105 / 324
■曖昧な境界■オマケ的短編②
3.side-Rihito-
しおりを挟む
カーテン越しに差し込む淡い陽光に目を覚ました理人は、ぼんやりしか見えない視界に驚いた。
ついさっきまで、葵咲と良いことをしていた気がするのに、今の理人は一人、病室と思しきところでベッドに横たわっていた。
さっきまでクリアに見えていたはずの視界も、紗がかかったようにぼんやりしか見えない。
コンタクトレンズもしていないようだ。
(夢?)
そう考えるのが至極当然だと思えたけれど、下腹部はその夢の残滓を遺して硬く張りつめたままなのが、我ながら何とも生々しくてーー。
(……イッてなくてよかった)
現状を思えば、この歳で夢精というのも少し恥ずかしい気がするし、何より自宅じゃない時点で処理とかアウトだろ、と思う。
気持ちの整理を色々つけた後で、周りを見ると、葵咲が自分の手を握ったまま、理人の足にもたれかかるようにして眠っていた。
一瞬やはりあれは夢ではなかったのかも?と思ったけれど、葵咲の安らかな寝顔を見ていると、やはり夢だったと思うのが現実的で。
理人は複雑な思いを抱えたまま、葵咲の手をそっと握った。
唇に、何となく葵咲の柔らかな唇の感触が残っている気がしたけれど、それもきっと気のせいだろう。
END(2019/6/23)
ついさっきまで、葵咲と良いことをしていた気がするのに、今の理人は一人、病室と思しきところでベッドに横たわっていた。
さっきまでクリアに見えていたはずの視界も、紗がかかったようにぼんやりしか見えない。
コンタクトレンズもしていないようだ。
(夢?)
そう考えるのが至極当然だと思えたけれど、下腹部はその夢の残滓を遺して硬く張りつめたままなのが、我ながら何とも生々しくてーー。
(……イッてなくてよかった)
現状を思えば、この歳で夢精というのも少し恥ずかしい気がするし、何より自宅じゃない時点で処理とかアウトだろ、と思う。
気持ちの整理を色々つけた後で、周りを見ると、葵咲が自分の手を握ったまま、理人の足にもたれかかるようにして眠っていた。
一瞬やはりあれは夢ではなかったのかも?と思ったけれど、葵咲の安らかな寝顔を見ていると、やはり夢だったと思うのが現実的で。
理人は複雑な思いを抱えたまま、葵咲の手をそっと握った。
唇に、何となく葵咲の柔らかな唇の感触が残っている気がしたけれど、それもきっと気のせいだろう。
END(2019/6/23)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
214
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる