転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん

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はじまり

6.

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カイトが旅立ってから半月が経った。
いつもの様に森で採取をしているとプルがソワソワしている。急に飛び降りて先に進むので追いかけていく。
止まったプルの先に腰を下ろして覗き込むと怪我をして倒れた青年とそれを今にも襲おうとしている猪の魔物が丘の下に見える。
「危ない」
咄嗟に雷の魔法を撃ち込んだ。猪の魔物に見事的中。
ドサッとその場に倒れたので暫く様子を見ていると
#ククルスゴーイ。タオシタヨ#
プルが教えてくれた。
実は一人で森に入る様になってから魔法の練習をしていたのだ。大分使いこなせる様になったのも街を出ようと思ったきっかけのひとつ。
とりあえず倒れている青年に近づきつつ、猪を収納にしまう。
ガサッ
後で音がしたので咄嗟に身構える。
#ククル、ケガシテルコガイル#
プルがまたまた飛び出したので慌てて後を追う。
茂みの先に脚を怪我した馬の魔物がいた
#ケガカワイソウナオシテアゲテ#
プルが近づくなら恐らく危険は無い。
「少し触るよ。動かないで」
怪我の様子を見るためにあしに触れる。
じっと我慢している様子が痛々しい。
収納からポーションを取り出して足にかけるとあっという間に傷が治った。
馬は額をグリグリお腹に押し付ける。お礼のつもりだろうか。
#アリガトウッテ、オレイニイッシヨ二ツレテイッテッテイッテルヨ#
「そうなの。私と一緒にきたいの」
手を差し伸べると鼻先を押し付けて来た。
「じゃああなたの名前は銀色の綺麗な毛並みだしシルバーで、よろしくね」
契約紋が額に集まる
#助けて頂きありがとうございます。ご主人様コレからもよろしくお願いします#
「私はククル、ご主人様は恥ずかしいからククルと呼んで。」
スリスリしてきたので了承との事だろう。ほっとしたいところだが青年をそのままにしていた事を思い出して先程のところに引き返す。
意識は戻っていない様で仰向けに寝かそうとして気が付いた。
「この人、熱がある。どうしよう。このままは不味いかも」
知らない人だけど放置も出来ない。ふと首から下げられたギルドカードが見えたので冒険者の様だ。街に連れて帰るにも幼女な私では青年は担げない。
うんうん一人で思考にはまっているとシルバーに突かれた。
#私が運びましょう#
その手があったかとシルバーにお願いする。ついでにカードで従魔登録を済ませて器用に背に青年を乗せたシルバーと共に街に帰った。
入口で門番に事情を説明し、青年のギルドカードを確認すると通っても良いとの事だったので急いでギルドに向かった。
外でシルバーを待たせて私はカウンターで事情を説明。直ぐにギルドの医務室で青年を引き取ってくれたので買取カウンターに赴き猪の解体をお願いする。
肉を少し持ち帰り後の買取代金を受け取ってマリアの元に帰宅。
シルバーの事を説明して馬場を借りた。
その日は疲れてすぐに寝てしまった。
翌朝、朝食を済ませて先ずはシルバーを洗う。
気持ちよさそうに目を細めわたしにされるがままで可愛い。
シルバーに食事は何を食べるのか聴くと草食らしく、特に果物が好きとか。
今朝はしっかりご飯をいただきましたとの事だったのでマリアさんにお礼を伝え昨日の青年が気になったのでギルドに向かった。

「こんにちは」
ギルドのカウンターで声をかけ青年の様子を伺う。どうやら毒に侵されていたらしく危ないところだったとか。今は毒も抜けて意識も戻っているが数日は安静にしていなくてはダメらしい。
とりあえず少し安心したので受付にお礼を伝えてギルドを後にした。

今日は特に何かをする気にはなれないのでマリアのところに帰宅して宿を手伝った。
夕食を食べて部屋に戻る。
シルバーに乗れば旅も少しは快適かなとゴロゴロ考えていたらいつの間にか寝ていた様だ。
翌日は森に採取に出かけた。常備依頼は確認しなくても内容を把握している。
依頼分と調合分との採取をして調合を済ませる。シルバーは森で果物を見つけ私を連れて行ってくれた。
シルバー用と私用に収穫し、収納に仕舞い込む。
シルバーに乗りながら街に向かう。鞍を着けていないがスピードを出さなければ落とされる事は無さそうだ。
入口までたどり着いたのでシルバーの背から降りてギルドに向かう。
買取カウンターで荷物を出して報酬をもらう。こんなやり取りにもすっかり慣れた。
さて帰ろうかと扉にむいた時、奥から出てきた職員に呼び止められた。
どうやら青年が私を見かけたら礼が言いたいから医務室に連れてきて欲しいとお願いしていたらしく、丁度見かけたので呼びに来たとか。
一瞬どうしようかなと思い
「ご自身で動ける様になったら宿の方に来てくださいとお伝えください」
正直、まだベットの住人にお礼とは言え気を使われるのも恐縮なのでと付け加えておく。
職員は了解と軽く返事して奥へと戻って行った。
そのまま帰宅して夕食時マリアのお手伝いをし、美味しく夕食を頂き自室に戻る
あの青年が本当に宿まで尋ねてくるか分からないが一応マリアさんにも伝えた。
今日も疲れたなと早々とベットで眠りについた。
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