王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

父からのくちづけ

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あれからしばらくして泣き疲れて眠った兄は、騒ぎを聞きつけてやってきた父に抱かれて部屋から去っていった。

ばぁやも思いっきり泣いていたので顔を洗ってくると言って部屋を出ていった。



広い部屋の床に1人寝そべる僕。



ぼーっと天井を眺めながら皆、僕に向かって怒りの感情をぶつけてこなかったことを考えた。

父も兄も…お前が生まれてこなければ、などとは口にしなかったし、態度にも出さなかった。


ただ、純粋に僕の傍に母が居ないことで、母を失ったことを再認識し、悲しみに涙しただけ。




亡き母は何故命の危険を知りながら僕を産んだのだろう。

僕を産まずに次に魔力のさして多くない子供を授かった時に産んだらよかったんだ。
そうすれば母が命を失うこともなかったし、僕がこんな罪悪感を感じることにもならなかったし、父や兄やばぁやが悲しむこともなかった。



前世でもそこまで生に強い執着心はなかったけど、今世でもやっぱり僕の生きたい気持ちは薄いようだ。

こんな僕の為に命を落とした母も、母を失った父も兄も可哀想だ。




ガチャ


「ルナイス。」


ぼぅっとしているとばぁやではなく父が部屋に入ってきて、床に転がっている僕を抱き上げた。

まさか父がこの部屋に戻ってくると思っていなかったので驚いて固まっていると、父は少し困った顔をした。



「お前はあまり泣かない。まるでこちらの言っていることを理解しているような反応をする。」

近くのソファに僕を抱えたまま座った父はしっかりと僕を見て話す。


「アリアを失った悲しみを思い出し、お前の前で情けなくも泣いてしまったが…ルナイスが生まれてきてくれたことを父は本当に嬉しく思っている。」

静かにそう話す父は優しく僕のおでこを撫でる。

「アリアが亡くなったことにお前が罪悪感を感じる必要はまったくない。彼女を失ったことは悲しいことだが、死を覚悟しお前を産むことを選択したのはアリア本人で私たち家族も覚悟していたこと…ルナイス、君がこの世に生まれてくることを望んだのは私達だ。これから君はこの世界で色んなものを見て聞いて感じて、生きていくんだ。」


父はそう言って僕の額にくちづけた。

日本生まれ、日本育ちの前世の記憶を持つ僕には馴染みのない行為に頬が熱くなる。
前世の両親はあまり僕に関心のない人達だったし、こんな風に誰かからくちづけられた経験はない。

そのうえ今世の父は綺麗な人だから余計に恥ずかしい。




「アーバスノイヤー家はでもある。お前がこの家に生まれてきたのも何かの縁だろう。」


ふっと笑った父は先ほどまでとは少し違って暗く怪しい雰囲気。

数日後、

僕はこの日の父の暗く怪しい笑みの答えを知る。







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