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第六章 【二つの世界】
6-472 提案
しおりを挟む「今の話しは、ハルナさんのことですよね?」
ブンデルの言葉に、”何を当たり前なことを”と、サヤの不快感がこの場を緊張させた、ブンデルは否定的な言葉が返ってこないことを確認し、気にせず言葉を続けた。
「であれば、サヤさんの先ほどの話しからしてハルナさんがこの世界?……で長い時間をお一人で生きていくのがお辛い……そう言うことですよね?」
ハルナは一瞬だけエレーナたちの顔を見て、ブンデルにその認識で問題ないと頷く。
「……そうですか。であれば、私たちの村にいらっしゃいませんか?エルフにとっては千年など大した時間ではありません。まぁ、私も今の状況で最後まで見届けることができるかと言えばお約束できないかもしれませんが、私たちの種族であれば自分たちの子供であればこの結末を見届けるることができますよ?」
「あ!であれば私たちドワーフも、協力いたします!!」
ブンデルの案にサナも同意する、併せてぜったに寂しい思いをさせないと約束して、ハルナに来てほしくて強くアピールする。
その提案に対し、この場の中で一番不快な表情を見せたのはマーホンだった。
「お待ちください……別に長寿種の方々にお願いすることもないのではないですか?ハルナ様は、”エフェドーラ家”でお迎えいたします。同じ人間であるほうが、様々な文化や生活様式においても馴染みやすいのでは?先ほどの時間がかかってしまう件に関しても、我が一族が代々お勤めさせていただけるように徹底いたします」
最初に発言したブンデルとそれに同意したサナに、食ってかっかるようなマーホンの勢いに、二人は引き気味な笑顔を浮かべている。
特にブンデルたちはお世話になったハルナたちの役に立てるならばという気持ちで提案しただけだが、マーホンほど”ハルナを独占したい”という気持ちはない。
例えハルナが、マーホンのところに行き自分たちのところへ来たいと気持ちが変わっても、ブンデルはそれを受け入れるつもりでいる。
やれやれとブンデルはこの流れをどのように変えようかと考えていたが、また新たな意見が持ち出された。
「マーホンさん、落ち着いてください。ハルナ様のお考えもあるでしょうし、何よりも今はまだハルナ様ご自身が受けた衝撃の方が大きくてそれどころではないのでは?」
マーホンは自分が先走った行動をとってしまったこと恥じ、それを指摘してくれたニーナとそれぞれの立場でハルナの支援を考えてくれていたブンデルとサナにお詫びの言葉を告げる。
「それで、わたくしからの意見なのですが……予め申し上げておきますが、これからご提案する内容は”ハルナ様を独占したい”というものでは、決してございませんので……」
マーホンはその言葉に、先程の自分の態度を思い出して耳が赤くなった。
ニーナはステイビルの隣に座ることができる立場であり、商人である自分とは違う視点からの提案がどういうものか興味を持ちながらその内容を待った。
「……わたくしは、ハルナ様を一度、西の王国へ行かれることをご提案いたします」
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