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B 楓への接近

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 楓と美乃梨の攻略は順調に進んでいる。2人ともすっかり俺と恋愛トークを普通にするようになっている。あとはどのタイミングで揺さぶりをかけるかというだけだ。

 楓と美乃梨には、「彼女はいるけど別れる寸前」という設定で話をしている。彼女がいる安心感を与えつつ、別れる寸前ということで食いつかせている。そこからは、これまで経験したハプニングやトラブルを、架空の彼女とのエピソードとして話す。ある程度面白おかしく話したら、今度は聞き側に回るという感じだ。



「えー!やっぱり別れましょうよ!」
「あはは。直球だね」

 楓とはバイト帰りの車の中、こういう話をするのが当たり前になった。楓は思ったことを素直に言うタイプで、彼女とは別れた方がいいとアドバイスをしてくれる。俺はうんうんと頷いているが、内心テキトーに聞き流している。

「そうだ。今日もコンビニ寄っていい?」
「いいですよ。私もお菓子買いたいし」

 そんなことよりも、限られた時間の中で距離もジワジワとつめることの方が大切だ。最近はその成果が出てきたように思える。帰り道の途中、コンビニに寄り道して、車の中で一緒にアイスやお菓子を食べたりするのが当たり前になってきたのだ。

「そのお菓子、美味しそうだね」
「一口あげますよ。ほら」

 そして運転中、ハンドルを握っている時は「アーン」もしてくれる。こういう、さりげないイチャイチャにときめくようになったあたり、俺も歳をとったのだと思う。

「美味しいですか?」
「うん。美味しいよ」
「うふふ。よかったです♪」

 やはり最近の楓は変わった。俺とバイトするのが楽しいからと、俺とシフトを重ねるようにしたり、今みたいに甘える感じを出してきたり…俺のことが好きになりつつあるんだと直感した。

 楓の前では、常に余裕のある年上っぽい大人の振る舞いを心掛けたからな。その甲斐があったというものだ。うん、大丈夫だ。この調子なら何も問題なく楓を堕とせるだろう。
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