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 予想以上に素敵なドレスに仕上がりました。
 卒業パーティーで着るつもりで購入した生地でしたが、王太子の誕生日パーティーへと変更になりました。
 製作期間が2ヶ月延びたので、刺繍などの装飾が予定よりも細かく豪華になりましたわ。
 豪華なのに下品にならないのは、さすが王家御用達といったところでしょうか。
 サンドラとカレーリナ、マリリナ様とフェリシア様のドレスも一緒に制作されました。

 サンドラは炎の精霊のようにあでやかで華やかに、カレーリナは若葉の精のように可愛らしく生き生きと、マリリナ様とフェリシア様はついの春の妖精のように儚くも美しく。
 そして私は、凛とした雰囲気と気品に溢れた氷の精霊をイメージしたと言われました。

 王太子が迎えに来ない事は予想していたので、私のパートナーは弟のルパートです。
 本当ならまだテビュタントも済ませていないのでパートナーは父が務めるものなのですが、今日は父は王の横にずっと
 前回は権力の集中を避ける為に断った宰相という職を、今回はしっかりと手中に収めております。
 将来的には、私とお父様で国政を回す事になるのかしら?
 それは、とても楽しそうだわ。


 会場に着くと、既に殆どの貴族は揃っておりました。
 私に付いていてくれたカレーリナと、その婚約者のネイサンが先に会場入りします。
 次にタイラーとマリリナが入場します。
 フェリシア様は、先に会場で待たれているのでしょう。
 次に、マリリナ様のお兄様であり公爵家嫡男のローガン様が、サンドラと一緒に入場しました。まだ婚約者候補ですが、おそらく大丈夫でしょう。
 前回は領地に引き籠もり、おそらく幸せにはなれなかったサンドラ。
 今回は初恋を叶え、公爵夫人になれる事でしょう。

 ここで本来なら招待客の入場は終わりです。
 なぜなら、私はに王太子と居るはずですから。
 しかし王太子は私を迎えにも来なかったし、入場前に控室に来るようにとの連絡もございませんでした。
 それは、前回もそうでしたが、前回の私は健気にも、ギリギリまで邸で王太子の迎えを待っておりました。
 届かないドレスを、「これ以上は待てません」と侍女に懇願されるまで待っておりました。



「お姉様、本当にぼ……私がパートナーで大丈夫でしょうか?」
 私の隣で緊張している可愛いルパート。
 抱きしめたくなりますけど、今は駄目ですわね。
「入場だけだから大丈夫よ。中に入れば、元生徒会の皆様と一緒に居ますので。ルパートは、可愛い婚約者と一緒にいなさい」
 私の言葉に、ルパートは真っ赤になります。
 幼馴染みの令嬢と婚約したルパート。
 今回は立派な大人に成長して、家族を持って幸せになって欲しいものです。

 さあ、ルパートの幸せの為にも、ぐうの音も出せないくらいしっかりと、ご自分達の立場を解らせて差し上げませんとね。


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