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6話 願い事

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昼間の熱に犯されて、カラダの奥が疼いて仕方がないっ。


妄想にまみれた欲を吐き出したのに、想いが止められなくて…


『…ひなたっ…』


手の中に残る白濁した体液を指に纏い、疼く蕾へ手を伸ばした。

欲望は俺に甘い夢を見せる。



瞳を閉じると、頭の中で囁く陽向の幻


【こっちも欲しい?】


ゆっくりとナカに沈んでいく指。


『…っあっ…んっ///…はあぅっ…』


【もっと奥に欲しい?】


幻は、なおも俺に命令し続けて、その指をさらに奥へと進めた。


『はぁ…っあっ…ンンっ…ひなたっ…』


何度も抜き差しを繰り返す。


この指が陽向のものならどれだけいいだろう?

そんな事考えちゃいけないって、わかっているのに…


カラダはいう事を聞いてくれない。

どんどん陽向が欲しくなってしまう。


昼間感情を押し殺せば、押し殺した分だけ夜に反動がキテしまう。

頭の中で何度も何度も陽向に抱かれる。


陽向に愛される夢を見る…。


触れて欲しいし、…抱いて欲しい。


強く想ってしまうのに…


ずっと隣に居たいから昼間は我慢をするしかない。

一番奥の核心に触れると、甘い痺れが全身に走って…

頂点に達する。


そして…どこまでも堕ちていく。

とてつもない、罪悪感に襲われて自分が嫌になる。


その罪悪感のせいなのか、報われることのない恋のせいなのか?
何だが溢れてしまう。
男なんだから…泣いちゃダメだって誰かが昔言ってたな。

男だって、悲しければ涙が出てしまうんだから!仕方がない!

どうしようもないことだってある。
流れてしまう涙につられるように、

…決まって雨が降る。


そんな、悲しい雨の音を聞きながら眠りに就く。





翌朝、


気持ちをリセットして仕事に向かう。

大丈夫!欲は吐き出したし、ちゃんと隣に居られるようにメンバーモードに気持ちを変換した。



『おはようっ』

って、何食わぬ顔で陽向に挨拶をする。

こんな事、一体いつまで続くのか?

こんな事続けられるのか不安になる。


『おはよっ!どうしたの?寝不足?』

陽向が俺の顔を覗き込む。

その距離の近さにどきっとしてしまった。
昨日の夜の事なんて、誰にもバレないし、気が付かれるはずもないのに…

なんだか、見透かされてるみたいで怖くなる。


『べっ…別に…ちゃんと寝たよ』

『夜寂しかったの?』


『え?』


一瞬ビクっとした。昨日ひとりでシてたことバレたのかなんて思ったけど…
そんなのバレるわけない!
陽向は続けて、いたずらっ子みたいに言った。


『雨降ったからさ!』


『なんだそれ!!』


『雨ってさ…なんか…悲しくなるじゃん!誰かの涙が雨になってるんかな?って思ってさ。』

『そんな訳ないだろ、おとぎ話かっ!!』


『そうだよな。そんな訳ないよな?それならいいけど。はいっこれ!』


渡されたのは、アイスノン。


『なにこれ?』


『アイスノン!』


『見ればわかるって!』


『瞳!腫れてるから!冷やした方がいいよ!』



『……ありが…と…う…』


その優しさに、溢れそうになってしまう気持ちをぐっと堪えた。


『こんなん全然平気だしっ!』


そう言って、目を閉じてアイスノンで冷やした。

瞳を閉じるように、何も見えなくなってしまえればどれだけ楽なのだろう…。


これ以上優しくしないでくれよ…。

これ以上…好きにさせないでくれよ…。


今の俺には、そう願う事しかできなかった。

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