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第六章 【二つの世界】
6-148 剣と盾3
しおりを挟む「……ってこんな感じなんだけど?」
今度はこの場にいる者たちにも、あの炎の中で何が起きていたのかが見えていた。
モイスがサヤに向かってブレスを吹きかけると、それはサヤの前で二つに割けて消えていく。
その様子は、キャスメルが魔法を受けた時に見た現象と同じものだった。
物理的な攻撃方法以外で、元素や魔法の攻撃はこの世界において特殊な能力であり、人以外での争いにおいても優位に立つことができる手段だった。
しかし、この現象を目にしたステイビルたちは、その常識を変えなければならない程の衝撃を受けていた。
だが、その状況がすぐに飲み込めるはずもない……
言葉が出ないステイビルたちを、サヤとハルナはただ見守るだけだった。
「これは、一体……どういうこと……いや、何が起きているのですか?」
誰よりも先に落ち着きを取り戻したステイビルが、近くにいたモイスに今起きていた現象を問いかける。
『い……いや。ワシもこんなことは初めてだ……一体何が起きたのか、見当もつかぬ』
『これは……』
今まで黙って状況を見ていたラファエルが、意を決して今まで自分の中だけにとどめていた情報を公開することにした。
『これは……お互いが傷を与えることができない存在があるようなのです』
「ある”よう”……とは?」
『これは……私も聞いただけの情報になりますが。この世界の中には、お互いを傷つけ合うことができない存在がいるということらしいです』
「傷つけられない?まさか、そんなことが……」
ステイビルはそう口にしてみては見たものの、現実に目の前で三度も見た現象が、ラファエルが言っていたことに当てはまっている。
その裏で、一体どの存在同士であれば、その条件に当てはまるのかを考えた。
過去の争いや、自分自身で行った野生動物や亜人の討伐においても、そのような現象を見たことはなかった。だが、キャスメルもサヤも魔法や元素の攻撃を避けてみせた。
(何が……そうさせているのか?……ん、剣か!?)
「もしかして……その剣ですか?」
「ここまでやったら、だれでもわかるよね?でも、そうなんだよ」
サヤの説明では、この剣を持つとこの世界の元素や魔素による攻撃は全て無効とされると説明した。
「しかし……キャスメルは剣を持たずにあの魔法を」
「だから、持ってるって思ったんじゃないのよ。剣と反対にある”道具”をさ」
「あ、そうか!?”盾”……ですね?」
「そう。アタシたちが知っているのは、盾もこの剣と同じ効果があるっていうことよ」
『それにしても、サヤ様。キャスメルはどこに盾を持っていたのでしょうか?そんなに小さなものなのですか?盾は』
ガブリエルが、自分の感じた疑問をサヤにぶつける。
そして、サヤはそのことに対してこう答えた。
「いや、盾は大きいよ。普通のサイズの盾だって記憶してる、でもアイツにも変な見方が付いているみたいなんだよね……」
そしてその流れに乗じて、ステイビルは自分が一番気にしていたことを質問する。
「すみません、お二人は……一体どこから来られたのですか?なぜそのようなことをご存じなのですか?」
「あぁ……アタシたち、別の世界から来たんだよ」
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