鬼の副長は、記憶を失くした人斬りを手放せない~この身が刃だったとしても、あなたを守ると誓った~

幕末を思わせる動乱の都、朱京。

白義の旗を掲げる武装組織、壬月組の副長、黛 歳親は、雨の路地裏で血まみれの青年を拾う。

青年は名も、過去も、刀の握り方さえ覚えていなかった。

歳親は彼に仮の名を与える。

朱鷺守 縁。

怯え、震え、血の匂いに青ざめる縁。
だがその身体には、記憶を失ってもなお消えない殺しの技が残っていた。

彼の正体は、かつて無月と呼ばれた最強の人斬り。

戦うことでしか生を感じられず、その強さゆえに佐幕派にも倒幕派にも都合よく使われ、最後は口封じのために無数の敵に囲まれ、殺されかけた男だった。

歳親は、そんな縁を危険だと知りながら手放せない。

縁もまた、鬼と呼ばれる副長の孤独を知り、震える声で誓う。

俺が、あなたを守ります。

白義の旗の下で始まった二人の関係は、朱京、羽伏見、東都、甲斐路、白嶺、仙州、北州、星稜郭へと続く戦火の中で、恋とも執着とも罪とも呼べるものへ変わっていく。

そして新政軍との最後の戦い。二人の運命はいかに。

これは、使い捨てられた人斬りが、最後に初めて自分の意思で愛する男を守る物語。

そして、鬼の副長が、生涯その名を手放せなかった物語。
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