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第六章 【二つの世界】
6-439 決戦11
しおりを挟む『……ということは、元素もこの世界の生物を創るために必要な資源なのでしょうか?』
「多分……そうじゃないかな?アタシにはない能力だから、ハルナとかアンタとかの方がよくわかるんじゃない?」
そう言われてもラファエルは、そんな特殊な能力の話をされても困惑するだけだった。
『ふふふ。そんなに自信を持って語っているみたいだけど……』
自分の脇腹から剣が貫かれているままで、盾の創造者は今までのサヤの推測が誤っているかのように笑った。
『ラファエル、あなたはそんなことを信じるのかしら?あなたのことを創ったのはわたしなのよ……それなのに恩をこんな形で返すつもりなのかしら?今ならまだ許してあげるから、さっさとハルナとサヤを消しなさい。そうすれば、これまでのことは見なかったことにしてあげるわ』
『……』
盾の創造者からの反応を見せないラファエルに対し、サヤはラファエルを見向きもしない。ただ盾の創造者だけを視界に入れ、どんなことでも対応できるように準備をしている。
サヤにダメージを与えた小さな人型たちは、盾の創造者に剣を突き刺してからその動きを止めている。
これまでは想定内の範囲で進んでいるように思えるが、継続して警戒を続けながらこの状況を自分の仕掛けた罠へと誘導するために最大の注意を払っている。しかし、今だに意識を戻さないハルナことはサヤの想定範囲外の事で、盾の創造者がハルナのことをどうにかできない状況できていることがいつまで持つか心配だった。
今はラファエルは自分に助けを求められているが、それよりも大事な戦力であるハルナのことの方が優先でこの作戦を実行する際に告げた通り、各個人でその場を切り抜けて欲しいとその意識を受け流す。
『……迷ってるの?それとも、”想定外”のことが起きてるのかしら?だとしたら、わたしもまだまだ隠していることはあるんだけど?』
そういって、盾の創造者はサヤに含みを持たせた笑顔を向ける。そして、盾の創造者はまだまだ余裕があるという空気を纏いながら、サヤに対して質問を投げかける。
『あなた達は、”剣”と”盾”……どちらが本当に強いかご存じ?』
「さぁ……ね。どっちなんだ?」
『本当に……愚かなのねぇ。そのわずかな頭、もう少し働かせてみたらどうなの?』
「そもそも、条件とかその使用者によっていろいろ変わるもんだろ?そんなの一言で言えると思ってるそっちの方が足りないんじゃないの?」
『はぁ……全く。その前に”頭を働かせなさい”っていう意味も組めないなんてね……ここまでくるとこうして対峙ししているのも馬鹿らしくなってくるわね』
「はぁ、そうですか?……で?アンタの考えている強い方はどっちなの?勿体ぶらずに早くいいなよ、アタシに言って優位に立ちたいんだろ?ほら……」
『たかだか少しだけ能力をもった人間の分際で!……まぁいいわ、無知なあなたに教えて差し上げましょう……”盾”の方が強いのよ』
そういって盾の創造者は、自身の身体に刺さった剣に握り引き抜いて見せた。
引き抜いた剣を掲げ、くるくると剣の両面を交互に眺め剣を手放した。すると、剣は資源の粒子となり空気中に消えていった。
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