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 そのまま横抱きにかかえられ、俺は浴室に連れていかれた。ぽいぽいと抵抗するひまもなく脱がされて押し込められる。
 安い宿だけあって、ぎゅうぎゅうとせまい。ランスは石鹼を泡立てると、しびれた肢体を折り曲げて風呂にいれられた俺の背中をごしごしと洗いはじめた。

「ずっと一緒に洗いっこしたかったんだよね~。あ。クロはね、感情なんて面にださない顔しているけど、だめだよ。聖杯がみつかると王都に戻って結婚するから。婚約者がいるんだから、おかしな気持ちを抱いても無駄だよ」

 おかしなってどんなきもちだよ。
 横からにゅっと顔をだして、唇にちゅっと口づけをされた。もうもうとした湯気のなか、艶然とほほ笑みを浮かべるが、こころから笑っているわけではないのは判る。

「……ッ」
「あれ、知らない?」

 なにも、言葉がでない。
 けっこん。こんやくしゃってなんだ……。

「クロはお坊ちゃまだからね。位は侯爵かな。あ、ちなみに僕は伯爵だよ」

 そんなことを聞いたこともないし、話してくれたためしがない。きゅっと蛇口を回すと熱い湯ともくもくと湯気をだして流れる。

「…………ッ、……あつっ」
「あ、ごめんね~」
「……ッ」

 ぎゅっと乳輪をつねられ、親指でへこみをぐりぐりと潰された。

「家柄のいいところの娘さんが許嫁なんだよ。すぐに結婚して所帯を持つんじゃないかな。そんで子どもなんてたくさんつくるんじゃないかな~」
「……ッ、ァ」
「だからさ、僕と一緒にすまない?」
「え……」
「ね、一緒になろうよ~」
「や、やだよ。…………あっ」

 ふたつの谷間に指をくぐり込ませて、ゆっくりと撫でる。窪んだところにひと差し指がつるっと這入った。

「ちょっとここ、腫れぼったいね」
「……ぁぅ」
「なか、あつあつだよ~」

 やばい、そこはやめてくれ。
 願うひまもなく、それはうねうねとうごいて、どんどんと奥にいく。

「同棲だよ? それにここにいたってさ、なにもないじゃん。楽しいことなんて、こういうことだけだし」
「いや、だ……ぅ」

 身をくねって逃れようとしたが、ランスの力はそれを許さない。抵抗も逃げることも許さず、おさえつけて責めてくる。

「閉じ込めてさ、ずっと一緒にいたいんだ」
「……ッ、……なんだよ、それ」
「ソータ、僕だけをみてよ」
 人差し指に中指が加わり、こねあげるようにして二本の指がうごく。尻の割れ目に指が根元まで差しこまれ、粘りついて締めつけてしまう。

「……や、やだ、よ」
「あ。だいぶひろがってきた。あなほりほりできそうだね」
「……ッ、……ぁ」

 
 指がうしろをくじりはじめ、粘膜が一緒についてくる気がした。尻からの熱い痛みがどうしてか、心地よい。ランスの唇が、肩から背中にちりばめられるようにあてられる。

「ここ、うごいてるのしってる?」
「やめろっ、なんだよ、……あっ、うごくって…、あ、あっ」
「ヒダが蠕動して、ちゅうちゅうってね、指を吸っているんだよ。ヤバノちゃんのね、溝に指をあてるとピタッピタッてして誘うんだ。えろいよね~」
「……うっ、あぅ」
 耳たぶを噛まれて、裏すじをたどるように舌でなめられた。からかいの言葉を投げながら、ランスはずぶずぶと奥深くまで指を沈める。

「ほら、いれていれて~っていってる」
「うっ、はあっ……ぁ、け、けつがそんなこと……あうっ」

 ケツがそんなことをしゃべるわけねぇだろうっとしゃべりたいが声が絡んでかすれてでない。

「いっつもクロがここをなめて、僕がきみとキスしてたね。ねぇ、すごい顔してるのしってる?」
「……ッ、うぁ」
「よだれなんて垂らして、すごいえっちなんだよ~」
「や、や、やぁっ」
「ヤバノちゃんのここ、いれたいな~」
「あっ、ばか。……あ。あ。あ……」

 指は根元までやすやすとめりこんで、中ではぐにゅぐにゅと押し潰され、まるで別のいきものみたいに蹂躙される。

「ちょっとつつけば、入っちゃいそうだね~」
「……そ、そこ。……もう、や、やめ」

 股間が熱く反応し、すでにぬるぬるが腿をつたって垂れている。先走りが、ぱたぱたと床に円をかいて落ちている。カリカリと爪を立てて掻かれて痒い。
 やばい、なんかへんだ。
 いつもならクロもいて、両方に愛撫されているので意識が飛んでいた。それだからじっくりと一人に焦らされるとへんになる。そしてそれがむずかゆい。

「きもちいいの? それと、クロからへんなことを吹き込むなって言われてるから全部内緒にしてね? ほら立って~」
「……っ」

 両脇を持ち上げられて、浴槽のなかで立たされた。両手を壁に押しつけるように当てる。

「ここに手を合わせて」
「あっ、……なに」
「ここ、柔らかいんだよね~」

 ぬるっと指が引き出された。とりあえず終わったのか、とひと安心したときだった。

「ちょっ。……ら、んス……ぅ」
「もう待てないかな」
「やあ、あッ、あっ……——」

 腹に、……衝撃が、重みが増した。
 そして同時につるっときばった丸みを帯びたものが入った。ゆっくりと重みを増して合間をこじあけてくる。

「あ、あ、ああぅ……っ」
「ヤバノちゃん、ごめんね。…………はいっちゃった」
「やめっ、はいってる。はいってるからぁ……、ランス、だめっだ……あああっ」

 質量が増して、中心を突いている。ぬるぬるが引き込んでいくように、鉄のようなものが半分ほど埋まり、硬いものにひらかれる感じがした。

「……ッ、きもちいいね」
「ああ、ううーーッ、あう」
 
 声がうわずり、股間がうしろからぶつかった。がくんがくんと揺さぶられ、ぴったりと重なり結合しているとわかった。

「アアッ、な、やっ……うっ」
「すごいね。ヤバノちゃん、中でいってるよ? きゅうきゅう柔らかいお肉でしめつけてる。ここ、天才だね」

 さらにずんずんと腰を突き動かされ、チカチカと眼前で星がとぶ。

「あっ! ひっ」
「……指輪なんてもらってるから悪いんだよ」

 腰を鷲掴みされ、打ちつけられ、打擲音が腰から跳ね上がる。がくがくと立ってられない。ぐいぐいと背後から突き上げられると、そのたびに絶頂してしまう。

「ひぁっ、うっ……ッ、アッ、アッ……あああ!」
「ソータ、すき」
「や、や、……らんす、……うごっ、うあっ、ああああっ」
「うん、たくさん動いてあげるね」
 
 俺の耳もとにキスすると、ランスは一気に根元まで挿入した。腹をすりすりと撫でている。

「ここに、あるのわかる?」
「ひあっ、ふぅっ」

 背後から、ぴくぴくと痺れる腹をなでられ、膨らんだ部分をさすられる。

「これがね、ここまでくるからね。ゆっくりひらいてあげる」

 ふくらみのさらに上をなでられ、一度固くなった身体が次の瞬間、ゆっくりとじわじわとせりあがる。
 割れ目がひらかれるような、裂かれるような灼かれる感じに、全身が躍りあがった。

「や、そこ。だめな、ところ……うっ」
「うん。ここね、だめなところだよ~」
「うぅ、ううぅ……いっ、…ん…はぁああ」

 どくんどくんと屹立が脈打ち、背中に火柱が走ったように熱いものが放たれた。
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