あたしが大黒柱


「僕のせいで……」と言って涙ぐんだ。男として、大人として、上手く生きられない愛しい夫。


 ひょろひょろの身体に青白い肌。趣味は魚たちや亀の世話をすること。頭にはイヤーマフをつけている。

 雑音を受け付けない感覚過敏。ゆえに何処に行っても仕事が続けられなかった。言葉もほとんど話せない。そしていつも申し訳なさそうな顔をしている。それが主人公・葉月の夫である。

 対して製薬会社でバリバリ働く勝気なキャリアウーマンである葉月は、自分こそがこの家庭の大黒柱になると覚悟を決める。

 “養う”という言葉を嫌う葉月。本当は声を大にして伝えたい。自分はこんなにも夫に支えられていると。


 男が泣くのはおかしいか?
 出世を目指す主婦は出しゃばりだと叩かれる?

 こんな形の夫婦が居てもいいじゃない?


 あらゆる人格、あらゆる障害、そしてそれぞれの家庭に於いてあらゆる問題が存在している。“当たり前”というのはまさにこのことではないのか。

 障害に対する特別扱いではなく、実は思っているよりもずっと身近に在ることを伝えたいので、あえてあまり重くない作風にしています。


 ※“夫”の障害(感覚過敏)に関しては、著者自身に現れた症状を参考にしています。症状の出方には個人差があるので、同じ障害を持つ全ての人がこのようになるという意味ではございません。

 ※重複投稿・・・この作品は『小説家になろう』『カクヨム』『ノベルアップ+』にも投稿しています。

 ☆印は挿絵入りです。

 ©️七瀬渚/nagisa nanase 2018
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