上 下
11 / 49

B 楓とのキス1

しおりを挟む


 遂に楓とキスをした。それ以上のことはしてないが、やはり達成感がある。さあ、成り行きを話していこうか。



 バイト終わりの車中、俺は明るいテンションで彼女と別れたことを伝えた。

「しばらくは辛いかもしれませんけど、別れて正解ですよ!」

 楓は健気に俺のことを励ましてくれていた。やはりこういうところは年相応の可愛さを感じるな。まあ、それに比べて俺のやろうとしていることは、何てゲスいのだろうとは思うが。

「ねえ…ちょっと寄り道してもいい?」
「うん。私でよければ付き合いますよ」

 俺は急に感傷的な態度を装い、寄り道を提案した。楓も傷心の俺に同情してくれたのだろう。特に悩む様子もなく快諾してくれた。

「近くに落ち着いた公園があるからさ。アイス買って、そこで食べながらゆっくりしようよ」
「はい、いいですよ」

 楓は特に警戒する様子もない。日頃から小さな寄り道を繰り返した甲斐があったというものだ。やはり小さな積み重ねがものを言う。そんなことを思いながら俺たちはコンビニへと向かった。



「わあ、こんなところにお洒落な公園があったなんて…知らなかったです」
「うん。楓ちゃんが気に入ってくれたなら嬉しいよ」
 
 俺たちが向かった公園は、こじんまりとしているが小さな丘があり、見晴らしが中々いい。密かにカップルに人気のあるスポットだ。
 俺たちが丘を登った時もすでに2組のカップルがいた。結構出来上がっている雰囲気だし、この後ホテルに行くのだろう。お盛んなことだ。

「や、やっぱり、カップル来てますね。宗介さん、ここでよかったんですか?」
「あはは、流石にそんなこと気にしないよ」

 いずれにしろ、独特の色気ある空気が場に漂っているな。楓ちゃんが刺激的な空気に毒されたのか、少し緊張しだしたのだ。
 吉と出るか凶と出るかは分からないが、いずれにしてもまだ手を出すには早い。
 俺たちはベンチに座り、アイスを食べながら他愛のない会話を始めた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

短編小説 ドジっ子さちこが義母だったら。。。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:9

勇者のこども

児童書・童話 / 完結 24h.ポイント:1,980pt お気に入り:1

BLはファンタジーだって神が言うから

BL / 完結 24h.ポイント:825pt お気に入り:30

真面目だと思っていた幼馴染は変態かもしれない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:269pt お気に入り:373

ハヤテの背負い

青春 / 連載中 24h.ポイント:284pt お気に入り:0

桜天女

恋愛 / 完結 24h.ポイント:326pt お気に入り:0

処理中です...