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第一章 不可思議な現実?
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しおりを挟むそう私はバルコニーより身を投げた⁉
然も楽しそうに、まるでダンスを踊る様にステップを踏みながらでも実際心の中では血の涙を流していた私はバルコニーからダイブした。
覚えているのは身を投げた瞬間ふわりとした浮遊感の後下へ向かって堕ちて行ったわ。
でも覚えているのはそこ……ううん、確か意識を失う間際に感じたあの温かく包み込まれる様な感覚は一体……。
意識を失った後の事はわからない。
まぁそこは普通に意識を消失したのか先か、はたまた何もわからないまま地面と仲良くなってしまったって事は⁉
ちょ、ちょっと待って。
で、では今の私はもう既に死んで……いる?
ほら三階のバルコニーから勢いよく身を投げたのだもの。
失恋とショックで一晩寝ていなかったと言うかよ。
婚約者の目の前で笑って死んでやるって意地にもなっていたし、彼に隙を与えない為にも躊躇う事なんて出来なかった。
とは言え三階から身を投げたにしては考えていたよりも長く堕ちていたわね。
意識も直ぐに失うかなって思ったのに、暫くの間は堕ちる感覚がわかっていたもの。
あの状況で死んでしまったとしても当然だし、いや寧ろ助かっていたのであれば今頃全身包帯だらけのミイラ女と化せばよ。
指一本だけではなく恐らく言葉も真面に発せられないだろう筈なのにどうしてなの⁉
不思議な事に今の私は何処にも包帯の巻いている場所はおろか包帯らしきものの存在すらも認められない。
ううん身体の何処にも痛みはないしまさに健康そのものって感じで異常は全く……ない?
いやいや少し落ち着こうか私。
痛みも何もないって事はやはり私はもう既に死んでいる案件なのでは⁉
もしかして私は幽霊にでもなったの?
まぁ何れにせよそれを選んだのは他でもない私自身なのだけれど。
出来れば浮遊霊若しくは地縛霊ではなくちゃんと成仏したかったわね。
そんな事をつらつらと考えながら姿見の前で自身の姿をぼーっと見つめていた。
可笑しいわね。
これは間違いようもなく胸だけでなく身体は小さなお子様体型。
ほらこの手もまるで縮んだ様に小さく可愛いらしいサイズだわ。
まるで物語の様に大人から子供へ若返……⁉
暢気にも笑みを浮かべながらお馬鹿な事を考えていたまさにその時だった。
「何時までそうしておられるのですかエルお嬢様。今日は王宮へ、両陛下とのお茶会の日ですからちゃんとして下さいね」
「お茶……会?」
「そうですよ。何時もの野生児野猿令嬢様は綺麗にお隠しとなり、深窓のご令嬢の仮面をきっちりと、ええ絶対に1㎜も仮面を剥がしてはいけませんよ!!」
ちょ、ちょっと待って。
「お・へ・ん・じ・は!!」
なんかもう凄いの。
背景がドロドロの、物凄く真っ黒なオーラを纏ったテアが余りにも久しぶり過ぎて半端なく怖い⁉
だから私は深く考える間もなくその場の雰囲気と勢いのまま――――。
「い、イエス・マム!!」
「はい、良く出来ました。ではこちらへきて支度をして貰いましょうねお嬢様」
テアの満面の笑みが何よりも怖い⁉
そしてこれは絶対に有無を言わせない笑顔だわ!!
これだけは忘れようたって忘れられない。
思いっ切り調教され続けたテアの恐ろしい一面。
何を隠そうって何も隠してはいないわよ。
ただ私は昔からほんの少しだけ普通の令嬢とは違っていた。
皆が甘やかしてくれるのも一理あると思う。
でもそれに便乗した私は気づけばお転婆を思いっきり通り越しじゃじゃ馬街道まっしぐら。
当時そんな私に手を焼いていた両親はある日一人の少女を侯爵家の養女として迎え入れたわ。
アショフ男爵家令嬢テア・エデルガルト・フローン。
私を淑女へと矯正するべくやってきた私の専従侍女!!
たった3歳しか違わないのに、初対面のテアは12歳にして既に完璧な淑女。
ご実家は裕福だけれども男爵家の次女であるテアの将来は決して明るいものではない。
そこでお父様とお母様は行く行くは養女としてテアを我が侯爵家へ縁付け、将来は侯爵令嬢として嫁に出す事を条件に最初は私の話し相手と言う名の師匠として我が家へやってきたのだがしかし――――。
「閣下、ここは是が非とも義姉ではなくお嬢様の侍女として、一からお嬢様と向かい合いたいと思います」
何処をどう見ても令嬢らしくなく男の子の様に走り回っていた私。
初対面で顔に泥や葉っぱを付けては大口を開けて笑っている私を穴が開く程凝視したテアはそう宣ったのである。
勿論ここで私……いや両親にも既に拒否権と言うものは存在しない。
気付けばある意味テアは我が家で一番の権力を持ってしまった。
第一頭もキレっキレでその上お母様と同じくらいの素晴らしい淑女っぷりって一体どんな化け物なのよ。
ともあれ王妹であられるお母様の一番のお気に入りとなったテアに最早怖いものは存在しない。
行く行くは養女にと言うお話もお母様によって既に養女扱いではなく実の娘となっているのだもん。
まぁそのテアのお陰で今の私は立派な淑女になったのだけれど……ってちょっと待って⁉
私とテアはまだ知り合ってそんなに時間は経過していない筈。
なのに立派な淑女って一体……。
あれれ、深く考えようとすればする程また頭の中は霞みで一杯になる。
色々とわからない事が多過ぎる。
そして納得の出来ない事も多い。
このまま私はどうなっていくのかしら。
完全に現状が把握出来ないままの私は鬼教官、いやテアの指示通り数名の侍女達によって手早く身支度を整え、混乱した頭を抱えたまま王城へ伺候した。
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