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三十四話 「祝宴」
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ダンジョンを攻略し地上に戻ってきたアッシュ達はまず冒険者組合に向かい、ダンジョンボスを倒した事を報告しに訪れた
地上に戻ってきた時に気がついたが、アッシュとアレッサの手の甲にはダンジョン攻略の証である紋様が刻まれていた
それが何よりの証拠となるなので誰も疑う者はいない。報告を聞いたナタリアはグンダと同じように喜んでくれた
報告を済ませた次は魔石とドロップアイテムの換金
魔石の方は何事もなく査定を終えることができたが、問題はドロップアイテムの方だった
『こ、これは・・・』
アッシュが包んでいた布から例のブツを出すと周りがザワついた
勿論珍しかったからというのもあるだろうが、やはり一番の理由は出てきたのが男のアレだからだろう
誰もが睾丸の査定を躊躇いいつまで経っても話が進まなかったので結局クジ引きで査定人を決めていた
因みにあのアイテムが睾丸だったことを知らなかったアレッサも組合の人達が話していたのを耳にして顔を真っ赤にしていた
なんやかんやありながらもなんとか査定は終了
魔石の方が金貨六十五枚、ドロップアイテムが金貨三十五枚となり合わせるとちょうど金貨百枚
つまり金貨よりも上である聖金貨一枚の査定額となった
ミノタウロスの時以上の大金を目の前にアッシュは倒れそうになった
流石にこれだけの大金を持ち歩く度胸はないのでこのお金は冒険者組合に預けることに
組合に預けたお金は冒険者カードに記録され、他の冒険者組合でも自由に引き出すことができるので一部を預けこれから使う費用分だけ受け取った
換金を終えるとアッシュ達は宿に直行
ジャイアントオーガとの戦闘で疲労し切った今一刻も早くベッドで休みたかった
だがこのまま祝杯を挙げないというのも味気がない
『でしたら宿の方にお願いして部屋にお料理を持ってきてもらってそこでお祝いしませんか?落ち着いた部屋ならゆっくりできますし』
『いいですね、そうしましょうか』
アレッサのその案を採用し、店主に料理を持ってきてもらう時間を伝えてその時間になるまで体を綺麗にしてベッドで体を休めた
夜になると頼んでいた料理が次々と部屋に運ばれてくる
祝いということもあり値段の事は気にせず好きなだけ頼んだのでテーブルの上は料理で埋め尽くされた
更に今日は料理だけでなく酒も解禁した。祝いの席で位なら多少羽目を外してもいいだろう
『それじゃあダンジョン攻略達成を祝って。乾杯!』
『乾杯!』
二人が頼んだ酒は林檎酒。林檎ならではの爽やかな香り、口に入れると酸味とほのかに甘みを感じる
酒を飲めるといってもアッシュは過去成人の祝いで一度飲んだきり、アレッサに至っては成人になって初めて飲むお酒だそうだったので度数が低く飲みやすそうなものを選んだ
クウも興味があるようだったので少しだけ呑ませてみたが、好みではなかったのかちょっと舐めただけで体を震わせ激しく拒絶していた
『どうですかアレッサさん、初めてのお酒は』
『美味しいです。もしかしたら私お酒強いのかもしれません』
そう言いながらアレッサはジョッキに入っていた酒をグビグビと飲み始めた
思えばここで止めておけばよかったが、祝いの席で止めるのも野暮かと思いその時は何も言及はしなかった
だがそれから間もなくしてアレッサの泥酔状態が出来上がり、顔が林檎の様に真っ赤になってしまっていた
『だ、大丈夫ですかアレッサさん?』
『はえぇ~?にゃにがでしゅか~?わらひはこの通りじぇんじぇん問題ないでしゅよ~』
呂律が回ってないし全く大丈夫そうには見えない
幸い酔い潰れてもベッドがあるのでなんとかなるだろう
『アッシュしゃん!いい機会にゃので貴方に言いたいことがありましゅ!』
『な、なんでしょうか?』
普段の優しい口調とは打って変わって強い口調で喋りかけてくるアレッサ
酔うとこんな感じになるのかと思いつつ何を言われるのだろうと身構える
しかしアレッサの口から出たのは拍子抜けする内容だった
『どうしていつまでも他人行儀な喋り方なんでしゅか!わらひはもっとアッシュしゃんと仲良くにゃりたいんです!』
『え、えぇ?そんな事ですか?でもそれを言ったらアレッサさんだって・・・』
『歳下の!わらひが!フレンドリーにいこうぜ。にゃんて言ったらこいつ生意気だぁって思われりゅかもしれにゃいじゃないでしゅか!』
人格がコロコロ変わるアレッサはテーブルを叩きながら自身の気持ちを吐露した
そんな風に考えていたなんて思いもしなかった
普段から敬体で話していたので特に深い意味はなかったが、アレッサはそれがよそよそしく感じていたようだ
『わかり・・・分かった、これからは普通に喋るから。これでいいかなアレッサさん?』
『しゃんもいりましぇん!』
『あ、アレッサ』
照れ臭そうにしながらアッシュがアレッサの名を口にすると、満足したのか満面の笑みを浮かべた
そしてアレッサはその感情を体現し思い切り抱きついてきた
『ちょっ!?アレッサ!?』
『んふ~♪今日はとてもいい日でしゅ♪』
流石にこれはまずい
そう思い半ば強引に引き剝がそうとすると、アレッサから寝息が聞こえてきた
気持ちよさそうに眠っていたので起こさないようゆっくり離しベッドに寝かせてあげた
今度からお酒は控えさせよう・・・そう心に決めアッシュは残った食事と酒をクウと共に平らげてから床に就いた
地上に戻ってきた時に気がついたが、アッシュとアレッサの手の甲にはダンジョン攻略の証である紋様が刻まれていた
それが何よりの証拠となるなので誰も疑う者はいない。報告を聞いたナタリアはグンダと同じように喜んでくれた
報告を済ませた次は魔石とドロップアイテムの換金
魔石の方は何事もなく査定を終えることができたが、問題はドロップアイテムの方だった
『こ、これは・・・』
アッシュが包んでいた布から例のブツを出すと周りがザワついた
勿論珍しかったからというのもあるだろうが、やはり一番の理由は出てきたのが男のアレだからだろう
誰もが睾丸の査定を躊躇いいつまで経っても話が進まなかったので結局クジ引きで査定人を決めていた
因みにあのアイテムが睾丸だったことを知らなかったアレッサも組合の人達が話していたのを耳にして顔を真っ赤にしていた
なんやかんやありながらもなんとか査定は終了
魔石の方が金貨六十五枚、ドロップアイテムが金貨三十五枚となり合わせるとちょうど金貨百枚
つまり金貨よりも上である聖金貨一枚の査定額となった
ミノタウロスの時以上の大金を目の前にアッシュは倒れそうになった
流石にこれだけの大金を持ち歩く度胸はないのでこのお金は冒険者組合に預けることに
組合に預けたお金は冒険者カードに記録され、他の冒険者組合でも自由に引き出すことができるので一部を預けこれから使う費用分だけ受け取った
換金を終えるとアッシュ達は宿に直行
ジャイアントオーガとの戦闘で疲労し切った今一刻も早くベッドで休みたかった
だがこのまま祝杯を挙げないというのも味気がない
『でしたら宿の方にお願いして部屋にお料理を持ってきてもらってそこでお祝いしませんか?落ち着いた部屋ならゆっくりできますし』
『いいですね、そうしましょうか』
アレッサのその案を採用し、店主に料理を持ってきてもらう時間を伝えてその時間になるまで体を綺麗にしてベッドで体を休めた
夜になると頼んでいた料理が次々と部屋に運ばれてくる
祝いということもあり値段の事は気にせず好きなだけ頼んだのでテーブルの上は料理で埋め尽くされた
更に今日は料理だけでなく酒も解禁した。祝いの席で位なら多少羽目を外してもいいだろう
『それじゃあダンジョン攻略達成を祝って。乾杯!』
『乾杯!』
二人が頼んだ酒は林檎酒。林檎ならではの爽やかな香り、口に入れると酸味とほのかに甘みを感じる
酒を飲めるといってもアッシュは過去成人の祝いで一度飲んだきり、アレッサに至っては成人になって初めて飲むお酒だそうだったので度数が低く飲みやすそうなものを選んだ
クウも興味があるようだったので少しだけ呑ませてみたが、好みではなかったのかちょっと舐めただけで体を震わせ激しく拒絶していた
『どうですかアレッサさん、初めてのお酒は』
『美味しいです。もしかしたら私お酒強いのかもしれません』
そう言いながらアレッサはジョッキに入っていた酒をグビグビと飲み始めた
思えばここで止めておけばよかったが、祝いの席で止めるのも野暮かと思いその時は何も言及はしなかった
だがそれから間もなくしてアレッサの泥酔状態が出来上がり、顔が林檎の様に真っ赤になってしまっていた
『だ、大丈夫ですかアレッサさん?』
『はえぇ~?にゃにがでしゅか~?わらひはこの通りじぇんじぇん問題ないでしゅよ~』
呂律が回ってないし全く大丈夫そうには見えない
幸い酔い潰れてもベッドがあるのでなんとかなるだろう
『アッシュしゃん!いい機会にゃので貴方に言いたいことがありましゅ!』
『な、なんでしょうか?』
普段の優しい口調とは打って変わって強い口調で喋りかけてくるアレッサ
酔うとこんな感じになるのかと思いつつ何を言われるのだろうと身構える
しかしアレッサの口から出たのは拍子抜けする内容だった
『どうしていつまでも他人行儀な喋り方なんでしゅか!わらひはもっとアッシュしゃんと仲良くにゃりたいんです!』
『え、えぇ?そんな事ですか?でもそれを言ったらアレッサさんだって・・・』
『歳下の!わらひが!フレンドリーにいこうぜ。にゃんて言ったらこいつ生意気だぁって思われりゅかもしれにゃいじゃないでしゅか!』
人格がコロコロ変わるアレッサはテーブルを叩きながら自身の気持ちを吐露した
そんな風に考えていたなんて思いもしなかった
普段から敬体で話していたので特に深い意味はなかったが、アレッサはそれがよそよそしく感じていたようだ
『わかり・・・分かった、これからは普通に喋るから。これでいいかなアレッサさん?』
『しゃんもいりましぇん!』
『あ、アレッサ』
照れ臭そうにしながらアッシュがアレッサの名を口にすると、満足したのか満面の笑みを浮かべた
そしてアレッサはその感情を体現し思い切り抱きついてきた
『ちょっ!?アレッサ!?』
『んふ~♪今日はとてもいい日でしゅ♪』
流石にこれはまずい
そう思い半ば強引に引き剝がそうとすると、アレッサから寝息が聞こえてきた
気持ちよさそうに眠っていたので起こさないようゆっくり離しベッドに寝かせてあげた
今度からお酒は控えさせよう・・・そう心に決めアッシュは残った食事と酒をクウと共に平らげてから床に就いた
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