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Side Episode 01 グレンの大冒険
第01話(運命の出会い)
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「姫!お逃げ下さい!!これ以上は持ちませぬ!!」
「まだよ!まだ諦めてはダメ!爺っ!!」
迫りくる致死の一撃を姫は何とか避けながら年老いた従者を励ましている。
「そろそろあきらめた方が良いんじゃないか?姫さんよ。アンタの国、もう終わってるぜ?」
片目を深い傷で抉られた傭兵が、従者の陰に隠れた姫に語りかける。
「アンタを逃がした騎士も、今頃あの世でアンタが来るのを待ってるんじゃないか?」
返り血を浴びた顔を拭いながら、ゾッとするような壮絶な笑みを浮かべた。
「ジョアンは、あなた方のような卑劣な者たちに遅れは取りません!必ず生きて合流するはずです!!」
「あははははは、だといいなぁ、姫さんよぉ。でもアンタはここで終わりだ。俺の手にかかってな」
傭兵が、1歩、また1歩と間合いを詰めていく。
「このジェームズの命に掛けて!姫はやらせませんぞっ!!」
「邪魔だ、ジジィっ!!」
立ちふさがっているジェームズと呼ばれた年老いた従者を払いのけると、身体が竦んで身動きが取れなくなっている姫を致死の間合いに捉える。
「終わりだ」
無慈悲な言葉と共に、一撃が無防備な身体を……
「ちょっと、まったぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
「な、ん?なぁ!?」
俺は崖の上から太陽の日差しを背に受けて叫ぶ。逆光に目をくらませながら傭兵がこちらを確認する。
「とぅっ!!」
助走をつけて崖上から虚を受けた傭兵に向かって飛び込む。
「グレン!ダッシャァァァァァァァッッッッ!!」
「なん、ぐはぁぁぁっっっ!!」
そして錐揉み回転を加えながら、傭兵の顔面を蹴り飛ばす。
俺は蹴り飛ばした衝撃を利用してバク転しつつ着地を決めるが、傭兵は蹴り飛ばされた回転力をそのまま受けて、藪の中に吹っ飛んでいく。
「か弱い女性を襲うなど言語道断!天が許そうとも、地が許そうとも、この俺、逆巻く烈火のグレンが許さん!!」
俺はズビシッと傭兵が吹き飛ばされた藪の方を指さすと、高らかに宣言する。
「な、何奴?!」
「ふっ、美女のピンチに颯爽と駆けつける伊達漢。逆巻く烈火のグレンとは俺の事よ」
突然の闖入者に目を白黒させる従者と、予想外の展開に戸惑っている姫に、俺はウィンクをしながら自己紹介をする。
「……勝手が過ぎて、国を追い出された風来坊なだけですけどね……」
「言うな!俺は皇国を継ぐために諸国見分の名目で国を出たのだ。我が右腕、レンスロットよ!」
「いや、私はランスロットという名前です。いつになったら覚えてくれるんですかね?」
「うははははは。すまん、我が右腕、ロンスロットよ」
「それ、わざとですよね?」
呆れた顔をしながら、俺の右腕である騎士のレン?ロン?あぁランスロットが余計なことを呟きながら、崖を降りてくる。
「ふっ、ざけるなぁぁぁぁぁっっっ!!」
怒声と共に藪の中から顔を腫らした傭兵が飛び掛かってくる。
「ふはははははは!怒りに任せた突進など、この俺様には通用しないぜ?」
俺は軽くステップを踏み、傭兵の突進を躱すと、全身に力を漲らせる。
「攻撃って言うのは、こうやるんだっっ!!必殺!回転烈火撃!!」
そして相手の懐に飛び込みつつ、身体全体を回転させた一撃で突き上げる。今まで襲い掛かってきた幾多の敵を葬ってきた必殺技だ。
顎に猛烈な一撃を食らった傭兵は、意識を失い後方に吹き飛ばされる。
「ふっ、これでしばらくは立てんだろう。大丈夫かいお嬢さん?」
俺は一仕事終わった漢の顔で振り向くと、姫は時が止まったかのように硬直していた。
「あ、あ、あ、はい……大丈夫です。いきなり過ぎて、何が何だか……」
狼狽える姫を見て、俺の心臓が早鐘を打つ……なんて綺麗なんだ……
「と、兎に角。危ないところを救って頂いてありがとうございます。私はベルジュ王国の第1王女フランと申し……」
「惚れた。結婚してくれ、お嬢さん」
「ます……はぁ?!」
こうして俺グレンと生涯の妻となるフランは出会ったのだった。
「まだよ!まだ諦めてはダメ!爺っ!!」
迫りくる致死の一撃を姫は何とか避けながら年老いた従者を励ましている。
「そろそろあきらめた方が良いんじゃないか?姫さんよ。アンタの国、もう終わってるぜ?」
片目を深い傷で抉られた傭兵が、従者の陰に隠れた姫に語りかける。
「アンタを逃がした騎士も、今頃あの世でアンタが来るのを待ってるんじゃないか?」
返り血を浴びた顔を拭いながら、ゾッとするような壮絶な笑みを浮かべた。
「ジョアンは、あなた方のような卑劣な者たちに遅れは取りません!必ず生きて合流するはずです!!」
「あははははは、だといいなぁ、姫さんよぉ。でもアンタはここで終わりだ。俺の手にかかってな」
傭兵が、1歩、また1歩と間合いを詰めていく。
「このジェームズの命に掛けて!姫はやらせませんぞっ!!」
「邪魔だ、ジジィっ!!」
立ちふさがっているジェームズと呼ばれた年老いた従者を払いのけると、身体が竦んで身動きが取れなくなっている姫を致死の間合いに捉える。
「終わりだ」
無慈悲な言葉と共に、一撃が無防備な身体を……
「ちょっと、まったぁぁぁぁぁぁっっっ!!」
「な、ん?なぁ!?」
俺は崖の上から太陽の日差しを背に受けて叫ぶ。逆光に目をくらませながら傭兵がこちらを確認する。
「とぅっ!!」
助走をつけて崖上から虚を受けた傭兵に向かって飛び込む。
「グレン!ダッシャァァァァァァァッッッッ!!」
「なん、ぐはぁぁぁっっっ!!」
そして錐揉み回転を加えながら、傭兵の顔面を蹴り飛ばす。
俺は蹴り飛ばした衝撃を利用してバク転しつつ着地を決めるが、傭兵は蹴り飛ばされた回転力をそのまま受けて、藪の中に吹っ飛んでいく。
「か弱い女性を襲うなど言語道断!天が許そうとも、地が許そうとも、この俺、逆巻く烈火のグレンが許さん!!」
俺はズビシッと傭兵が吹き飛ばされた藪の方を指さすと、高らかに宣言する。
「な、何奴?!」
「ふっ、美女のピンチに颯爽と駆けつける伊達漢。逆巻く烈火のグレンとは俺の事よ」
突然の闖入者に目を白黒させる従者と、予想外の展開に戸惑っている姫に、俺はウィンクをしながら自己紹介をする。
「……勝手が過ぎて、国を追い出された風来坊なだけですけどね……」
「言うな!俺は皇国を継ぐために諸国見分の名目で国を出たのだ。我が右腕、レンスロットよ!」
「いや、私はランスロットという名前です。いつになったら覚えてくれるんですかね?」
「うははははは。すまん、我が右腕、ロンスロットよ」
「それ、わざとですよね?」
呆れた顔をしながら、俺の右腕である騎士のレン?ロン?あぁランスロットが余計なことを呟きながら、崖を降りてくる。
「ふっ、ざけるなぁぁぁぁぁっっっ!!」
怒声と共に藪の中から顔を腫らした傭兵が飛び掛かってくる。
「ふはははははは!怒りに任せた突進など、この俺様には通用しないぜ?」
俺は軽くステップを踏み、傭兵の突進を躱すと、全身に力を漲らせる。
「攻撃って言うのは、こうやるんだっっ!!必殺!回転烈火撃!!」
そして相手の懐に飛び込みつつ、身体全体を回転させた一撃で突き上げる。今まで襲い掛かってきた幾多の敵を葬ってきた必殺技だ。
顎に猛烈な一撃を食らった傭兵は、意識を失い後方に吹き飛ばされる。
「ふっ、これでしばらくは立てんだろう。大丈夫かいお嬢さん?」
俺は一仕事終わった漢の顔で振り向くと、姫は時が止まったかのように硬直していた。
「あ、あ、あ、はい……大丈夫です。いきなり過ぎて、何が何だか……」
狼狽える姫を見て、俺の心臓が早鐘を打つ……なんて綺麗なんだ……
「と、兎に角。危ないところを救って頂いてありがとうございます。私はベルジュ王国の第1王女フランと申し……」
「惚れた。結婚してくれ、お嬢さん」
「ます……はぁ?!」
こうして俺グレンと生涯の妻となるフランは出会ったのだった。
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