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本編1 『幼少期』

第5話 3歳の洗礼式後。偽ヒロインと不憫騎士

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私は『ストロベリー・ディ・シュタイザー』侯爵令嬢よ。本当は平民の両親から産まれた『キャロル』だけどね。

でも、本当の本当は、地球の日本で生きていた29歳の主婦だったの。
まぁ、実家が大企業だったし、主婦業なんてした事ないお嬢様だったのだけどね。

死亡原因は三股してたのが夫にバレて、離婚調停のため家裁に向かって歩いてたら、誰かに押されて歩道橋から転落し、下を走ってたトラックにぶつかって「グシャッ」と即死!
あははは!痛みも何もなく呆気なく死んじゃったわ。

目障りだった義妹が死んだって聞いて清々してたってのに、まさか自分も死ぬなんてねぇ。
まぁ、あのまま離婚調停してたら確実に慰謝料請求されてたと思うし、そんなの絶対イヤだから死んで良かったわ。

というか、確実にあの時死んだはずよね?なのに気付いたら見た事のない建物の中で、目の前の人に叩かれたあとだったの。
痛む頬を抑えながらすぐさま状況を把握して、自分が転生したんだって気付いたわ!

ゲームかな?小説かな?漫画かな?私の名前は何かしら?と、目の前で怒鳴ってる人を見ながら必死に思い出してたの。

そして「ストロベリー」って言われて自分が誰かわかったわ!『偽ストロベリー』で、本当は『キャロル』
『誰が私のヒーロー?~聖女と7人の攻略対象』って乙女ゲームの世界のヒロインだったの!

最高よね!だって、ヒロインよ?しかも聖女なの!
日本でもモテモテだったけど、異世界でもモテモテなのよ!!もう最高!!

……まさか『苺花』も転生してて、悪役令嬢になってたりしないわよね?
……そんなご都合主義はないか!でももし転生してきてたら、またジワジワと追い詰めてやるわ……ふふふ。

世界の中心は私だもの。脇役は私を引き立てるために存在しているの。雑草は無様に地に頭を擦り付けてればいいのよ。悪役は私のために儚く散りなさい。おほほほ。

さて、攻略対象は確か、王子様2人に、侯爵子息、魔法師長子息、魔国王子、年下ワンコ、隣国の王子。そして、隠れキャラの辺境伯とエルフの王子。

はぁ……全員が全員最高にイケメンなのよねぇ。日本のイケメンなんて鼻で笑っちゃうわ!尊顔の次元が違うのよ。レベチよレベチ。

逆ハー狙いで攻略しましょう。第1王子のジュノン様と第2王子のセルビス様、アルヴィンお兄様と隣国の第3王子ユージーン様、そして私の最推し!エルフ国の王子ルカリス様!

この5人を攻略して、逆ハーよ!
ゲームの内容に逆ハールートは無いけど、私はヒロインだもの。絶対にやれると思うわ!

魔国の王子と辺境伯は年上すぎて好みじゃないし、年下ワンコもタイプじゃないのよねぇ。
魔法士長の子息はチャラくて苦手だしぃ。まぁ、好きになられちゃったら一度くらいお相手してあげてもイイけどぉ?恋人は……可哀想だけど諦めてね♡ 

そんなこんなで『大好きなゲームの世界にヒロイン転生』したから、この無駄な洗礼式ってのを早く終わらせて欲しいわ。

だって、『ヒロインは聖女』って決まってるし、聖属性だってのはお決まりだもの!
だから、いるのかも分かんない『神に祈る』とか笑っちゃう!

それと、私の隣にいるのは『ピアーズ侯爵夫人』よね?すっごい巨漢!吃驚しちゃうわ!
まぁ、このキャロルも3歳とは思えないくらいの肥満児だけどねぇ。

それにしても、「洗礼式中止」とか、マジ?いいのそれ?まぁ、お父様が言ってるんだし良いのかしら。
5歳で平民と混ざってもう一度儀式のやり直しとか正直面倒臭いわ。聖女って決まってるんだし儀式とかムダだわ。

再教育とか言ってるけど、見た目は幼女だけど、中身は大人だし、その辺の子供よりはスペック高いわけ。だから座学とか余裕なわけよ。
魔法だって、想像して「治れ~」って祈れば良いんだし、簡単よねぇ。なんせ聖女だもの!

それにしてもアルヴィンお兄様。小さい頃からイケメンだわぁ。確か6歳だったっけ?
ショタコンじゃないから、今のお兄様見ても「可愛い♡」としか思わないけど、将来有望なイケメンなのよね。


(お兄様、可愛い妹が泣いてるのよ、可哀想でしょ?抱き締めて慰めてくれてもいいのよ?
お兄様は私が大事でしょ?だってこんなに可愛いんですもの。ほら、余所見してないで早く慰めてちょうだい!
だって私はヒロインなのよ、お兄様は攻略対象なの。王子の前に貴方を先に攻略するわ!うふふふ)


侯爵 「ストロベリー。お前はまだ3歳で子供だ。だから先程の事は緊張からの癇癪だったと国には報告しておく。貴族の洗礼は義務だ。必ず3歳にしなければならない。
しかし事情があり受けられない子は、5歳でもう一度受けられる。
お前は今日から5歳の洗礼まで徹底的に教育だ。異論は認めない。明日から家庭教師を付ける。わかったな」


「……(面倒臭いな)はーい、お父様。がんばりまーす」


夫人 「ストロベリーなんです?その口の利き方は!今日は貴方のせいで散々じゃないの!
侯爵令嬢として、淑女として、口の利き方や態度はきちんとしなければならないのよ!私にまで恥をかかせないでちょうだい!」


確かに、今日の態度は最悪だっただろう。だが、そんな子に育ったのは『ピアーズ』のせいだろう。
それなのに随分な言い方をする。自分の事を棚に上げるなと言いたい。

そう思ったヴェルディ侯爵は、目の前のキングベアーみたいな妻に、「黙れ!」と一括した。そして、苦言を呈した。


侯爵 「いいかピアーズ。ストロベリーがこうなったのは君の責任だ。甘やかすだけ甘やかして、ろくな教育をしなかったんだろう。だから、こんな尊大な娘になったんだ。
明日からストロベリーと会うのを禁ずる。それと、贅沢も禁止だ。交際費は決まった額しか渡さない。
これを機に君も心を入れ替えろ。出来なければ祖国に送り返す。わかったら大人しくしてろ」


最初から愛のない結婚だったのだ。こんな事になるなら早めに離縁しとけば良かった……と、そう嘆いてもここまできてしまったからには、ピアーズには心を入れ替えて貰うしかない。

だから、ビターズ国の王にも、シュガーズ国の王にも悪いが、変わらなければ送り返す。もう決めた。迷わない。

ストロベリーは、変わらなければ修道院に入れる。姉上に来て貰って淑女教育をして貰おう。
それなら立派なレディになれるだろうし、5歳の洗礼式も安心して受けられる。

そうと決まれば屋敷に着いたら早速手紙を出そう。

そうだ、アルヴィンの剣術指南をして貰うのに、エドワードに指名依頼しないとな。今Sランクだったかな?
久々に会えるのが楽しみだ。

魔法は、魔法士団長に誰かいないか聞いてみるか。できればオズワルドが良いんだけど、難しいかな?
まぁ、聞くだけ聞いてみようか。


侯爵 「アルヴィン。今度から座学の他に剣術と魔法の訓練が始まるんだ。それぞれの先生に来てもらって教えて貰うことになる。
剣のスキルが無くても、技術が身につかなくても良いんだ。騎士になるわけじゃないからな。
ただ、少しでも強くなれれば将来必ず役に立つ。鍛錬は厳しいが負けずに頑張れ。」


アルヴィン 「わぁぁ…剣ですか。前にジュノン殿下が大変だって言ってましたぁ。当たったら痛いって。
ちょっと怖いけど、頑張って少しでもスキルを身に付けたいです!ちなみに先生ってどんな人ですか?」


ヴェルディとアルヴィンが話してる間、ピアーズは静かに憤っていた。
先ほど言われた言葉に納得いかないからだ。

何故ストロベリーの失態が私のせいになるのか?

何故、贅沢を辞めなければならないのか?それが出来なければ嫁いで来た意味がないのに。

何故、交際費を決められなければならないのか?自由に使えないとドレスも宝石も買えないのに。

心を入れ替えてってなんですの?良い妻じゃない。仕事に口は挟まないし、夜会には必ず付き添ってるじゃない。

祖国に送り返すですって?それって離縁するってことかしら?
ま、ヴェルディは私のことを愛してるから、言ってみただけよね。

ストロベリーに会えなくても困らないから全然良いわ。本当の娘じゃないんですもの。血の繋がりは無いし、平民の子だし、高貴な血が流れてないから一緒の空間にいるのが結構辛かったのよ。

だから、接近禁止命令を出されても痛くも痒くもないの。それに、私から離れて性格が治るなら、王子の婚約者になれる可能性が高くなるもの。喜んで命令に応じるわ。

仕方がないわね。ストロベリーが王太子妃になる時まで旦那様の言いつけ守りましょう。
15年は長いけど、後に出来る贅沢を思えば耐えれるわ。

だからストロベリー。貴方は頑張って王子の寵愛を得なさい。そして侯爵令嬢にしてあげた私に感謝しなさい。

その時まで偽物だってことは黙っててあげる……ふふ。


ピアーズが思考している間、ずっと百面相してて、それを目の当たりにしたヴェルディとアルヴィンは気持ち悪くて震えていた。
「なに考えてるのか分からなくて怖い」それが2人の共通認識だった。

ストロベリーも気持ち悪かった。ずっとアルヴィンを見てニヤニヤしていたから。
極力見ないようにしてたけど、視界の隅に見えるわけで、それが怖くてヴェルディと話しながら、「早く屋敷に帰りたい」と、心の中で願っていた。

ガタゴト、ガタゴト…

馬車のスピードが緩やかになり、見慣れた屋敷が見えてきた。「やっと着いた……」と安堵して、ヴェルディとアルヴィンは「「ふぅぅぅ」」と、長い息を吐き出した。

執事のセバスが馬車のドアを開けた瞬間、アルヴィンを抱え一目散に屋敷に駆け込んだ。
出迎えてくれた使用人達は、ヴェルディのそんな行動に目を丸くし呆気にとられていた。


セバス 「だ、旦那様ぁあ!?」広場では、執事の叫び声だけが響いていた。


執務室に入り、アルヴィンを抱えたままソファにドサッと座り、癒しを求めるかの如くスリスリと柔らかい頬に頬擦りし、そんな父の行動を甘んじて受け止めたアルヴィンは、父の膝の上で大人しくしていた。

日はまだ高く、空は雲ひとつ無い快晴。

アルヴィン 「心は曇りですけど、外はいい天気ですよ父上。
きっと大丈夫です。母様もストロベリーもこれから変わりますよ。5歳の洗礼式まで信じて待ちましょう」

そう言って弱ってる父に声を掛け、また窓の外を見やった。その時、屋敷の裏の林の中に違和感を感じた。

不自然に一箇所だけ木が揺れている。「なんだろ?」と思って未だスリスリしてる父に尋ねてみた。


アルヴィン 「父上。あっちの林の中には何があるのですか?真ん中辺の木が揺れてるんです。動物でしょうか?」


指を林の中へ向け、そう聞いてみた。6歳の男の子は好奇心旺盛だ。


侯爵 「ん?林の中かい?あそこには旧侯爵邸があるんだ。アルヴィンの曾祖父が住んでいた屋敷だね。
今はもう手入れもしてなくて、ボロボロなんだけど、思い出があるから壊さずそのままにしてあるんだ」


ヴェルディは、「そんな物もあったな」と、昔一度だけ見た旧侯爵邸を思い出していた。


アルヴィン 「ご先祖さまの屋敷ですか!今度見に行ってきて良いですか?」


好奇心旺盛な彼は、目をキラキラさせ、窓の外を見詰めた。『偉大なご先祖さまの屋敷』に興味津々だ。


侯爵 「林が揺れてるのは気になるが、たぶん動物だろう。行くのは良いが、必ず護衛を付けるんだよ?わかったかい?」


敷地内に魔物は居ないから大丈夫か。と、向こうに何があるのか事前確認もせず行く事を許したアルヴィン。


アルヴィン 「わかりました!明日座学が終わったら行ってみます!ふふふ。楽しみです。どんなのだったか報告しますね」


明日か…早いな。
さて、旧侯爵邸に住むミルキーピンクの本物の侯爵令嬢は、兄と遭遇するのか?


侯爵 「はは。そうか楽しみか。忙しくて一緒にお出掛けも出来なかったからな……寂しい思いさせてごめんな。
時間が出来たら、馬で領内にある湖に行ってみるか。
『聖泉湖』と呼ばれている美しい湖があるんだ。沢山の野生動物が涼みに来てて、見てると癒されるぞ。
それよりも商船を見てみるか?それか我が商会に行ってみるか……アルヴィンは何がしたい?」


アルヴィン 「いえ、父上。謝らないで下さい!確かに寂しかったけど、お仕事してる時の父上は格好いいので、我慢出来ます!お出掛け……もし、もし行けるなら……父上となら何処でも良いです……その時を楽しみにしてますね」


『アルヴィン・フォン・シュタイザー』は、優しくて優秀。身体を動かすのは苦手で、本を読むのが大好き。
でも、一番好きなのは『父親』。完全にファザコンである。

果てさて、明日旧侯爵邸へと出掛けるアルヴィンは、本物のストロベリーに遭遇するのか?もし遭遇したらどうなるのか?それはまだ誰にもわからない。

アルヴィンは、明日の探検に胸を弾ませ、執事が部屋に来るまでヴェルディの膝の上で他愛ない話をしていた。
そして、小刻みに揺れる足の振動が気持ち良くて、次第に瞼が落ちていった。


侯爵 「ん?アルヴィン?ははっ。寝てしまったか。
旧侯爵邸か……私も久々に行ってみようか。曾祖父の思い出の屋敷だし、業者呼んで手入れするかな」


さぁどうする『本物のストロベリー』。出会いイベントがやってくるぞ。




一方、屋敷に到着した馬車の中には、破れたドレスを纏った侯爵夫人と侯爵令嬢が、キョトンとした顔で座席に座っていた。

ヴェルディ侯爵の行動に暫し呆気に取られたが、『偽ストロベリー』改め『キャロル』は、いち早く我に返り、ドスドスと足音を響かせながら地面に降り立ち、侍女のライラを呼んだ。


「ライラ!ライラはいる!?主人のお帰りよ!疲れたから早く部屋まで連れて行きなさい!トロくさいわね!」


腰に手を当て尊大な態度をとる『キャロル』の前に、スっと現れたのはシュタイザー家の執事セバス。


セバス 「ストロベリーお嬢様お帰りなさいませ。ライラは本日休暇で御座います。ですので本日の護衛、サイラスをお呼び致しました。」

ライラは子爵子女。結婚していて3歳の息子がいる。だから本日は洗礼式に出るため休暇なのだ。

(今朝も何回も説明したのに覚えてないのか!?)と、使用人一同が思った。
そして、(そんな巨漢幼児、女じゃ運べねぇよ!)と、全員が心の中でツッこんだ。

執事に呼ばれたサイラスは「お嬢様、失礼します」と、スっと屈んで軽々と抱き上げた。流石騎士。

人生初のお姫様抱っこに気を良くしたキャロルは、「フンッ」と鼻を鳴らし、自分を抱えている騎士をマジマジと見詰めた。


(あら。この人もイケメンだわ。この世界、顔面偏差値高いわね。ん~この人見た事あるわ…ゲームに出てた気がする…)


「はっ!アレだわ!ストロベリーの専属護衛騎士!洗脳されて、ストロベリーの数々の悪事に手を貸す不憫な騎士サイラスよ!」


そう叫んだ幼女の言葉に吃驚して思わず落としそうになったサイラス。
そんな彼は歩きながら不穏な言葉の数々に、恐々としていた。

(ストロベリー様の専属護衛騎士とか絶対イヤだ。横暴さと我儘さが有名だからな。洗脳とか、怖すぎんだろ!
悪事に手を貸すとか、何それ!?何か言われたらヴェルディ様に報告だ!それと不憫って……確かに不憫だわ……今のこの状況がな!!)


キャロルを抱えて歩くサイラスを遠くから見ていた侯爵家の騎士や、影、魔法士達は、それぞれが心の中でエールを送っていた。

みんな心境は一緒なのだ。(ストロベリー様の専属は絶対イヤだ!)と。

お姫様抱っこで屋敷の中へと運ばれてる間にリズム良く揺れる感覚が気持ち良くて、サイラスの腕の中で眠りについた。
意識のない巨漢幼児は重い……腕がプルプルしてる……
ベッドに降ろして部屋を出て、訓練所までの道すがら思った。「もっと鍛えよう……」と。


サイラスは少し休暇しようと屋敷の裏に回り、木陰に腰を降ろそうとしたが、何となく林の中が気になった。

サイラス 「不思議な空間の歪みがあるような……この先は確か旧侯爵邸だったな……」

と、敷地内に異常があったら大変だと剣を手に違和感がする場所まで近付いていった。
途中、「ヴォン」と空気を切るような音が聞こえ、結界の中に入ったのがわかった。


サイラス 「ん?結界?なぜこんな場所に……」


放置されてボロボロな旧侯爵邸を護るように張られた結界に訝しみ、屋敷のある方向へとゆっくり歩いた。

そして、少し先の綺麗に整えられた広場と修繕された旧侯爵邸を見て、目を見開き驚いた。
「え……」と、声を零してキョロキョロ見回し、恐る恐る歩き出したら、目の前に妖精?精霊?が現れ話し掛けてきた。


《わお!お客さんだいらっしゃ~い!ベリーちゃんが産まれてから初めて会う人間が、家族じゃなくて騎士かぁ。
どぉも~初めましてぇ。小兎神族のウルだよぉ。君は?ん~あ、サイラスくん!へぇ~刀剣神様の加護持ちなんだぁ。めっちゃ強そう!ガキン、ガキン!てね!》


サイラス 「え?は?ベリーちゃん?って誰でしょう?家族って何です!?小兎神族って、御伽噺に出てくる神霊様?
そして、私に刀剣神様の加護があるのですか?そんなの授かった覚えはありませんが」


《ん~?ボクって御伽噺に出てくるんだ!ビックリ仰天!あははは!
ベリーちゃんは、『ストロベリー・ディ・シュタイザー』だよぉ。あ!本物のねぇ。
加護は、刀剣神様がさっき付けたみたい!良かったねぇ。神様からベリーちゃんの護衛騎士に選ばれたみたい!これからよろちくびぃ~》


目の前でふよふよ浮かんで喋る兎耳くん。際どい服を着ているのも気になるが、それより会話の内容が濃い!

理解が追い付かない。パニック寸前。言われた事を一つ一つ口の中で反芻し、

サイラス 「本物のストロベリー様?え?じゃあ、本邸にいる巨漢幼児は偽物ってこと??刀剣神様に選ばれた??なんで俺??」

一呼吸置いた後に、「はぁぁあああ???」と叫んだ。

その声は結界内の空気を揺らし、ハンモックでうたた寝してたストロベリーの鼓膜を刺激し、驚いた彼女はバランスを崩し地面に落下した。「ドスン!!」


「いったぁぁあい!!誰よ~!!叫び声はギャオコンドルだけにしてよね!!…………えっ?人間?誰アレ」


サイラス 「え?天使が空から落ちてきた……悪態吐きながら……」


この出会いは偶然か必然か。ベリーの護衛騎士に任命されたサイラスは、この日を境に自由な彼女に振り回される事になる。

ゲームで不憫騎士と呼ばれていた彼は、現実世界でも不憫騎士なのであった。
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