32 / 113
乙女ゲーム本編突入です。
第32話:図書室
しおりを挟む私以外の3人は、色々思うところはあるようだが、チョコアと紹介しあってないので会話をしない。
誰かもう1人くらい仲間が欲しいのだが、3人とも視線を逸らしやがるんだよ。ちくしょう。
「チョコア様、ライジ殿下に意見出来るとしたらマカ殿下だけですわ。
それこそ、マカ殿下にお願いされればよろしいのでは?」
婚約者としては、他の女性に近付いて欲しくない……事もないな、別に。
エルクエール公爵家としては、婚約解消したくてしょうがないしね。
「マカ様には、断られちゃったんです!
それじゃなければ、ここには来ません!」
うわぁ、本来私も貴女が簡単に声を掛けられる相手じゃないんだけどな。
バカ殿下と普通に話してるから、感覚がおかしいのかなぁ。
てか、バカ殿下が出来ないって言ってんのに私の所に来るって……バカ殿下、私より下に思われてるって事よね。
ヤバくない?第一王子として。
ただ単にこの女が馬鹿なだけなのかな。
「チョコア、こんな所で何してるんだ」
おぉっと、噂をすればバカ殿下デスヨ。
とりまきズも一緒です。
「マカ様が、もう食堂で一緒に食べれないって言うから、この人に王子様に言ってもらおうとしてたんです」
馬鹿娘、私の名前を覚えてないんかい。
老婆心ながらツッこんでおくと、『食べれない』じゃなくて『食べられない』だからな。
貴族はその辺厳しいぞ。
「イライジャがダメだと言ってるものをフィオに言ってもダメに決まってるだろう?」
んん?バカ殿下?ワタクシ、貴方に愛称呼び許してませんけど?
もしかして自分が愛称呼びさせてるから、そちらも呼んで良いと思ってるとか?
いやいやいや。いくら王子でもそれはダメっしょ。貴族のルールに反する。
「マカルディー殿下、ここは図書室です。
雑談ならば、他所でお願いします」
バカ殿下を愛称ではなく、ちゃんと呼んでやる。
なに驚いた顔してんのよ。
「お前、な、何、なんで、名前」
「マカルディー?騒ぐならそこの女と出て行きたまえ」
バカ殿下の言葉を、ライジ殿下が見事にぶった切った。
怖い怖い怖い怖い。
バカ殿下は私を睨んでるし、そこの女は、不敬にもライジ殿下を睨んでるし、ライジ殿下はバカ殿下を睨んでる。いや、ライジ殿下は見下してる?
これ、私はチョコアを睨めば良いの?…って、そんなわけあるか!
この輪には入りたくないわ。
今まで空気だったとりまきズが、バカ殿下に図書室を出るように促す。ライジ殿下に言われたら、そりゃ従うよね。
しかしチョコアは放置かい。放っておいても、遅れて出てったけどさ。
「フィオ、サラ、うちの愚兄が申し訳なかった。そちらの2人も騒がせたね」
声を掛けられた2人は挨拶の為に立ち上がろうとするが、ライジ殿下はそれを手で制する。
「同級生だし、名前も知っている。
ミリフィール嬢にジェラール嬢だね?
これからは、同級生として接して欲しい」
お2人にも話しかける許可出ましたよ!
「これで一口交換の仲間に入れてもらえるかな?」
ニヤリと笑うライジ殿下の後ろに、何か黒い羽とか尻尾が見えた気がした。
どこでどう話が捻じ曲がったのか、翌日には、私がチョコアを食堂から締め出した事になっていた。
食堂での騒ぎより、図書室での様子を見ていた生徒のせいだろう。
チョコアが大声で話す内容だけ聞こえたとしたら、誤解してもしょうがない。
バカ殿下とかライジ殿下の話も聞いててよ、と思ったがこればかりは仕方あるまい。
チョコア、バカ殿下には普通の声で話しかけてたしね。
え?頭お花畑に見せかけて、計算高いとか!?
違うか。
そして最近、チョコアの制服が汚れている。そりゃ、常に制服で手を拭いてれば汚れるよね。
だから自業自得なのだが、なぜかそれまでも私のせいになっている。
あれ?やっぱり計算高いのか?
応援ありがとうございます!
22
お気に入りに追加
1,899
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる