偏差値ギリギリで入った普通高校に、なぜか元神童と転校生が集まってきた――三年間、受験と恋と青春で人生を選び直す

偏差値ギリギリで入った普通高校。

成瀬陽斗は、入学式の朝から自分だけが場違いだと思っていた。

勉強は得意じゃない。

夢もない。

将来のことを聞かれても、うまく答えられない。

そんな彼のクラスに、中学時代「神童」と呼ばれた白石怜央がいた。

だが怜央は、最初の実力テストを白紙で出す。

さらに、過去を抱えた転校生・天宮澪がやってきたことで、平凡だったはずの教室は少しずつ壊れ始める。

順位、偏差値、校則、親の期待、学歴、進路、受験料、奨学金。

学校はなぜこんなにも人を比べるのか。なぜ勉強ができるだけで価値が決まるように見えるのか。

やる気のない無精髭の担任・久我透真は、かつて量子力学の天才と呼ばれながら挫折した男だった。

彼は生徒たちに冷たく言う。

「点数は現実だ。でも、お前の全部じゃない」

数学の因数分解は、バラバラになった気持ちをもう一度まとめること。

英語は、誰が誰に何を伝えたのかを探すこと。

国語は、人の沈黙の理由を読むこと。

物理は、進みたいのに進めない摩擦を見つけること。

歴史は、いまの社会がなぜこうなったのかを知ること。

授業はただの暗記ではなく、彼らの傷を照らし、進むための小さな道具になっていく。

文化祭、体育祭、修学旅行、夏期講習、放課後の勉強会、夜の教室、コンビニ前の寄り道、言えない恋、ほどけていく友情。

最初は馬鹿にしていた学校行事さえ、いつしか彼らにとって忘れられない時間になっていく。

笑って、失敗して、泣いて、また机に戻る。

その全部が、受験だった。無駄だと思っていた時間ほど、あとから彼らを支えてくれる。

これは、普通高校の落ちこぼれたちが、三年間の受験を通して、自分の人生を誰にも雑に決めさせない力を手に入れる物語。

合格だけがゴールじゃない。

不合格で終わる人生もない。

偏差値では測れないものを抱えたまま、それでも僕らは、今日も机に向かう。

24h.ポイント 569pt
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