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第2章 王都にて(前)

第67話 判断ミス

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結局エレンはウィルに、

「さすがに今のユーリ殿下にはかくれんぼは無理だろう」

と言われ

かくれんぼを泣く泣く諦めた。

部屋に戻ったエレンは思った。

『今日がダメでも明日がある!( ´_ゝ`)!』

明日ユーリの熱が下がっていたら、

まだチャンスがある。

そう思ったエレンだったが、

重大な事実に気がついた。

『あ!深緑色の服今日来ちゃったから明日着れない!』

エレンはごそごそ他に庭と同化できそうな服がないか探したが、

そもそもエレンはそんなに服に興味がないので、

あまり数を持っておらず、

深緑色の服にかわる服は見つからなかった。

エレンは今日は色々判断ミスが多かったと反省した。

珍しく落ち込むエレンをテオドアール家の従者たちは心配して、

なにがあったのかとウィルを問い詰めたが、

正直ウィルも細かいことは知らないので役にたたなかった。

ウィルは従者たちに役立たずと罵られ、

自分にあてがわれた寝室に逃げ込むと、

ベッドにぼふっと寝転びながら考えた。

『やれやれ。

ユーリ殿下とエレンの相性が悪くなければ、

ユーリ殿下には臣籍降下してもらって、

エレンの婿にもらうのもいいかなと思ってたけど、

この様子じゃ無理そうかな?』

ウィルは再婚する気がなかったので、

テオドアール家の後継者問題には一応頭を悩ませていた。

エレンに婿をもらって跡をつがせるのが通常だが、

エレンはあの性格だ。

婿については中々難しい。

それになるべくエレンには自由でいてほしかった。

ユーリは第二皇子だから臣籍降下もあまり難しくないし、

テオドアール家は元々王家の傍系で、

歴史も古く、

家格も釣り合わないこともないし、

ディアナから聞いたユーリの性格だと、

権謀術数の王宮の中で生きるよりも、

テオドアール辺境領でのんびり領主をするのも悪くないんじゃないかと思った。

何よりユーリの母親のディアナはエレンのことをよく理解してくれていたから、

ユーリをエレンの婿にどうかなーと何気に策を巡らせていたウィルだったが、

今日の様子だと中々難しそうだ。

あとは養子をもらうのも手だが、

業突張りの親戚連中の中から養子をもらうのは嫌だし、

まったく関係ない子を養子にしたら、

親戚連中がまたうるさいだろうし。

あまり悩みのなさそうなウィルだったが、

これでも人並みに悩みがあった。
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