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ミネルバの災難
ミネルバの旅とで出会い
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ミネルバは自分の目の前にある巨大な龍を呆然と見上げていた。
龍はミネルバがどれだけ攻撃しようと再生してしまう。
もはや打つ手が見えず、呆然と立ち尽くすしかなかった。
事の起こりは今より数日前に遡る。
ドラゴニアより真南へ1ヶ月ほど馬車を走らせたところに百数十個の島郡が存在する海が有る。人はその海を神のリゾート地と呼び、近づかないようにしていた。
ミネルバはブラウンからもらった無限収納袋を使って辺境の小さな村々を回りつつ、神のリゾート地を目指していた。
「ここは、調味料と織物が足りないんだな」
ミネルバはトッポからもらった覚書を確認しながら次の村に向かっていた。
森林道をノンビリ歩いていると、少し先のほうで複数の人間のものと思える悲鳴が聞こえた。
「ちっ」
小さく舌打ちして一気にトップスピードに上げると悲鳴のした方へ駆け出していった。
ミネルバが少し開けた休憩所と言われるところに着くと広場の奥の馬車が見える広場に5人の冒険者風の男達が、血塗れで倒れた男達をそのままに、女性たちの方へと迫っている所だった。
「何をしている」
赤い髪を靡かせてミネルバが声をかけると、男達は一斉に振り向き、ニヤニヤと嫌な顔を向け
「なんだ?ねぇちゃん仲間に入りたいのか?」
「良い女じゃねぇか、楽しみが増えたぜ」
「あれ?嫌な予感がしやがる」
口々に好き勝手なことを言う男たちに、ミネルバはため息をつきながら軽く頭をかいた。
「どうでもいいから、かかってきなさい」
ミネルバがそう言うと、それが合図のように男たちが一斉に襲いかかった。
右端の男の右手を巻き込むように掴むと、それを大きく振りかぶって真ん中に居た盗賊を真横に薙ぎ払い、その勢いのまま隣の盗賊を頭から叩き飛ばす。
「な、何なんだ!俺達は密林の豚狼だぞ!
それをたった一人でどうにかできるなど……」
「アタシには関係ないね!吹っ飛びなよ」
気を通して気絶した盗賊を真っ直ぐにして、残り二人の盗賊に頭部分を向けるとニヤリと笑った。
盗賊達はその異様な光景に逃げ腰ながら震えつつ剣を構えた。
「いい度胸だ!」
ミネルバは素早く右の盗賊を、手にした盗賊を投げつけて吹き飛ばす。
残った盗賊は突然の出来事に一瞬固まってしまい、その隙を突いてミネルバが回し蹴りを叩き込んだ。
「あ、赤」
スカートの中を覗いた男の言葉にミネルバは一瞬顔を赤くすると、顔を踏みつけ、男の意識を刈り取った。
「ったく、そこの人達大丈夫?」
「はい……でも旦那たちが」
少し年配の女性が血を流している男たちの方へ目を向けた。
「息がある奴も居るかもしれない、待ってな」
ミネルバが息をしている者を探してみると、倒れた6人の男の中に息がある者は4人も居た。
素早くドラゴニアポーションと呼ばれるようになった、最上級ポーションを傷口にかけ、女性を呼び、みんなで男を馬車に運び込んだ。女性にも精神安定薬を飲ませて馬車の中で休ませると、ミネルバが御者をして目指していた村へと進んで行った。
馬車はノンビリと森林道を進んで行き、日も傾き始めた頃女性の一人が起き出して来た。
「すいません、助けてもらったばかりか御者まで……」
「気にしなくてもいいよ。
私はミネルバ、行商をしながら旅をしているんだよ」
ミネルバが人懐っこい笑みを浮かべて自己紹介すると、慌てて女性も
「あ、わ、私は11開拓村のミーミって言います。
南方中央開拓町に農産物を売りに行った帰りに襲われたんです」
「やっぱこの辺りにも盗賊って出るんだね~
ここまでで初めてな気がする」
ミネルバが顎に指を当てて「う~ん」と考え込んでいると、
「中央開拓町の周りの1~10の開拓村の辺りまでは辺境伯様の騎士様たちが見回って下さっているのですが、開拓村11~16までは少し距離があるため巡回が少なくて……」
「そうなの?と言う事は税はかなり優遇されてるとか?」
「それが、税は変わらなくて……」
少し困ったようにミーミが言うとミネルバは呆れたような顔になった。
「ドラゴニアって地方が最近出来たんだけど、あの辺りはドラゴン兵団が見回っているのも有るけど、街からの距離が遠いほど税は安くなっているんだ。ここの辺境伯は何を考えてるんだろう?」
ミネルバの言葉にミーミはビックリしたような顔をして口に手を当てると、真剣な顔をして何かを考え始めた。
”なんなんだろうね~、もう直ぐ村だし、ま、いいか”
馬車は夕日を背負い、森林道を進んでいく。
これから起きる事件をまるで隠すように穏やかな情景を映し出していた。
――――――――――――――――――――――――――――
久しぶりの更新と成ります
やっと次が書ける様になったのでまたよろしくお願いいたします
龍はミネルバがどれだけ攻撃しようと再生してしまう。
もはや打つ手が見えず、呆然と立ち尽くすしかなかった。
事の起こりは今より数日前に遡る。
ドラゴニアより真南へ1ヶ月ほど馬車を走らせたところに百数十個の島郡が存在する海が有る。人はその海を神のリゾート地と呼び、近づかないようにしていた。
ミネルバはブラウンからもらった無限収納袋を使って辺境の小さな村々を回りつつ、神のリゾート地を目指していた。
「ここは、調味料と織物が足りないんだな」
ミネルバはトッポからもらった覚書を確認しながら次の村に向かっていた。
森林道をノンビリ歩いていると、少し先のほうで複数の人間のものと思える悲鳴が聞こえた。
「ちっ」
小さく舌打ちして一気にトップスピードに上げると悲鳴のした方へ駆け出していった。
ミネルバが少し開けた休憩所と言われるところに着くと広場の奥の馬車が見える広場に5人の冒険者風の男達が、血塗れで倒れた男達をそのままに、女性たちの方へと迫っている所だった。
「何をしている」
赤い髪を靡かせてミネルバが声をかけると、男達は一斉に振り向き、ニヤニヤと嫌な顔を向け
「なんだ?ねぇちゃん仲間に入りたいのか?」
「良い女じゃねぇか、楽しみが増えたぜ」
「あれ?嫌な予感がしやがる」
口々に好き勝手なことを言う男たちに、ミネルバはため息をつきながら軽く頭をかいた。
「どうでもいいから、かかってきなさい」
ミネルバがそう言うと、それが合図のように男たちが一斉に襲いかかった。
右端の男の右手を巻き込むように掴むと、それを大きく振りかぶって真ん中に居た盗賊を真横に薙ぎ払い、その勢いのまま隣の盗賊を頭から叩き飛ばす。
「な、何なんだ!俺達は密林の豚狼だぞ!
それをたった一人でどうにかできるなど……」
「アタシには関係ないね!吹っ飛びなよ」
気を通して気絶した盗賊を真っ直ぐにして、残り二人の盗賊に頭部分を向けるとニヤリと笑った。
盗賊達はその異様な光景に逃げ腰ながら震えつつ剣を構えた。
「いい度胸だ!」
ミネルバは素早く右の盗賊を、手にした盗賊を投げつけて吹き飛ばす。
残った盗賊は突然の出来事に一瞬固まってしまい、その隙を突いてミネルバが回し蹴りを叩き込んだ。
「あ、赤」
スカートの中を覗いた男の言葉にミネルバは一瞬顔を赤くすると、顔を踏みつけ、男の意識を刈り取った。
「ったく、そこの人達大丈夫?」
「はい……でも旦那たちが」
少し年配の女性が血を流している男たちの方へ目を向けた。
「息がある奴も居るかもしれない、待ってな」
ミネルバが息をしている者を探してみると、倒れた6人の男の中に息がある者は4人も居た。
素早くドラゴニアポーションと呼ばれるようになった、最上級ポーションを傷口にかけ、女性を呼び、みんなで男を馬車に運び込んだ。女性にも精神安定薬を飲ませて馬車の中で休ませると、ミネルバが御者をして目指していた村へと進んで行った。
馬車はノンビリと森林道を進んで行き、日も傾き始めた頃女性の一人が起き出して来た。
「すいません、助けてもらったばかりか御者まで……」
「気にしなくてもいいよ。
私はミネルバ、行商をしながら旅をしているんだよ」
ミネルバが人懐っこい笑みを浮かべて自己紹介すると、慌てて女性も
「あ、わ、私は11開拓村のミーミって言います。
南方中央開拓町に農産物を売りに行った帰りに襲われたんです」
「やっぱこの辺りにも盗賊って出るんだね~
ここまでで初めてな気がする」
ミネルバが顎に指を当てて「う~ん」と考え込んでいると、
「中央開拓町の周りの1~10の開拓村の辺りまでは辺境伯様の騎士様たちが見回って下さっているのですが、開拓村11~16までは少し距離があるため巡回が少なくて……」
「そうなの?と言う事は税はかなり優遇されてるとか?」
「それが、税は変わらなくて……」
少し困ったようにミーミが言うとミネルバは呆れたような顔になった。
「ドラゴニアって地方が最近出来たんだけど、あの辺りはドラゴン兵団が見回っているのも有るけど、街からの距離が遠いほど税は安くなっているんだ。ここの辺境伯は何を考えてるんだろう?」
ミネルバの言葉にミーミはビックリしたような顔をして口に手を当てると、真剣な顔をして何かを考え始めた。
”なんなんだろうね~、もう直ぐ村だし、ま、いいか”
馬車は夕日を背負い、森林道を進んでいく。
これから起きる事件をまるで隠すように穏やかな情景を映し出していた。
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