33 / 51
33.
しおりを挟む予想以上に素敵なドレスに仕上がりました。
卒業パーティーで着るつもりで購入した生地でしたが、王太子の誕生日パーティーへと変更になりました。
製作期間が2ヶ月延びたので、刺繍などの装飾が予定よりも細かく豪華になりましたわ。
豪華なのに下品にならないのは、さすが王家御用達といったところでしょうか。
サンドラとカレーリナ、マリリナ様とフェリシア様のドレスも一緒に制作されました。
サンドラは炎の精霊のように艷やかで華やかに、カレーリナは若葉の精のように可愛らしく生き生きと、マリリナ様とフェリシア様は対の春の妖精のように儚くも美しく。
そして私は、凛とした雰囲気と気品に溢れた氷の精霊をイメージしたと言われました。
王太子が迎えに来ない事は予想していたので、私のパートナーは弟のルパートです。
本当ならまだテビュタントも済ませていないのでパートナーは父が務めるものなのですが、今日は父は王の横にずっと居なくてはいけません。
前回は権力の集中を避ける為に断った宰相という職を、今回はしっかりと手中に収めております。
将来的には、私とお父様で国政を回す事になるのかしら?
それは、とても楽しそうだわ。
会場に着くと、既に殆どの貴族は揃っておりました。
私に付いていてくれたカレーリナと、その婚約者のネイサンが先に会場入りします。
次にタイラーとマリリナが入場します。
フェリシア様は、先に会場で待たれているのでしょう。
次に、マリリナ様のお兄様であり公爵家嫡男のローガン様が、サンドラと一緒に入場しました。まだ婚約者候補ですが、おそらく大丈夫でしょう。
前回は領地に引き籠もり、おそらく幸せにはなれなかったサンドラ。
今回は初恋を叶え、公爵夫人になれる事でしょう。
ここで本来なら招待客の入場は終わりです。
なぜなら、私は迎える側に王太子と居るはずですから。
しかし王太子は私を迎えにも来なかったし、入場前に控室に来るようにとの連絡もございませんでした。
それは、前回もそうでしたが、前回の私は健気にも、ギリギリまで邸で王太子の迎えを待っておりました。
届かないドレスを、「これ以上は待てません」と侍女に懇願されるまで待っておりました。
「お姉様、本当にぼ……私がパートナーで大丈夫でしょうか?」
私の隣で緊張している可愛いルパート。
抱きしめたくなりますけど、今は駄目ですわね。
「入場だけだから大丈夫よ。中に入れば、元生徒会の皆様と一緒に居ますので。ルパートは、可愛い婚約者と一緒にいなさい」
私の言葉に、ルパートは真っ赤になります。
幼馴染みの令嬢と婚約したルパート。
今回は立派な大人に成長して、家族を持って幸せになって欲しいものです。
さあ、ルパートの幸せの為にも、ぐうの音も出せないくらいしっかりと、ご自分達の立場を解らせて差し上げませんとね。
応援ありがとうございます!
25
お気に入りに追加
899
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる