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この壊れた世界で
神のいない楽園で~禁忌は続く~
しおりを挟むルミエールはぼんやりとベッドの上にいた。
父からの行為に大人しく従っていれば、痛い思いをせずに済む、大人しくしていれば痛い思いをさせられずに済むと学習した結果、ほぼ毎日、ベッドの上で大人しくする日々を送っていた。
実際そうなってから、最初の頃は自分を犯す悍ましい異形に犯されずに済むようになり、痛みが大分軽減された。
触手が与える快楽も、ただただ受け入れる。
そして、終わったら父に抱かれ、女の箇所と後孔に精液を注がれる。
時には口淫で奉仕を命じられる事もあるが素直に従っている。
女の箇所に注がれる時、頭の片隅で恐怖を抱くが、それ更に隅に追いやる。
父に知られたら、どんな恐ろしい仕置きが待っているか想像もしたくなかったからだ。
そんなルミエールには休める時間は眠りについてる時だけだった。
夢で、顔のない女性が優しく撫でてくれる。
それだけは救いだった。
最初は聞こえた声も、今は殆ど聞こえないが、それでも女性は優しくしてくれる。
それだけが心のよりどころだった。
ラースは浮足立っていた。
ルミエールの胎がついに孕めるようになったからだ。
これで、子を生させることができる。
もう二度と失うことのない家族を取り戻すことができる。
ラースは信じて疑わなかった。
ラースはルミエールの事は息子ではなく息子と妻によく似た存在と紹介しようと思っていた。
誰も、ラースには逆らわない。
逆らうことはできないのだ。
実際そうなった。
何一つ語らぬルミエールに、亡き妻アリアドネの好むような服を着せて配下に紹介した時、一瞬騒めいたが、すぐさま鎮まった。
誰もラースに意見を述べず、ただただ祝福の言葉を捧げた。
その中に悲壮の色が混じっていることなど、ラースは気づかなかった。
「ルミエール、これでお前は正式に私の妻ということになった」
「……はい、ちちうえ」
ルミエールは父の言葉をただ受け入れた。
「お前はこれから、私との子を生すのだ」
狂気的な程に穏やかな笑みを浮かべる父の言葉にルミエールはただ頷く。
「生まれた子が女児であればアリアドネと名付けよう。男児だったら……フォスと名付けよう」
「……はい」
「では、服を脱ぎなさい、これからお前が子を孕むまで注ぎ続ける」
「はい……」
ルミエールは服に手をかけ、脱いだ。
美しいが何処か病的に痩せた体が露わになる。
「口を開け舌を出しなさい」
父の言う通りにすると舌に薬を乗せられる。
「飲み込みなさい」
ルミエールは大人しく呑み込んだ。
それを見た父は狂気的な笑みを一瞬だけ浮かべた。
「では、子を作るためのまぐわいをしよう」
ルミエールはベッドに寝かせられる。
ラースの冷たい指が濡れた状態でナカに入ってくる感触にルミエールは震えた。
「んっ……」
くちゅくちゅと音が聞こえ、ナカの疼きが酷くなってくるのを感じ、ルミエールは懇願する。
「ちちうぇ……はやく、わたしの、なかを、つらぬいて、くださ、い」
「素直で良い子だね、ルミエール」
ルミエールの懇願に、ラースは微笑み、もう片方の手で頬を優しく撫でた。
その感触が、ルミエールには嬉しい以上に、何故か悲しかった。
ぐっしょりと濡れた女の箇所に、ラースは自身の雄を入れた。
そして貫いた。
ルミエールは言葉にならない嬌声を上げて体をびくびくと震えさせる。
腰を動かし、排卵が始まっている其処にラースは自身の精液を幾度も吐き出した。
「あっああ、あああ!!」
何度も絶頂し、苦しそうな程に感じているルミエールを愛しく思いながら様子を注視する。
ルミエールの青い目が、数秒だけ赤く染まった。
ラースはにたりと笑ってずるりと自身の雄を抜き、ルミエールの腹部に術をかける。
流れぬようにするための術を。
興奮し、治まらぬ雄を見て、ラースはルミエールに言う。
「さぁ、次は何をするか分かっているであろう、ルミエール」
「は、い……ちち、うぇ」
精液で少し膨らんだ腹を抑えながら、ルミエールは体勢を変えて、獣のように四つん這いになった。
「うしろも、つかってください」
「良い子だ」
ラースはルミエールの尻を撫で、濡れた指を後孔に入れる。
「あっあっ」
ルミエールが感じる所を指で執拗に押しつぶし、あまり使われなくなった雄も扱いてやる。
「あ――っ!! あ゛――っ!!」
ルミエールは髪を振り乱し声を上げながらも、必死に体勢を保っていた。
「本当に良い子だね、ルミエール」
ラースはうっとりと笑った。
潤滑剤等で濡れたルミエールの後孔に、ラースはゆっくりと入れる。
「あっあっあっ」
「ルミエールは此処が好きだろう?」
散々指で執拗に弄った箇所を擦り上げてやると、ルミエールがくがくと震え、声をあげて少しだけ上半身の体勢を崩してしまう。
「ふふ、気持ちよすぎるのだろう? 良いとも、好きなだけみだれるといい」
ラースはそう言って散々開発された腸内を雄で蹂躙する。
「あ゛あ゛ーっ!!」
何度目か分からぬ後孔での絶頂と空打ちの射精にルミエールは濁った声を上げた。
腹の奥に液体を注がれるだけで絶頂し、奥を突かれ、良い箇所を擦り上げられると強い悦で絶頂する。
度の過ぎる快楽はただ辛いだけだったが、ルミエールは決して言わない。
ただ、濁った声を上げて父から与えられる快楽に耐えるだけだった。
「これで最後にしよう」
ぐぷんと奥に入ってきてどろどろと液体を注がれた。
「あ゛――っ!!」
がくがくと膝を震わせながら、のけ反り、ルミエールはぼすんと枕に突っ伏した。
「ああ、限界だったのだか。我慢強い子だな、お前は」
優しく父がルミエールの髪を撫でた。
「元気な子が生まれると良いな」
嬉しそうな父の声を聴きながら、ルミエールは意識を暗転させた。
夢の中に女性がいた。
女性はルミエールを抱きしめてくれた。
しくしくと泣いているのが聞こえた、久しぶりに。
『ごめんなさい、ルミエール』
どうして女性が謝罪するのか、ルミエールには分からなかった。
その日以来、女性器を使った性行為は一切されなくなったが、その分後孔を使った性行為が増えた。
性玩具で、腸内を散々弄られてから、父の雄でかき回され、精液で腹が膨れる程満たされる。
後孔を使った自慰を父の前で行い、それで達した後に父に抱かれる。
そんな事は日常的になっていた。
そして、腹は日に日に膨らんでいった。
半年が経過した頃、父に抱きかかえられ、久方ぶりに触手の所に連れていかれた。
「ちち、うえ?」
「破水している、そろそろ生まれるのだ」
「……」
頭の片隅で、悲鳴が上がったのが聞こえたが、ルミエールはそれを追いやる。
触手に体を固定されると、鈍い痛みが生まれてきた。
「ちち、うえ」
「案ずるな、傍にいよう」
ルミエールが痛みに怯えて声を発すると、父はそれに対して手を握り、頬を撫でた。
細かな触手が内部に入る感触がすると、痛みがなくなる。
「あ」
代わりに、強い快楽が襲ってきた。
「あああああああああああ!!」
絶頂と共に、何かを産み落とした。
二つの何かを。
数年の月日が流れ、ラースは中庭ではしゃぐ幼子二人を微笑ましそうに見つめた。
女児と男児が仲良く遊んでいるのを見つめる。
中庭の椅子に腰を掛けているルミエールの傍でラースはそれを眺めていた。
「「おとうさま!!」」
子どもらが駆け寄ってくる。
「アリアドネ、フォス。どうしたのだね」
「おかあさまにおはなのかんむりを」
「おかあさま、どうぞ!!」
子ども――アリアドネとフォスはあまり動かない母――ルミエールに花冠を渡そうとする。
ルミエールは何処か虚ろにほほ笑み、それを受け取り、被って見せる。
「おかあさま、きれい!!」
「おかあさまに、にあってます!!」
「それはそうだ、私の亡き妻――アリアドネによく似ているのだからな、ルミエールは」
ラースはそう言ってルミエールの頬を撫でる。
ルミエールはただ静かに虚ろな微笑みを浮かべ――
「……はい」
肯定の言葉を口にするだけだった。
「もう夕刻だ、さぁ屋敷へ戻ろう」
ラースはルミエールを抱きかかえて歩き出すと、子ども達はラースについて歩いた。
夜、寝る時間になると、子ども部屋のベッドで一緒に眠る二人の頭を撫でてラースは優しく微笑む。
「お休み、アリアドネ、フォス」
「おやすみなさい、おとうさま」
「おとうさま、おやすみなさい」
二人が眠るのを確認すると、部屋から出て、扉に鍵をかけて自室の寝室へと戻る。
「ルミエール」
「……はい、ちちうえ」
二人時の時のみ、父と呼ぶルミエールに、ラースは歪んだ笑みを浮かべて、口づけをした。
「さぁ、今日も私を満たしてくれ。お前に飢えて飢えて仕方ないのだ」
「……はい、おすきなように」
ルミエールは虚ろな表情で頷いた。
愛する者を失い狂った闇の王。
狂った父に壊され、子を産まされた息子。
事実は秘匿され、気づいたものは口を閉ざす。
神のいない楽園で、狂った二人の関係は、続く。
永遠に、永遠に――
End
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このお話すんごい好きです❤️
これからも応援してます!
感想ありがとうございます!
応援ありがとうございます、これからも頑張ります!