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第六章 【二つの世界】

6-356 サヤとハルナと8

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「それに、こうしてこの世界は動き出してるじゃない?それが、私たちの全てではなくって?」

「これが……”すべて”?」

「そうよ……何を悩んでいるのかはわからないけど、あなたのその悩みは何の意味もないのよ」

「……」


何の意味もないと言われたことで、もう一度自分の中に抱いた疑問を振り返る。
しかしその思考の途中で、もう一つの存在は声をかけその思考を中断させようとした。


「そ……それでね?これからのことだけど……」



しかし、その”策”も無意味に終わる。考え続けた結果、ある一つの決断を導き出した。



「……よし。決めた」


「そう……だからね、私と一緒に……え!?決めたって、な……何を?」


もう一つの存在も、何かの意を決したように自分の要望を告げようとしていた。
その言葉は相手の意志の強い決断の勢いに飲まれ、反対に自身の言葉が中断させられてしまっていた。



「私は、この世界の仕組みを解明するために研究をしたい」


相手から出た決断は、先ほどからも聞いた内容から繋がっており理解できるものだった。
だからこそ、用意していた対応する言葉を満を持して持ち出した。


「そ、それなら私と一緒にやりましょうよ!そうすれば、お互いの……」

「……いや、それは止めておこう」


自身の提案を否定する言葉が聞こえ、ほんのわずかな時間が停止し目の前が暗くなる気がした。
じきに意識が戻ると、その否定を覆そうとその場で思い浮かんだ言葉を口にした。


「どうして!?二人の方が色々と調べることが捗るとおもうんだけど!?」

「それだとダメなんだ……」

「ダメってどういうこと?私とじゃダメだってこと!?」

「そうじゃない……それぞれでなければができないことがあるのでは、この世界の危機を救うことはできないと考えたんだ」


「……」


相手の言うことが理解できず、どうすれば自分の思惑へと誘導できるtか思考を巡らせる。
しかし、その意図が何なのかを理解できない状態では、それに対しての有効な言葉を選ぶことができずにいた。
またしてもその思考の時間が制限を迎え、もう一つの存在が話を前に進めてしまった。


「だからこそ、この世界の仕組みを解き明かして、自分のものにする必要があるんだ」

「わからない……全くわからないわ!?なんで?どうしてそんなことする必要があるの!?だって、私たちがこの世界を……ここのすべてを創り出したのよ!?それ以上何をする必要があるっていうの!?」


今までに見せたことのない必死な感情を相手にぶつけ、自分の意見をわかってもらおうとした。
だが、お互いの視点の違いの差を埋めることができず、もう一つの存在から静かに告げられた。


「……どうやら、君とは話が合わないみたいだ。ここからは、私ひとりでやることにしよう。君とはここで一旦別れよう」


「ま、待って!?うそ……そう。今のは嘘!ね?私と一緒に……今までと……同じ」


「すまない……もう決めたことだ。何か大きな問題があった場合には、お互い声を掛け合おう。それまでは、一人で行動する」


そうしてある存在は、今まで共に世界を創り上げてきた仲間から離れようとした。








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