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クロムウェルの吸引に合わせて、アメイジングペガサスの風で加速し頭に全力で頭突きを行った。
流石にクロムウェルもこれは予想外だったらしく、大きく身体を怯ませる。
「いったぁ。普通貴族令嬢が頭突き選ぶ?マジで痛いんだけど」
「殺そうとしといて、それは都合がいいわね!アメイジングスパロー」
雀の悪戯は時に恐ろしいものよ。
超級魔法になると魔法の威力は、たとえ非殺傷の魔法だとしても測り知らない力を出す。
「おっと、僕はしっかり宝具を握ってたのにな」
「だから?アメイジングハクビシン!」
結局宝具も魔装を使って起動してる。
つまり、魔力を体外に排出させれば宝具自体起動できないはず。
仮に聖なる力の様に別の力を扱っていたとしても、魔力を体外に放出させるのはそれだけで負担になるし、クロムウェルが魔法を使えるから無駄にはならない。
「バカみたいに超級魔法を受けるとお思いで!?」
ハクビシンが目の前で消失した。
クロムウェルは左手にナイフを持っていた。
「皇族剣術ね」
「正解。ふぅ、これはかなり負担ですけどね」
皇族剣術は左手で剣を構えてる時だけしか使えないと言う。
ただし、その効能はあらゆる剣術を使えると言う物。
「今のはディラのタラクサクム家の剣術!」
「そうさ。これは分裂の剣術ですよお義姉様」
「こちらを不快にする剣術を選ぶとは、なるほど大した物です」
「ディーラの様に舞踊の衣がないから本当に疲れますよ」
「ごめんマリ、貴女を抱えながら闘える自信がない。立てる?」
「だ、大丈夫」
「よかった。アース!あんたはどっちの味方かわからないけど、援護は期待して良いのよね?」
「はぁ、あっしはアハトに付いてる。だから援護させてもらうよ!」
「マリも支援よろしくね。皇族は一人では絶対に勝てないから」
「わ、わかったわ」
さっきまで敵だった相手だけど、だからこそ心強い。
問題はクロムウェルがーーー
「流石に分が悪いな。義姉様やゴールドマリー、アース、単身なら恐るるに足らないけど手を組まれたら流石に厳しい。特にお義姉様とゴールドマリーの組み合わせは最悪だ。それに対応しながらアースの剣を止める?ごめん被るね。故にここから逃げるとしよう」
「まぁそうくるわよね」
私がクロムウェル様でもそうする。
私の超級魔法とマリの聖なる魔法、この二つだけで回避に徹するしかない上にアースの剣戟を避けるなんて正直やりたくないわよ。
「でも逃すわけないでしょ?」
「いや、逃げるだけなら造作もないよ」
そう言うとクロムウェルは地面にナイフを突き刺した。
地面に突き刺す剣術はーーー
「ランダール家の剣術だよ。地砕」
「地震を引き起こし大地を割る公爵家の剣術」
「流石、実家の剣術は知ってたかー」
これは強力である反面、体力だけじゃなく身体の寿命も削る。
そんなにおいそれと使える剣術じゃないわよ。
「早く逃げないと対応されそうだ。だからこれにて失礼するよ!」
「逃すと思うかい?」
その声と共に空から何か飛来した。
流石のクロムウェル様も咄嗟のことで剣術を出す暇がなかったみたいだ。
「アハト!」
「元気そうだねルル」
アハトがどうしてここに。
いや帝国は共和国に侵攻してるんだから当たり前か。
だとしたらどうして国内ではなくここに?
アハトが笑ってる。
私の感情を読んでるわね。
「に、兄様」
「クロムウェル、久しぶりだね。あの時はよくもやってくれたな」
クロムウェルと同様に皇族だし皇族剣術を使える。
けれど皇族剣術はすべての剣術の完成形ではなく、すべての剣術が使えるだけ。
だから相手がどんな剣術を使うかまでは予測でしかわからない。
「くそっ!4対1は流石に分が悪いどころじゃなく負け確定だよ。あーあ!」
クロムウェル様の目が赤くなり、髪の色が金色から白くなる。
なにあれ?
「吸えよ災厄の刺青!」
クロムウェルが次には光りだした。
そしてアハトを吹き飛ばした。
アハトが私の横で着地体制をとるが、苦い表情をしている。
「これほどか。予想しているよりも強力な覚醒者だ」
「覚醒者?」
「あぁ、ルルには後で話す。今はあいつを逃がさないことだけ考えて。さっきの百倍強いからね。比喩じゃないよ。マリとアースは悪いが足手まといだから下がってて」
「比喩じゃないって何よ」
「文字通りだ。あれはーーー」
『告。魅了属性ヲ感知シマシタ』
魅了属性!?
じゃああれはクロムウェルの魔装、いや宝具ね。
「義姉さん、兄さん。どっちか一人でも殺す。そして離脱させてもらうよ」
「俺に勝とうってんなら甘いな。ルル、援護よろしく」
「こういうの久しぶりね」
「ルルには色々話したいこともある。絶対に死なないで」
「それはこっちのセリフ。あんたには言いたいことがいっぱいある。でもまずはこいつをどうにかしてからだわ」
約4年振りの共闘。
私もアハトも昔のような関係でもなければ強さも変わってる。
でも、でも、それでもこいつの背中は安心感があるわ。
流石にクロムウェルもこれは予想外だったらしく、大きく身体を怯ませる。
「いったぁ。普通貴族令嬢が頭突き選ぶ?マジで痛いんだけど」
「殺そうとしといて、それは都合がいいわね!アメイジングスパロー」
雀の悪戯は時に恐ろしいものよ。
超級魔法になると魔法の威力は、たとえ非殺傷の魔法だとしても測り知らない力を出す。
「おっと、僕はしっかり宝具を握ってたのにな」
「だから?アメイジングハクビシン!」
結局宝具も魔装を使って起動してる。
つまり、魔力を体外に排出させれば宝具自体起動できないはず。
仮に聖なる力の様に別の力を扱っていたとしても、魔力を体外に放出させるのはそれだけで負担になるし、クロムウェルが魔法を使えるから無駄にはならない。
「バカみたいに超級魔法を受けるとお思いで!?」
ハクビシンが目の前で消失した。
クロムウェルは左手にナイフを持っていた。
「皇族剣術ね」
「正解。ふぅ、これはかなり負担ですけどね」
皇族剣術は左手で剣を構えてる時だけしか使えないと言う。
ただし、その効能はあらゆる剣術を使えると言う物。
「今のはディラのタラクサクム家の剣術!」
「そうさ。これは分裂の剣術ですよお義姉様」
「こちらを不快にする剣術を選ぶとは、なるほど大した物です」
「ディーラの様に舞踊の衣がないから本当に疲れますよ」
「ごめんマリ、貴女を抱えながら闘える自信がない。立てる?」
「だ、大丈夫」
「よかった。アース!あんたはどっちの味方かわからないけど、援護は期待して良いのよね?」
「はぁ、あっしはアハトに付いてる。だから援護させてもらうよ!」
「マリも支援よろしくね。皇族は一人では絶対に勝てないから」
「わ、わかったわ」
さっきまで敵だった相手だけど、だからこそ心強い。
問題はクロムウェルがーーー
「流石に分が悪いな。義姉様やゴールドマリー、アース、単身なら恐るるに足らないけど手を組まれたら流石に厳しい。特にお義姉様とゴールドマリーの組み合わせは最悪だ。それに対応しながらアースの剣を止める?ごめん被るね。故にここから逃げるとしよう」
「まぁそうくるわよね」
私がクロムウェル様でもそうする。
私の超級魔法とマリの聖なる魔法、この二つだけで回避に徹するしかない上にアースの剣戟を避けるなんて正直やりたくないわよ。
「でも逃すわけないでしょ?」
「いや、逃げるだけなら造作もないよ」
そう言うとクロムウェルは地面にナイフを突き刺した。
地面に突き刺す剣術はーーー
「ランダール家の剣術だよ。地砕」
「地震を引き起こし大地を割る公爵家の剣術」
「流石、実家の剣術は知ってたかー」
これは強力である反面、体力だけじゃなく身体の寿命も削る。
そんなにおいそれと使える剣術じゃないわよ。
「早く逃げないと対応されそうだ。だからこれにて失礼するよ!」
「逃すと思うかい?」
その声と共に空から何か飛来した。
流石のクロムウェル様も咄嗟のことで剣術を出す暇がなかったみたいだ。
「アハト!」
「元気そうだねルル」
アハトがどうしてここに。
いや帝国は共和国に侵攻してるんだから当たり前か。
だとしたらどうして国内ではなくここに?
アハトが笑ってる。
私の感情を読んでるわね。
「に、兄様」
「クロムウェル、久しぶりだね。あの時はよくもやってくれたな」
クロムウェルと同様に皇族だし皇族剣術を使える。
けれど皇族剣術はすべての剣術の完成形ではなく、すべての剣術が使えるだけ。
だから相手がどんな剣術を使うかまでは予測でしかわからない。
「くそっ!4対1は流石に分が悪いどころじゃなく負け確定だよ。あーあ!」
クロムウェル様の目が赤くなり、髪の色が金色から白くなる。
なにあれ?
「吸えよ災厄の刺青!」
クロムウェルが次には光りだした。
そしてアハトを吹き飛ばした。
アハトが私の横で着地体制をとるが、苦い表情をしている。
「これほどか。予想しているよりも強力な覚醒者だ」
「覚醒者?」
「あぁ、ルルには後で話す。今はあいつを逃がさないことだけ考えて。さっきの百倍強いからね。比喩じゃないよ。マリとアースは悪いが足手まといだから下がってて」
「比喩じゃないって何よ」
「文字通りだ。あれはーーー」
『告。魅了属性ヲ感知シマシタ』
魅了属性!?
じゃああれはクロムウェルの魔装、いや宝具ね。
「義姉さん、兄さん。どっちか一人でも殺す。そして離脱させてもらうよ」
「俺に勝とうってんなら甘いな。ルル、援護よろしく」
「こういうの久しぶりね」
「ルルには色々話したいこともある。絶対に死なないで」
「それはこっちのセリフ。あんたには言いたいことがいっぱいある。でもまずはこいつをどうにかしてからだわ」
約4年振りの共闘。
私もアハトも昔のような関係でもなければ強さも変わってる。
でも、でも、それでもこいつの背中は安心感があるわ。
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