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多くの母親たちがまだこの場に留まっている中、もう一組、そそくさと
知り合いというほどの知り合いなのか何なのか適当に周囲に軽く会釈しつつ、帰ろうとしている人物がいた。
古家苺佳だった。
少し間合いをとって彼女の後ろに付いて歩いていると、門を出たところで
迎えに来ていた車と遭遇した。
彼女の夫らしき人物が窓から顔を出し、彼女と二言三言葉を交わしたあと、彼はふたりを乗せて走り去った。
ちらりと上半身を見ただけだが、なかなかな洒落者と見た。
美男美女カップルかぁ~。
目の前で見た絵面で、すぐにかわいい妻と子を溺愛する構図が浮かんだ。
診察に来た時に彼女が既婚者であることは分かっていたのだし、そもそも
この場で会うということは既婚者前提なのだ。
そして自分だけがそういう意味では異邦人なのかもしれない。
それなのに自分はさきほどの光景を目の当たりにし、
モヤモヤしてしまった。
何なのだろう、このモヤモヤの正体は?
比奈が側にいたので声にこそ出さなかったが、『チッ』という言葉が
出そうになるくらいは、嫌な感情に囚われた。
多くの母親たちがまだこの場に留まっている中、もう一組、そそくさと
知り合いというほどの知り合いなのか何なのか適当に周囲に軽く会釈しつつ、帰ろうとしている人物がいた。
古家苺佳だった。
少し間合いをとって彼女の後ろに付いて歩いていると、門を出たところで
迎えに来ていた車と遭遇した。
彼女の夫らしき人物が窓から顔を出し、彼女と二言三言葉を交わしたあと、彼はふたりを乗せて走り去った。
ちらりと上半身を見ただけだが、なかなかな洒落者と見た。
美男美女カップルかぁ~。
目の前で見た絵面で、すぐにかわいい妻と子を溺愛する構図が浮かんだ。
診察に来た時に彼女が既婚者であることは分かっていたのだし、そもそも
この場で会うということは既婚者前提なのだ。
そして自分だけがそういう意味では異邦人なのかもしれない。
それなのに自分はさきほどの光景を目の当たりにし、
モヤモヤしてしまった。
何なのだろう、このモヤモヤの正体は?
比奈が側にいたので声にこそ出さなかったが、『チッ』という言葉が
出そうになるくらいは、嫌な感情に囚われた。
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