ゆめも

toyjoy11

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こまりました。転生している気がしますが、ここはどこでしょうか?

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朝、目を覚ますとなんかおかしい気がします。
鏡を見てもいつも通りの金髪碧眼の少女がこっちを向いています。

何がおかしいかわかりません。

私の名前はエディエル・マイスター。
マイスター伯爵家の次女です。

現在、5歳。

両親は健在。
しかし、お会いしたのは半年前です。
理由は忙しいからとお聞きしていますが、恐らく浮気と勝手に私は思っています。

そう、前の私もそうだった気がする。

うん。
あー、なるほど。
私は、前世の記憶を持っているような気がほんのりするのですね。

だから、違和感を覚えている。
しかし、しっかり覚えていない。

多分、記憶整理が不十分なのね。

前の私は、なんて名前か分かったら、きっと思い出すんじゃないかな?

とか考えながら、鏡をジッと見ていたら、ノックの後に返事も待たずにメイドが入ってきた。
「え?!お嬢様が起きてらっしゃる?!」

叫ぶように言うメイド。
このメイドの名前はマルチン・ミル。ミル男爵家の5女。
彼女はいつも私が寝ている間に私の私物を盗む人。

メイド長には言ったんだけど、なんの反応もない。
おかしいなぁとか考えてたら、メイド長はメイド長で不正をしている模様。

ここ、泥棒文化圏なのかしら?

とか考えちゃった。

・・・ん?一瞬、前の世界ならこんなこと無かったのにって思った気がする。
そっか、これはやっぱり、異常な世界だよね。
うん。

ふわっとしか覚えていないから、ふわっとしか対処できないな。

まぁ、一つ分かることはあれだね。
メイドのトップが不正しているんだから、家のトップも不正してそうだよってこと。
そして、そんな人間にマルチンのことを訴えても無駄だってことだ。

私は無言で自分が今日着るつもりの水色のワンピースを指差す。
「あ、はい。少々お待ちください。」
一度退出したマルチンはお湯が入った洗顔椀を渡してきた。
それを机に置くように指示。

顔を洗う前に水温確認。
暑すぎるので、水差しの水を追加。
もう一度、水温確認。

問題ないのでそれで顔を洗う。
手を差し出す。

マルチンの反応が無い。
眉を寄せてマルチンの方向を見る。
手には何も持っていない。

「顔を拭くものを。」
「え?あ!」
彼女は何も用意していなかったようだ。

メンドクサイので、パジャマを脱ぐついでにパジャマで水分を持ってってもらう。
濡れたパジャマをマルチンに渡す。
「え?え?え?」
「五月蠅い。水色のワンピースを着せることも出来なさそうね。もう出てって良いわ。ちゃんと洗顔椀は持って帰ってね。」
出ってってと言った途端、何もせずに出ようとしたので、慌てて、洗顔椀は持って行けと指示。
ハッと言われて気付いたみたいな顔をして、洗顔椀を持って、出ようとしてこけた。

絨毯が水びだしになる。
「アルミン!」
少し大きな声でもう一人のメイドを呼ぶ。
「はーーーーい。」

惨状を見て
「これどうしてこうなってるんです?」

「マルチンが洗顔椀を持って部屋を出ようとしてこけただけよ。片付けて、マルチンがやると悪化しそう。」
と言うとアルミンがマルチンをひと睨み
「仕事を増やすことしかできないんですね。マルチンは。」
と彼女に言う。

マルチンはアルミンを睨んだ。
「マルチン。邪魔。出てって。」
そしたら、悔しそうな顔をして出て行った。
「って、あれ?服も着替えていませんし、パジャマびしょ濡れじゃないですか。って、え?顔を洗ったって聞いたのに、拭く布は?って、髪も梳かれてない。」

「・・・マルチンはどうも何も出来ていないのよ。」
「・・・そうみたいですね。」
そして、アルミンはさらに鏡台の方を見て、ため息をつく。

「ブローチとブラシが無いです。」
「あー、寝ている間にマルチンが持って行ったわ。」

「・・・泥棒もですか。」
「そうみたいね。でも、メイド長もグルだから言っても無駄でしょ。」
「と言うことは既に連絡したんですね。」
「先週にネックレスとイヤリングを持って行ったからね。」
「・・・はぁあああああ。」

深いため息の後に濡れた絨毯を一旦回収。
アルミンは外に出た。
でも、直ぐ帰ってきた時にはその手にはタオル。
受け取って、ちゃんと顔を拭く。
滑る様に鏡台に案内されて、何処からか持ってきた医療品でいつの間にかできていた傷口に薬を塗られる。
「痛っ。」
「すみません。」
「構わないわ、ありがとうね。治療。」
「当たり前のことをしているだけです。」
「・・・当たり前のことが出来る人がこの屋敷に何人いるのかしらね?」

昔おばあちゃんが言ってた。縁の下で。
「当たり前のことを当たり前にやれる人間は優秀な人間になれるけど、出来ない人も居るんですよ。でも、それに胡坐をかくのは間違っていますね。」
と。

ん?随分の若い声に
振り向けば、アルミンが言っていた。
全く同じことを。
「どうかなさいましたか?」
「いいえ。」
「そうですか。」

治療が終わったら、簡単に軽く髪を梳かれる。
大まかに引っかかりが無くなった後、水色のワンピースを着せてくれる。
その後、好みの髪形を聞かれたので、編み込みを指示。
髪を今度は丁寧に梳かれて、髪油を軽く手に馴染ませてから髪全体につけられた。
ほんの少しだけ香る程度。
匂いはほんのりフローラル。
なんの匂いだろうか?
わからない。悪い匂いではない。

そして、編み込みを済ませたアルミンは後頭部にバレットで髪を固定させてくれた。
その後、化粧を軽く施してくれた。

これ、20分でやっちゃうから、アルミンは優秀だと思う。
多分、マルチンがやったら、3時間くらいかかりそうだ。

「旦那様にマルチンのこと知らせますか?」
「どうせ、言っても無駄でしょう。」
「・・・そう、ですね。」
返事からして、予想していた通りの父親のようだ。

「〇ニスカッターって、このうちにあったっけ?」
「ちょっと、お嬢様!そんなことは、お嬢様みたいな方が言っちゃいけません!」
「・・・冗談よ。」
「間が無ければ、ギリギリ冗談にしたかったんですけど、今は仕事があるので、失礼しますね。」
そう言って、アルミンは出て行った。

今日の予定はなんだっけ?
全く思い出せない。

前世の記憶がほんのりあるせいで、がっつり今世の記憶を思い出すことを邪魔をする。
なので、机をあさると一冊の手帳を発見。
「12時から昼食。
13時から私兵の調教。
15時におやつ。
16時から19時まで勉強。
20時以降は軽食を食べて、風呂に入って就寝。

つまり、午前中は暇。
早速、物置用の地下に行く。

***
初めて入った地下には、困ったことに一杯人が繋がれてました。

主に獣人です。

この国は人至上主義です。
しかし、私は前世の記憶が混ざったせいでしょうか、私は人間至上主義なんです。
これ、大分意味が違いますからね?

だって、私にとって、獣人も人間ですから。

魔術を行使して、地下の扉をガンガン開けていく。
戸惑って、逃げない獣人。

「1,2,3・・・」
全員で25人。
「逃げていいんだけど、ついでにメイド長のカティナとマルチンってメイドを殺してきてくれない。無理しない程度で良いよ。
別に出来ないなら出来なくていいけど。やれたら、やっといて。
アルミンは殺さないでね。アルミンは黒髪黒目の女の子。
後、ペニ〇カッターってこの部屋にあったっけ?しってる?」
おずおずと出て来た獣人は、奥の座敷牢的なところを指して、地下牢から出ていった。
「あぁ、独房みたいなところにあるのかな?」


***
魔術で開錠して、奥の扉を開けた。
一人の白銀の髪の少女がぐったりしている。

牢にいるのに手枷足枷もついている。
魔術でさっさと解除解除。
戸惑う少女に水魔法と火魔法の混合でお湯を作って、軽く少女を洗う。

イカ臭かったのよ。この少女。

汚れたお湯は奥のバケツに移動させて、ワンピースの端で彼女の顔を軽くふく。
「???」
絶賛混乱中の少女に
「この部屋にペ〇スカッターってあったっけ?」
「・・・出てって良いの?」
「別にどちらでもいいわ。」
「そう、多分、更に奥の部屋のどこかにあると思う。」
「そう、ありがとうね。じゃあ、さようなら。」
「うん、さようなら。」
白銀の少女は出ていった。
奥の扉はかなり大きな南京錠が掛かっているけど、開錠魔法はスペアキーが不要なので、

カチャン。

簡単に開錠できる。
奥の扉には美少年がぐったり倒れている。
「1,2,3・・・。」
合計5人いたが、一人は死んでいた。
死んでいた少年は手術台みたいなところに括り付けられて、股間が真っ赤っか。
すぐそばに、ペ〇スカッター発見。
サッサと回収。

少年たちの鎖や首輪は解除。
「逃げるなら急いだほうがいいよ。他の人ももう逃げてるし、一斉に逃げた方が成功率が上がるでしょ?」
「・・・うん。ありがとう。」
そう言って、少年たちは出ていった。

熱めのお湯を作って、そこにペ〇スカッターを入れて、熱湯消毒。
ちょっと、木の部分がゆがんだ気がするが、大丈夫大丈夫。

部屋に戻るまでに屋敷のあちこちから悲鳴が聞こえる。
無視して、自室に到着。
予習を始める。

「お嬢様、地下牢に行きましたね。」
振り向けば、アルミン。
「あぁ、〇ニスカッターをおかげで発見できたわ。」
「はぁ・・・ついでに獣人も逃がしたんですね。」
「んー勝手に逃げただけだよ。」
「まぁ、いいです。」

「アルミンは考えすぎ。」
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