【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki

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第一章  不可思議な現実?

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 カオスなお茶会を終え数日経った今日私は両親と共に王都内にある大神殿へと来ていた。

 
 目的はこの世界を護られる女神イルメントルート様へお祈りをするのでもなければ、神官様へ懺悔をする訳でもない。
 
 大神殿へ赴いたのは私自身の魔力測定を行う為!!

 つまり今日は本当の意味で私のお誕生日。
 因みに誕生を祝うのは誕生日より三ヶ月後と法律によって正式に定められているの。
 だから誕生日が来ても無事に三ヶ月になるまでお祝いは行われない。

 特に生後10歳までの子供達にとって無事に毎年お誕生日を安心してお祝いできる様に、誕生日を迎え三ヶ月間ちゃんと無事に、そしてこれからも健康であります様にと気持ちを込める意味合いもある。
 そしてこれはこの王国だけではないよ。
 なんと世界中でこれがお約束事となっているのよね。

 何時から始まったのかは諸説ある。


 
 昔々、遠く遥か昔のお話よ。
 この世界が誕生してまもなくだったわ。
 ある日突然一人の邪悪な大魔女によりとんでもない大厄災に見舞われたらしい。
 然もその内容はかなりハードなもの。
 今まで見た事も聞いた事のない病で日々これに罹る人々は数万単位。
 おまけに治療法はなくて屍累々。
 
 大魔女によって齎された病だけでも大変だって言うのによ。
 その魔女は大小様々な魔獣の意思を奪えばそれらを自由に操り各国へ、人々が多く住んでいる都へ、ある国は王宮にまで自我を失った魔獣達より蹂躙され、それはそれは大惨事だったとか。

 勿論当時の人間達が何も対応しなかった訳ではない。
 
 その頃でも勇者や魔法使いだって存在していたわ。
 それぞれの国が、勇気のある者達が皆一丸となって大魔女を打ち取ろうと躍起になって……とはいかなかった。

 確かに大魔女や彼女によって意思を奪われた魔獣達をどうにかしたいとまた力ある者、心ある者達は皆行動を起こそうとしたのよ。

 でも大魔女の方が一枚も二枚も上手だった。
 力を有する人々はあろう事か皆大魔女の強力過ぎる魅了に掛かればだ。
 何と敵である筈の大魔女を全員で護っちゃうんだもん。

 その事実に気づいた後発隊……先に向かった先発隊に比べれば力だけでなく、何もかもが雲泥の差の微々たる能力でしかない彼らになす術はなく、おまけに味方だと思っていた仲間によって殆どの者があっと言う間に殺されてしまったらしいわ。

 大魔女に選ばれた力ある者は魅了の虜となり、力のない者は元仲間達か若しくは魔獣、それとも大魔女の齎した病の何れかによって死を突き付けられ絶体絶命の時だった。

 天空より一条の眩い光と共に荒廃した地上へ降り立ったのは一人の美しい女神様。

 世界を救うべく女神様の持つ大いなる力によって大魔女は拘束され、この地上の何処かに頑丈な結界内へと封じられた。
 力ある者達と魔獣に掛けられた術が女神様によって解かれれば、世界中へと蔓延していただろう病は女神様の持つ癒しの力で瞬く間に消失した。

 こうして世界は再び平和へと戻り、女神様……つまり目の前の大きな女神像の御名はイルメントルート様。

 感謝の意味を込めてイルメントルート様を各国の神殿で祀らせて頂いていると言うのが、幼い頃よりどの国の子供も教わる昔話なのよね。
 因みに大魔女は今も世界の何処かで女神様の結界で封じられているらしい。

 またこの時に助けられた力ある者達は己が犯した罪に苛まれって、普通に自分の友人や仲間を術に掛けられていたとは言えだ。
 なす術のなかった彼らは実際に沢山の命を奪ってしまったのだもの。
 そこは罪の意識に苛まれても致し方はないと思う。

 でも女神様はそんな彼等へ機会をお与えになられたのよ。


 世界中に助けを求める者達の元へ、力ある者達がその助けとなる様に……。


 それが聖なる者の選定。
 
 男性ならば聖人と呼ばれ、女性は聖女。

 また聖なる者として選ばれるのは世界に一人だけではない。
 
 その年にもよるけれど、聖なる者は崇められるのではなく人々の助けとなる立派な職業。
 当然そこにお給金は発生する訳で、彼らのお給金は神殿からではなく国家聖務局として国よりちゃんと支払われるの。

 また国家聖務局員に貴族や平民なんて身分は一切関係なく、国家には属しているけれども国に強制されたりはしない独立機関。
 神殿も彼らへ干渉する事は許されない。
 完全に独立した部署であり、給金はまずまずだし、ボーナスも出れば将来は何と年金も支給されるのよ。
 

 はっきり言って憧れの職業よね。
 白と青に金糸の刺繍を施された外套と制服。
 聖なる者にしか着用を許されない特別なもの。

 特に貴族の嫡子以外の子供達や平民の子供達にとって一番なりたいものでしょうね。

 実は私も昔はそうだったわ。
 
 でも今は……ハーフハーフかな。
 何はともあれ聖なる者の選定へと行きましょうか。
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