【完結】私よりも、病気(睡眠不足)になった幼馴染のことを大事にしている旦那が、嘘をついてまで居候させたいと言い出してきた件

よどら文鳥

文字の大きさ
1 / 8

1 旦那の要望

しおりを挟む
「ジューリア。我が家にもっと使用人が必要だと思うんだが」
「ファーラーとレーシーの二人がしっかりとやってくださっていますよ」

 お互いに二十代ではあるものの、我が家は一般家庭でありながら、それなりに裕福な生活を送らさせてもらっている。
 家も大きいので使用人を二人、住み込みで雇っていて充分回ってるのだ。

 なぜ追加しなければならないのだろうか。

「ジューリアの稼ぎだったらあと数人雇ってもやっていけると思うんだが」
「いえ、そういう問題ではありませんよ。それにダルムこそいい加減に働いてください。ずっと家でぐーたら生活じゃないですか」

 ダルムは結婚する前までは私と同じギルド職員として働いていた。
 ギルドといっても、この国では主に王族貴族様や商人からの依頼をギルドメンバーにやってもらうための仲介業者みたいなものだが。

 そこで出会い、彼とは意気投合して交際も始まった。
 その頃のダルムはとてもいい人だと思っていたのだ。

 結婚してからも一緒に仕事をやっていけるかと思ったのだが、彼は急にやめてしまった。今は何もしていない。
 噂で聞いたことはあるが、結婚した途端に性格が変わる典型例みたいである。

「俺はこの家を買うために今までの金を全部突っ込んだんだぞ。俺の役目は終わったんだから、あとはジューリアが稼いで俺を養ってくれ」

 偉そうに言ってくるが、ダルムの当時の稼ぎだけでは、この家を買えるほどの資金はなかったはずだ。
 どこからこんな大金を集めたのか疑問ではあるが、おそらく彼の両親だろう。
 あえてこのことに触れる必要もないが。

「はぁ……ともかく、使用人の件はなかったことにしていいのですね? 言っておきますが、これ以上使用人や執事を雇う気はありませんよ。ファーラーとレーシーのコンビだからこそうまく回っているのです。そこに誰かが入ってきたらバランスも崩れかねません」

 住み込みと言っても、しっかり休みはあるし、仕事全てを押しつけているわけではない。
 私は家事も料理も好きなのだ。本業が休みの日は、私がやることだってある。

「そもそもジューリアが働きすぎなんだよ!」
「え……!?」
「ギルド界のリーダーとはいえ少しは休めよ。そう言っているんだ。だから住込で働ける人材が必要なんだよ」

 なんということだ……。
 最近は私のことを金としか見ていなかったようなダルムだったから、またもや彼の身勝手な発言かと思っていた。

 これは疑った自分を恥じる。

「ごめんなさい。そこまで考えてくれているとは知らず。ですが、やはり使用人や執事の追加は出来ませんよ。私としても無理にやっているのではなく、家事は仕事の息抜きにもなっているのですから」
「そうなのか。だとしたら困ったな……うーむ……」
「え? どういうことです?」

 そんなに私が家事をするのが嫌なのだろうか。

 まさか私の作る料理って下手!?
 首を傾げた。

「いや、実は候補がいたんだよな。ジューリアの体を気遣ってるとでも言っておけば素直に受け入れるかとおも……あ!」
「なんですって!?」

「いやいや違う違う!! 落ち着け! 言葉の選択ミスだよ! はっはっは……。ジューリアの体を心配しているのは本当だ。これは絶対にほんと!」

 ダルムは口を滑らせたうっかり発言がやたらと多いのだ。
 今回は本音だろう。
 せっかく久しぶりにドキドキしていたのに、怒りによる興奮のドキドキに変わってしまった。

「結論から言うと使用人を追加する。ジューリアがなんと言おうともこの家は所詮俺の持ち家だ。文句は言わせない」

 はぁ……、がっかりだ。
 もしもこのようなことが後何十回か続いてしまうようなら、別居だって考えたくなるかもしれない。

「誰か雇うと決めていたならそういえばいいじゃないですか。なぜわざわざ相談してきたのですか?」
「いや、そりゃ相談するだろう。だって、労働の支払いはジューリアがするんだからさ」
「はい!?」

 もしも私を気遣ってくれ、ダルムの貯金を切り崩してでも雇うと言ってくれたならば、『私が払いますよ』と素直に言えたかもしれない。
 だが、まさか支払いまで私だと相談もないまま決まっていたとは……流石に納得ができない。

「何度も言いますが私にはこれ以上使用人や執事は必要ありませんし、ファーラーやレーシーがいてくれるので十分だと思いますけど」
「いやいや、その気持ちはわかったんだが、これは人助けだと思ってくれればいい。主に俺の」
「は!? つまり誰を迎え入れるのです!?」

「ギルドで一緒に働いていた俺の幼馴染のフェンフェンだよ」
「……」

 あまりの身勝手な発言を聞いて、体が固まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

相手不在で進んでいく婚約解消物語

キムラましゅろう
恋愛
自分の目で確かめるなんて言わなければよかった。 噂が真実かなんて、そんなこと他の誰かに確認して貰えばよかった。 今、わたしの目の前にある光景が、それが単なる噂では無かったと物語る……。 王都で近衛騎士として働く婚約者に恋人が出来たという噂を確かめるべく単身王都へ乗り込んだリリーが見たものは、婚約者のグレインが恋人と噂される女性の肩を抱いて歩く姿だった……。 噂が真実と確信したリリーは領地に戻り、居候先の家族を巻き込んで婚約解消へと向けて動き出す。   婚約者は遠く離れている為に不在だけど……☆ これは婚約者の心変わりを知った直後から、幸せになれる道を模索して突き進むリリーの数日間の物語である。 果たしてリリーは幸せになれるのか。 5〜7話くらいで完結を予定しているど短編です。 完全ご都合主義、完全ノーリアリティでラストまで作者も突き進みます。 作中に現代的な言葉が出て来ても気にしてはいけません。 全て大らかな心で受け止めて下さい。 小説家になろうサンでも投稿します。 R15は念のため……。

【完結】順序を守り過ぎる婚約者から、婚約破棄されました。〜幼馴染と先に婚約してたって……五歳のおままごとで誓った婚約も有効なんですか?〜

よどら文鳥
恋愛
「本当に申し訳ないんだが、私はやはり順序は守らなければいけないと思うんだ。婚約破棄してほしい」  いきなり婚約破棄を告げられました。  実は婚約者の幼馴染と昔、私よりも先に婚約をしていたそうです。  ただ、小さい頃に国外へ行ってしまったらしく、婚約も無くなってしまったのだとか。  しかし、最近になって幼馴染さんは婚約の約束を守るために(?)王都へ帰ってきたそうです。  私との婚約は政略的なもので、愛も特に芽生えませんでした。悔しさもなければ後悔もありません。  婚約者をこれで嫌いになったというわけではありませんから、今後の活躍と幸せを期待するとしましょうか。  しかし、後に先に婚約した内容を聞く機会があって、驚いてしまいました。  どうやら私の元婚約者は、五歳のときにおままごとで結婚を誓った約束を、しっかりと守ろうとしているようです。

【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?

よどら文鳥
恋愛
 デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。  予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。 「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」 「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」  シェリルは何も事情を聞かされていなかった。 「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」  どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。 「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」 「はーい」  同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。  シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。  だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。

【完結】婚約相手は私を愛してくれてはいますが病弱の幼馴染を大事にするので、私も婚約者のことを改めて考えてみることにします

よどら文鳥
恋愛
 私とバズドド様は政略結婚へ向けての婚約関係でありながら、恋愛結婚だとも思っています。それほどに愛し合っているのです。  このことは私たちが通う学園でも有名な話ではありますが、私に応援と同情をいただいてしまいます。この婚約を良く思ってはいないのでしょう。  ですが、バズドド様の幼馴染が遠くの地から王都へ帰ってきてからというもの、私たちの恋仲関係も変化してきました。  ある日、馬車内での出来事をきっかけに、私は本当にバズドド様のことを愛しているのか真剣に考えることになります。  その結果、私の考え方が大きく変わることになりました。

【完結】旦那様は、妻の私よりも平民の愛人を大事にしたいようです

よどら文鳥
恋愛
 貴族のことを全く理解していない旦那様は、愛人を紹介してきました。  どうやら愛人を第二夫人に招き入れたいそうです。  ですが、この国では一夫多妻制があるとはいえ、それは十分に養っていける環境下にある上、貴族同士でしか認められません。  旦那様は貴族とはいえ現状無職ですし、愛人は平民のようです。  現状を整理すると、旦那様と愛人は不倫行為をしているというわけです。  貴族の人間が不倫行為などすれば、この国での処罰は極刑の可能性もあります。  それすら理解せずに堂々と……。  仕方がありません。  旦那様の気持ちはすでに愛人の方に夢中ですし、その願い叶えられるように私も協力致しましょう。  ただし、平和的に叶えられるかは別です。  政略結婚なので、周りのことも考えると離婚は簡単にできません。ならばこれくらいの抵抗は……させていただきますよ?  ですが、周囲からの協力がありまして、離婚に持っていくこともできそうですね。  折角ですので離婚する前に、愛人と旦那様が私たちの作戦に追い詰められているところもじっくりとこの目で見ておこうかと思います。

【完結】私より優先している相手が仮病だと、いい加減に気がついたらどうですか?〜病弱を訴えている婚約者の義妹は超が付くほど健康ですよ〜

よどら文鳥
恋愛
 ジュリエル=ディラウは、生まれながらに婚約者が決まっていた。  ハーベスト=ドルチャと正式に結婚する前に、一度彼の実家で同居をすることも決まっている。  同居生活が始まり、最初は順調かとジュリエルは思っていたが、ハーベストの義理の妹、シャロン=ドルチャは病弱だった。  ドルチャ家の人間はシャロンのことを溺愛しているため、折角のデートも病気を理由に断られてしまう。それが例え僅かな微熱でもだ。  あることがキッカケでシャロンの病気は実は仮病だとわかり、ジュリエルは真実を訴えようとする。  だが、シャロンを溺愛しているドルチャ家の人間は聞く耳持たず、更にジュリエルを苦しめるようになってしまった。  ハーベストは、ジュリエルが意図的に苦しめられていることを知らなかった。

【完結】夫が愛人と一緒に夜逃げしたので、王子と協力して徹底的に逃げ道を塞ぎます

よどら文鳥
恋愛
 夫のザグレームは、シャーラという女と愛人関係だと知ります。  離婚裁判の末、慰謝料を貰い解決のはずでした。  ですが、予想していたとおりザグレームとシャーラは、私(メアリーナ)のお金と金色の塊を奪って夜逃げしたのです。  私はすぐに友人として仲良くしていただいている第一王子のレオン殿下の元へ向かいました。  強力な助っ人が加わります。  さぁて、ザグレーム達が捕まったら、おそらく処刑になるであろう鬼ごっこの始まりです。

【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥
恋愛
「ライアンとは婚約解消したい。幼馴染のミーナから声がかかっているのだ」  婚約者であるオズマとご両親は、私のお父様の稼ぎを期待するようになっていた。  幼馴染でもあるミーナの家は何をやっているのかは知らないが、相当な稼ぎがある。  どうやら金銭目当てで婚約を乗り換えたいようだったので、すぐに承認した。  だが、ミーナのご両親の仕事は、不正を働かせていて現在裁判中であることをオズマ一家も娘であるミーナも知らない。  一方、私はというと、婚約解消された当日、兼ねてから縁談の話をしたかったという侯爵であるサバス様の元へ向かった。 ※設定はかなり緩いお話です。

処理中です...