【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki

文字の大きさ
12 / 140
第一章  不可思議な現実?

11

しおりを挟む


 魔王と化したアルお兄様のお陰でその後は比較的友好的な?
 いやいや果たしてあれは本当に友好的だったのだろうか。


 気付けば私は私を溺愛し過ぎるアルお兄様のお膝の上でお茶を、焼き菓子やケーキをそれはもう雛鳥の様にせっせと食べさせられていた。
 然も対面にはジーク様の生暖かいからの何故か突き刺さる様な眼差しの中でゆっくりと、何時もより時間の流れが遅く感じるのは気のせい?

 とは言えこの状態の私は何と言うか、とてもではないけれど居た堪れないし居心地も最悪よ。

 当然私は何度もお膝より下ろして欲しいと、お行儀が悪いからと、一番はお客様の前で恥ずかしいからと何度もアルお兄様へ抗議はしたの。

 何故かアルお兄様ってばそれはもう満面の、イケメンの笑顔の破壊力とは血の繋がっている妹でさえも思わず見惚れてしまう程に強烈だわ。
 私はまるで巨大な砂糖壺の中へ、頭の天辺から足の指先まで完全に漬け込まれている様な錯覚を覚えてしまう程に溺愛されている……ってこれは過去の記憶とそう大差ないわね。
 
 そう私をここまで溺愛するのはアルお兄様だけではないのだもの。
 ただここで問題なのは、ジークヴァルト様の前で恥ずかしいと騒ぎつつも、この現状に馴染んでしまっている私も相当ヤバいのかもしれない。


「いいの、これはの出来なかった愚かな駄犬への罰ゲームだよ。だからね僕の可愛らしいエルは何も気にしなくてもいいの。さぁ今度はお前の好きな木の実のタルトを……焼きたてだから香ばしくて美味しいよ。ほら、可愛いお口をあーんと開けてご覧」
「んンっ、お兄……あふぁ」

 口の中のものを咀嚼し終えれば絶妙なタイミングで紅茶をって私は、本当に雛鳥の様にせっせと食べさせられ次第に麗しいお兄様のお顔がどんどんこちらへ近づい――――⁉
 
「ストップです。それは流石にやり過ぎですわアルフォンス様」

 グッジョブテア!!

 そうだよ兄妹での口移しはにアウトでしてよお兄様!!

「はぁテアに注意されると仕方がないな。でもこれで丁度いいお仕置きになったみたいだから僕はとても満足しているよ」

 だからぁ一体誰に、そして何に対してのお仕置きなの?
 

 最初は素直に私なのかなって思ったけれども違った。
 第一私はアルお兄様にお仕置きをされる様な事をした覚えはないもの。
 ではジークヴァルト様……ってそれは本当にあり得ない。

 抑々ジークヴァルト様にしてみれば私何て存在しないのも同然。
 こうして今日みたいにイレギュラー的なイベントは多分、先日のアレの様にバグ若しくは単なる気紛れだと思う。
 
 ではテア?
 それも違うでしょ。
 この時のテアはまだ12歳。
 位置づけとしては一応私の専従侍女的な存在。

 でも正式には我がキルヒホフ侯爵家へ養女として、男爵家より既に籍は抜いてはいるけれどね。
 お互いに様子を見てから…・・・だったと思われる養女の件は何時の間にかお母様とテアとの談合の結果、テアが侯爵家へ越してきた時だったみたい。
 またその談合での条件として挙げられたのは、テアの岩石よりも堅い意志の許において、野猿令嬢である私を侍女目線で一から躾け直すだなんて、物凄く恐ろしいシチュエーションにがっつりと嵌っているらしい。

 まぁお母様にしてみれば可愛らしくも優秀過ぎるテアが義理とは言え娘となるだけでなく、長年手を焼いている実の娘の私が野猿から無事に卒業してくれるのであればよ。
 少々斜め上を突き抜けたテアの侍女目線と言う方法も結果オーライならば何をしてもいいと言った具合でするっと了承されてしまった。


 そうして常にテアの後ろ手に隠されているだろう見えない鞭は、当時何も知らない幼かった私を何度恐怖の底へと叩き落とした事だろう。
 
 あぁ目を閉じると過去の記憶が少し思い出されていく。
 私は何時もテアの半端ない扱きによって毎日泣き暮らしていた……ってテアがきてまだそんなに時間は経っていないけれどね。
 
 えーっと話が少し逸れたわね。
 うーん私でもジークヴァルト様にテアでもなければお仕置きは一体誰目的?


 結局何もわからないままお茶会は無事に終了したわ。
 気掛かりだったのは何処か魂の抜けた様なお姿へと変わられたジークヴァルト様。
 最後はアルお兄様へ馬車に押し込まれるようにして静かに帰宅されたわね。
 一方アルお兄様は至って満足そうに『百年早いわ!!』とか謎の言葉を漏らしておいでだったし、テアはと言えば『まだまだアルフォンス様もお子様ですわね』と何処か達観した感じの物言いに、理解の出来ない私の頭の中ではてなマークで一杯だ。

 まぁ何れにせよ私にはもう関係ないからいいわ。

 この時はもうジークヴァルト様との接点は暫くないものだと思っていたのだけれどね。
 
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った

Mimi
恋愛
 声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。  わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。    今日まで身近だったふたりは。  今日から一番遠いふたりになった。    *****  伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。  徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。  シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。  お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……  * 無自覚の上から目線  * 幼馴染みという特別感  * 失くしてからの後悔   幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。 中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。 本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。 ご了承下さいませ。 他サイトにも公開中です

【完結】この胸が痛むのは

Mimi
恋愛
「アグネス嬢なら」 彼がそう言ったので。 私は縁組をお受けすることにしました。 そのひとは、亡くなった姉の恋人だった方でした。 亡き姉クラリスと婚約間近だった第三王子アシュフォード殿下。 殿下と出会ったのは私が先でしたのに。 幼い私をきっかけに、顔を合わせた姉に殿下は恋をしたのです…… 姉が亡くなって7年。 政略婚を拒否したい王弟アシュフォードが 『彼女なら結婚してもいい』と、指名したのが最愛のひとクラリスの妹アグネスだった。 亡くなった恋人と同い年になり、彼女の面影をまとうアグネスに、アシュフォードは……  ***** サイドストーリー 『この胸に抱えたものは』全13話も公開しています。 こちらの結末ネタバレを含んだ内容です。 読了後にお立ち寄りいただけましたら、幸いです * 他サイトで公開しています。 どうぞよろしくお願い致します。

【完結】最愛から2番目の恋

Mimi
恋愛
 カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。  彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。  以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。  そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。  王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……  彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。  その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……  ※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります  ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません  ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります  

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~

桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜 ★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました! 10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。 現在コミカライズも進行中です。 「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」 コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。 しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。 愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。 だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。 どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。 もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。 ※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!) 独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。 ※誤字脱字報告もありがとうございます! こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

処理中です...