家族から虐げられた令嬢は冷血伯爵に嫁がされる〜売り飛ばされた先で温かい家庭を築きます〜

香木陽灯

文字の大きさ
14 / 15

平穏

「クロイ様とは仲が良いのですね」

 パーティー会場から少し離れた部屋で、ナタリアとクロードはソファに座ってのんびりとしていた。

「一緒に仕事をすることが多くてな。グラミリアン家の調査に力を貸してもらったんだ」

(クロード様が心を許しているのだから、クロイ様は信頼出来る人なのでしょうね。ブローチを拒否したのは悪かったかも……)

「そうでしたか。もしかして、今日エマが来たのはお二人が……?」

「いや、あれは予想外だった。警備が甘かったようだ。まあ、皆に知らしめる良い機会になったのは幸いだった」

「グラミリアン家の評判は地に落ちてしまいましたね」

「あぁ。それに領地も金もなくなるから、かなり厳しい生活を強いられるだろうな。まあ爵位が剥奪されないだけマシだろう」

「そうですね」

(あの家がどうなろうと心配にならないのは薄情かしら? いいえ、私にはもう関係ないないことだわ。……あぁ、それにしても疲れたわ。座ると余計に疲労を実感する……)

 ナタリアはソファに座ったまま、気を失うように眠ってしまった。

 ナタリアが黙り込んでしまったのを不思議に思ったクロードは、ナタリアの顔を覗き込んだ。

「ナタリア? ……おやすみ」

 クロードはナタリアをそのまま寝かせると、パーティー会場へと戻っていった。




 数週間後、クロードは東の国との交渉の日を迎えた。

「まあ上手くやるさ。相手が小言を言う材料もなくなったから」

 ナタリアに言ったクロードは、宣言通りあっさりと交渉を成功させた。

 対応を間違えれば戦争になっていたという局面であったため、クロードに対する国王からの信頼は、一段と大きくなった。

「クロード様、お疲れ様でした。本当に交渉が上手いのですね」

「向こうの文化や習慣を知っていたから気に入られただけだよ。……ところで、ナタリアはいつになったら僕のことを呼び捨てで呼んでくれるんだい?」

「え?」

「僕達はもう夫婦だろ? いつまでも『クロード様』と呼ばれるのは距離を感じるのだが」

 クロードはいたずらを思いついたような子供のような顔をしていた。それは冷血伯爵としての顔ではなく、ナタリアの家族としての顔だった。

「でも……」

 クロードはためらうナタリアの両手をとり、優しく握りしめた。

「はい、呼んでみて」

 いざ呼ぼうと口を開くと、ナタリアは顔が熱くなるのを感じていた。

「ク、クロードっ」

(声がひっくり返った……もう、恥ずかしい)

 クロードは、ナタリアの様子を見て心底楽しそうに笑うのだった。
感想 1

あなたにおすすめの小説

虐げられた私、ずっと一緒にいた精霊たちの王に愛される〜私が愛し子だなんて知りませんでした〜

ボタニカルseven
恋愛
「今までお世話になりました」 あぁ、これでやっとこの人たちから解放されるんだ。 「セレス様、行きましょう」 「ありがとう、リリ」 私はセレス・バートレイ。四歳の頃に母親がなくなり父がしばらく家を留守にしたかと思えば愛人とその子供を連れてきた。私はそれから今までその愛人と子供に虐げられてきた。心が折れそうになった時だってあったが、いつも隣で見守ってきてくれた精霊たちが支えてくれた。 ある日精霊たちはいった。 「あの方が迎えに来る」 カクヨム/なろう様でも連載させていただいております

醜いと虐げられていた私を本当の家族が迎えに来ました

マチバリ
恋愛
家族とひとりだけ姿が違うことで醜いと虐げられていた女の子が本当の家族に見つけてもらう物語

冷徹公に嫁いだ可哀想なお姫様

さくたろう
恋愛
 役立たずだと家族から虐げられている半身不随の姫アンジェリカ。味方になってくれるのは従兄弟のノースだけだった。  ある日、姉のジュリエッタの代わりに大陸の覇者、冷徹公の異名を持つ王マイロ・カースに嫁ぐことになる。  恐ろしくて震えるアンジェリカだが、マイロは想像よりもはるかに優しい人だった。アンジェリカはマイロに心を開いていき、マイロもまた、心が美しいアンジェリカに癒されていく。 ※小説家になろう様にも掲載しています いつか設定を少し変えて、長編にしたいなぁと思っているお話ですが、ひとまず短編のまま投稿しました。

【完結】【番外編追加】お迎えに来てくれた当日にいなくなったお姉様の代わりに嫁ぎます!

まりぃべる
恋愛
私、アリーシャ。 お姉様は、隣国の大国に輿入れ予定でした。 それは、二年前から決まり、準備を着々としてきた。 和平の象徴として、その意味を理解されていたと思っていたのに。 『私、レナードと生活するわ。あとはお願いね!』 そんな置き手紙だけを残して、姉は消えた。 そんな…! ☆★ 書き終わってますので、随時更新していきます。全35話です。 国の名前など、有名な名前(単語)だったと後から気付いたのですが、素敵な響きですのでそのまま使います。現実世界とは全く関係ありません。いつも思いつきで名前を決めてしまいますので…。 読んでいただけたら嬉しいです。

数多の令嬢を弄んだ公爵令息が夫となりましたが、溺愛することにいたしました

鈴元 香奈
恋愛
伯爵家の一人娘エルナは第三王子の婚約者だったが、王子の病気療養を理由に婚約解消となった。そして、次の婚約者に選ばれたのは公爵家長男のリクハルド。何人もの女性を誑かせ弄び、ぼろ布のように捨てた女性の一人に背中を刺され殺されそうになった。そんな醜聞にまみれた男だった。 エルナが最も軽蔑する男。それでも、夫となったリクハルドを妻として支えていく決意をしたエルナだったが。 小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】私、四女なんですけど…?〜四女ってもう少しお気楽だと思ったのに〜

まりぃべる
恋愛
ルジェナ=カフリークは、上に三人の姉と、弟がいる十六歳の女の子。 ルジェナが小さな頃は、三人の姉に囲まれて好きな事を好きな時に好きなだけ学んでいた。 父ヘルベルト伯爵も母アレンカ伯爵夫人も、そんな好奇心旺盛なルジェナに甘く好きな事を好きなようにさせ、良く言えば自主性を尊重させていた。 それが、成長し、上の姉達が思わぬ結婚などで家から出て行くと、ルジェナはだんだんとこの家の行く末が心配となってくる。 両親は、貴族ではあるが貴族らしくなく領地で育てているブドウの事しか考えていないように見える為、ルジェナはこのカフリーク家の未来をどうにかしなければ、と思い立ち年頃の男女の交流会に出席する事を決める。 そして、そこで皆のルジェナを想う気持ちも相まって、無事に幸せを見つける。 そんなお話。 ☆まりぃべるの世界観です。現実とは似ていても違う世界です。 ☆現実世界と似たような名前、土地などありますが現実世界とは関係ありません。 ☆現実世界でも使うような単語や言葉を使っていますが、現実世界とは違う場合もあります。 楽しんでいただけると幸いです。

(完結)いつのまにか懐かれました。懐かれたからには私が守ります。

水無月あん
恋愛
私、マチルダは子爵家の娘。騎士団長様のような騎士になることを目指し、剣の稽古に励んでいる。 そんなある日、泣いている赤い髪の子どもを見つけて、かばった。すると、なぜだか懐かれました。懐かれた以上は私が守ります!  「無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?」のスピンオフとなりますが、この作品だけでも読めます。 番外編ででてくる登場人物たちが数人でてきます。 いつもながら設定はゆるいです。気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。 よろしくお願いします。

『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜

水都 ミナト
恋愛
 マリリン・モントワール伯爵令嬢。  実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。  地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。 「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」 ※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。 ※カクヨム様、なろう様でも公開しています。