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第六章 【二つの世界】

6-473 配慮

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「西の王国に……ニーナ、それはなぜだ?」



ステイビルはハルナを離そうとするニーナの提案に疑問以上のものを感じた。
ニーナは自分がハルナに好意を持っていることは知っている、その上でニーナは納得し自分の傍にいてもいいかと聞いてきた。
しかし、このタイミングであの発言は、ここぞとばかりに自分をハルナの傍から引き離そうとしているのではないかと疑ってしまっていた。


その視線が自分を疑っているということに気付いたニーナは、残念な気持ち感じながらも奥歯を噛みしめて、自分が考えたハルナにとっても必要なことであろうと考えたことを質問を受けたステイビルに向けながらこの場に告げていく。



「……はい。それは、ハルナ様が既に王都の中では”有名な”お方だからです。王選の際のパレードを始め、様々な問題を解決されてきたハルナ様は既に王都内では第一妃としての認識もあるのです。では、その方がこれから長年の生を得て、生きていくのだとしたら……国民はハルナ様にどのような印象を持たれるでしょうか?」


「確かに。ハルナを化け物か……良くてエルフのような人種であるかのように思う人は出てくるかもしれないわね。まぁ普通じゃないのは確かだけど」


「そうです。いまエレーナさんが感じた、その感想以外のものを抱く方もいらっしゃるでしょう。中にはハルナ様のことを神格化して、王国内の争いの種にもなりかねません。それに比べて西の王国では、ハルナさんの存在は然程知られてはおりません。それにいつまでも西の王国滞在するのではなく、ほとぼりが冷めた頃にまた戻ればよいだけです。その際には名前を変えて戻れば、そんなには大きな騒ぎにはならないと思われます」


「なるほど……ね」


その説明に頷いたのは、マーホンだった。
自分がハルナの傍に付いていたいという気持ちはあるが、自分の欲だけを優先させてハルナの状況を悪くすることは望まない。
今まで出た提案も無駄にしない、さらに自分たちが考えていなかった問題も含んだ良い解決方法だと判断した。

ステイビルも、あらすじとしては問題ないと判断し、細かなところはハルナが旅立つ前までに調整し、大々的な発表は行わなずに進めることでハルナとサヤ以外の者たちは納得した。



「ハルナよ……これでどうだ?」

「あ、はい。大丈夫です……問題ありません」


「そうか。では一旦解散しよう……ハルナ、まだ顔色が良くない。ゆっくりと休むがいい」


ステイビルは立ち上がりハルナにそう告げると、エレーナたちも同じように席を立ち、ハルナを休めるために部屋から出ていく。
エレーナが、部屋を出る直前に振り返ってハルナの顔を見る。
心配してくれているエレーナに向かって、笑顔で応えた。



再びハルナは、ソフィーネの手助けを得ながら、ベットの中に入っていく。
この場から離れる最後の一人として、ソフィーネも部屋を出ていった。

「……何かありましたら、いつでもお呼びください」


扉が閉まり、ソフィーネの下げた頭が見えなくなる。
そしてこの場には、ハルナとサヤだけになった。






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