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第六章 【二つの世界】

6-346 暗闇の世界2

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「ま、マギーさんですか!?」


「あぁ、ボーキンたちも来たんだね」


この明かりも上下左右もない闇の世界の中、マギーの宿の人員が全てこの中に集められていた。


ボギーとスィレンとエルメトは、西の王国から生活物資を輸送中にモイスによってこの空間へと連れてこられたと告げた。
そしてアーリスは、その反対に自分たちの状況をボーキンに説明をした。



「なんだと?ハルナさんとサヤという女性が来ているだと?」


ボーキンはこの空間内での身体の強張りは感じないが、意識的に力が入ってしまう。


「それで、この状態はそのサヤという者が……いや、違うな。モイス様が行ったことなのだろう……だが、一体なぜ?」

「私たちが……人質ということはないでしょうか?」



エルメトは、自分がこの少ない情報の中で閃いた推測を告げる。
だが、その推測においてもおかしな点があるところもわかってはいた。
ボーキンもその可能性を浮かべていたのか、おかしな点を指摘した。


「モイス様が……か?であれば、モイス様はハルナ様を裏切ったというのか?そんなことがあるはずもないだろう!?……ま……まさかっ!?」


ボーキンの思考の中に、話している途中である考えが思い浮かぶ。
それは、考えたくなかったモノではあるが、それを否定する材料もないのも実情だった。


「……ハルナ……さんが!?」


「……その可能性は否定できません、”ボーキン様”」



そう告げたのは、マギーの宿を手伝っている一従業員ではなく、あの問題以降見ることのなかった西の王国を護る警備兵の雰囲気を纏ったアーリスの言葉だった。
その懐かしい緊張感を言葉から感じ、ボーキンも久しぶりにその緊張感を帯びながらアーリスの言葉に応える。



「……それはどういうことだ、アーリス?」

「はい。ボーキン様たちが外出された際に、お二人ともこの地にお見えになられました、初めにハルナさん……次にサヤ様とモイス様です。その際にサヤ様は、ハルナさんのことを探しているようにも見受けられらました。そして、ハルナさんがサヤ様より先にいらっしゃったことを告げると、サヤ様は辺りを警戒され……まずマギーさん、そして私がこの場所に連れてこられました」

「……」



ボーキンは、アーリスの推測を聞きながら自分の経験と照らし合わせ、この状況を再度評価し直している。その間無言になっていたが、それを自分の言葉の続きを求められていると取ったアーリスはさらに自分の考えを並べようとした。



「その後、モイス様がボーキン様たちを”迎えに来た”ということは、これは人質というよりも他の意図が……」

「――っ!?」



アーリスの言葉の途中で、”この場にいる”者たちに変化が起きた。
真っ暗な環境から急変し、周囲が明るくなり今まで感じなかった身体の感覚を取り戻していた。
急激に戻った視覚に、眩しい光が入り込み一瞬目を細めてしまう。
しかし、この場所がどこかという確認が必要と感じた警備兵経験者の三名は、必死に状況把握をするために周囲を見回した。


ここはそれぞれがいた場所ではない、見覚えのある宿の裏の山の中だと気付いた。
そして、二人の女性が対峙している姿がそこにあった。







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