黒の礼装に黒いマントを羽織り、カトリーヌとお揃いの三角の帽子を被っている。
「ええ。せっかくですし、お揃いにしたいと思いまして」
アドリアンとフローレンスが、カトリーヌとステファンのところで和やかに談笑していたところに、ユージェニー王女殿下がやって来た。
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