棘薔薇の替え子公女は、しつこい皇太子の求婚を断りたい

貴族と国が勝手に起こした戦争で、父母と姉弟をすべて失った平民の少女、ロザミュンダ・セリクール。
彼女は、海難事故で末娘を失った公爵家に、その子の代わりとして幼い頃に引き取られた。

だが、血のつながらない平民上がりの公女を、屋敷は受け入れなかった。
義母は教師たちに命じて教育を妨げ、使用人たちは彼女の無作法を笑い、お付きの侍女は親切な顔で間違った振る舞いを教え込んだ。兄と姉は彼女を避け、父は守っているつもりで何も見ていなかった。

寂しさを埋めるように宝石とドレスを買い集め、癇癪を起こし、虚勢を張り、周囲を見下すようになったロザミュンダは、いつしか社交界でこう呼ばれる。

触れれば傷つく、棘だらけの薔薇。

そしてある夜、彼女は何かしらの秘密を知ってしまったせいで、元婚約者に首を絞められて殺される。

次に目覚めた時、彼女は十五歳に戻っていた。

今度こそ誰にもすがらない。
誰の代わりにもならない。
この家も、名前も、未来も、すべて自分で選び直す。

そう決めたロザミュンダは秘密裏に勉強し、マナーを身につけ、宝石やドレスを売って家を出る資金を作り始める。兄姉にも義母にも父にも言い返し、婚約も断る。

そんな中、屋敷の夜会で、幼い頃からそばにいたお付きの侍女が自分をずっと馬鹿にし、欺いていたことを知る。涙を見られたくなくて庭園へ逃げた彼女の前に現れたのは、冷酷で残酷、誰にも笑わず、必要最低限しか話さないと噂される皇太子、セヴェリオ・ヴァルクレイドだった。

だが彼は、ロザミュンダの前でだけ笑う。
そして彼女にだけ、やたら饒舌で、しつこく、不器用で、少しズレた求愛を始める。

「お前を娶る」
「嫌です」
「いい返事だ。昨日より迷いがない」
「返事の意味をご存じですか?」

拒否し続ける公女と、拒否されても居座る皇太子。
やがて二人は、屋敷の中に潜む複数の裏切り者、裁判、暗殺未遂、そして死んだはずの本物の公爵令嬢を名乗る存在の正体へ迫っていく。
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