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 無言のままのシュルト様に腕を引かれて連れてこられたのは彼の部屋だった。
 男子寮に入るなど許されるのかと戸惑ったが、無人に近い男子寮には寮監すら不在だった。
 みんな晩餐会の会場にいるか、参加しなかった生徒は出かけているのだろう。

 それにあの騒ぎだ。
 誰もがその場を見届けようと駆けつけているに違いない。


「あの、シュルト様、ギルバート様の傍にいなくてもよいのですか」
「いいさ。あとはクレアがなんとかするだろう」

 クレア、と気安く呼ぶ声音に身がすくむ。

「本当に良いのですか、あの、クレア様がギルバート様と」
「良いも悪いもあるか。クレアはずっとギルを狙っていた女だぞ。この機会を逃すわけがない」
「え」

 シュルト様とクレア様は想い合っているのではないのか。
 理解できぬままに部屋に押し込められ、シュルト様が部屋のドアに鍵をかける音で私はようやく頭が冷える。

「シュル、ト」

 さま、と呼びかけた唇を乱暴に塞がれる。ねじ込むように入り込んでいた舌先が口内を蹂躙するように舐めまわした。
 痛いほどに抱きしめられ、抵抗する隙間すらない。
 息苦しさと与えられる刺激に慣らされた身体が火照る感覚に視界が潤む。
 袖を緩く握りしめる事しかできぬままに深くなる口付けに首をそらして仰け反ろうとするが、それを許さないとばかりにシュルト様の大きな掌が首筋を撫で後ろ頭を強く抑え込んでくる。

 くちゅくちゅと耳の内側から聞こえてくるいやらしい唾液が混ざる音に身体の力が抜ける。
 膝が震えてドレスの重みに負けそうになる身体をシュルト様は片腕ひとつで抱え上げる。

「んんっ」

 宙に浮いた足から靴が脱げ落ちるのが分かった。
 足裏を撫でる空気が火照っていた身体を少しだけ落ち着かせる。

「ひっ、んぅうむっ」

 ちゅう、と舌先を強く吸われただけで目の奥がちかちかした。
 口付けを止める事も私の身体を解放する事もなく、シュルト様はゆったりとした足取りで部屋の奥へと歩いて行く。
 後ろ頭を押さえている指が動いて、綺麗に結われている髪を乱暴にほどいていくのを感じる。

「あっ、、!」

 ようやく離れた唇から出た声は、ベッドに落とされた驚きの声。
 しかしすぐにまた塞がれる。覆いかぶさるように落ちてきた唇から逃げる術などなく、私はまた呼吸や言葉を奪われる。

 ドレスの上から胸を揉まれ、まくり上げられたスカートの中に熱い手が入り込んできた。
 いけないと、その腕を止めるために腕を動かすが力の入らないそれは無力に彼の手に優しく触れる事が出来ない。

『だめ、なんで、どうして』

 何も理解できない。
 先程の出来事も、クレアさまのことも、今のこの状況も。

「ああっん」

 すでに濡れているそこを指で撫でられ身体が跳ねる。拍子に外れた唇から甘い声が出てしまう。

「もう濡れているのか」

 喜色に染まった声で囁きながらシュルト様が耳を舐めた。
 なまるぬるいその感触にすら私の身体は浅ましく反応する。

「しゅるとさま、だめぇ」
「何故だ?俺たちは名実ともに婚約者だろう。身体を重ねる事に何の障害があるというのだ」
「ひっん」

 下着をずらしただけで入り込んでくる指先が慣れた動きで私の中をかき回す。
 最初の頃は違和感が勝っていた筈なのに、今では優しく撫でられるだけで体の奥から甘えるように蜜がしたたり落ちていくのがわかる。

「だめ、そこ、だめぇぇ」

 親指ですっかり露出させられた敏感な突起を押しつぶされながら、入口付近を広げるように指の節で抉られると、もう何も考えられなくなってしまう。
 足が震え、背中がのけ反る。たくさん聞きたい事や言いたい事があるのに、言葉が熱に押しあげられて消えてしまう。
 こんなに乱暴で酷い事をされているのに、それを与えてくるのがシュルト様だと言うだけで、私の身体は喜びに震えてしまう。

 なんて、あさましくて淫らなんだろう。

「どれす、や、よごれちゃ」

 腰の奥がざわめき、今にも達してしまいそうなのを感じる。
 既に皺だらけになっているし、もう汚れている気はするが、これ以上はだめだと妙に冷静な部分が悲鳴を上げさせる。

「そうか、ならばこうしてやろう」
「きゃぁつつ」

 くるりと身体が反転させられる。
 ドレスのスカートが大胆にめぐりあげられ、背中に重みを感じた。
 完全に露出された下半身が、お尻を付き出した形でシュルト様の眼前に晒されているのがわかる。
 力の入らない頬をシーツに押し付ける形になりながらも、体を起こそうともがくがドレスの重みでままならない。

「いれるぞ」
「なっ、ひいいいっつ!!」

 ずん、と一気に奥まで突き込まれた。熱くて硬くて大きくて。

「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っつ」

 声にならない喘ぎと共に私はそれだけで達してしまう。

「イッたのか?イクときはきちんと言えと教えたろう?」
「くううぅん、ひっ、だめ、まだぁ」
「良く締まるし震えるものだ。ほら、こうされるのがいいのだろう」

 つぶん、と入ってきたばかりなのに抜けていく灼熱。
 一瞬の喪失感。しかし息をするまもく再びつき込まれる。根元まで一気に入り込んできた。

「キャンッ」
「まるで雌犬のようだな」

 二度目の絶頂に叫ぶ私のお尻をパチンと乱暴に叩きながら、シュルト様が腰を動かし始める。
 ずんずんと遠慮なく抜き差され、根元まで突き込んでから腰を回されると、繋がった部分から溢れた液が太ももをしたたり落ちていくのを感じた。

「ら、ひっ、らめ、くぅン、んんっ」

 開きっぱなしの口から唾液が零れてシーツに染みを作っていくのがわかる。
 濡れたシーツが頬に張り付いて気持ちが悪いのに、下半身から広がっていく甘い疼きのせいで何も考えられなくなる。

「く、、、一度出すぞ」
「ひんぅ、ああっ」

 何度目になるか分からない絶頂はシュルト様の吐精と同時だった。痙攣する内壁を抉るように跳ねるシュルト様の熱が、私の奥に熱くて濃い欲望を吐き出し、私を内側ら染めていく。
 くちくちとそれを粘膜に擦り込むようにゆったりと抜き差しされる。
 ようやく終わるのかと弛緩しかけるが、まだ硬さを保ったままのシュルト様が再び動き出した。

「や、だぁ、もう、も、むりぃ」

 膝を立たせる事も出来ずベッドにお腹を付けて力なく倒れ込んでいる私に覆いかぶさり、シュルト様は腰を動かし始める。

「だめ、くるしぃ、おく、だめぇぇ」

 無理な体勢なのに、だからこそなのか、私の中を刺激するシュルト様の熱はどこまでも存在感を増して私を追い詰める。

「いッ、いっちゃうっ、だめ、だ、えぇぇ」

 頭の中で星が弾ける。衝撃で身体がしなるのに、シュルト様は動きを止めない。
 一番の奥を固い先端でぐりぐりと刺激されると、気持ち良すぎて死にそうだ。理性が、意識が蕩けていく。

「ふぁぁぁん、あぁぅァアあッン」

 続けざまにまた達した。
 助けを求めるようにシーツを握りしめていた手にシュルト様の手が重なる。

 ドレスの重みとシュルト様の身体の重みでシーツに沈んで息苦しい。
 その中で、シュルト様の動きは止まらない。

「やぁ、も、だめ、ゆるしてぇ」

 目が回りそうなほどの激しい快感に逃げようとシーツを掴んで身体をよじるが、上に覆いかぶさるシュルト様の力強さには敵わない。
 僅かに浮いた腰から彼の熱がずるりと半分ほどぬけ、は、と衝撃に息を吐くが、すぐに腰を掴まれ引きずられ、激しい勢いで腰を叩きつけられる。
 逃げた罰だとでも言いたげにもうこれ以上は無理だと思う程の奥を強く突かれ、入ってはいけない場所がこじ開けられたのが分かった。
 痛いはずなのに痛くなくて、むしろもっとそこに欲しくなる。

「ああっああ、ん!!」

 もう落ちるとこまで落ちてしまった方が楽なのかと思う程に攻めたてられた。
 何度も、何度も中に熱が吐き出されたのがわかる。
 それを一滴だって外に出さないように、根元まで刺さったままの欲望が奥ばかりを突く。
 お腹の中はシュルト様が吐き出したもので溢れて、そこから溺れてしまいそうだなんて錯覚で私は呼吸を乱し、みっともなく鳴き狂った。
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