408 / 425
第5章
頑張った弟sideアドルファス
しおりを挟むこれから浮上する城へ突入しようとしていた時にアーバスノイヤー家の門前に突如現れた、ボロボロの姿のルナイスを目にした時は全身の血の気が引いた。
深い傷は見当たらないものの、ぐったりとしているルナイスは疲弊しきっていた。
寝かしてやって、早急に治療を施してやりたいが、状況が分からないままでは身動きが取れなくなってしまう為、心を鬼にしてルナイスが眠らないように声をかける。
そして、口頭での説明を諦めたルナイスから記憶を見せられて、ルナイスが城でどう動き、そしてどんなに頑張ったのかを知った。
それだけではなく、もちろんルナイスが俺に伝えたかった相手の情報もしっかりと理解した。
急いで気を失ったルナイスを家のルナイスの部屋のベッドへ寝かせ、ウー・リンチュウの後任のシャオ・リンチュウに診せた。
診断結果は疲労。
記憶を見た俺の証言から、普段無理矢理に押さえ込んでいた魔力を解放したことで体への大きな負荷がかかったことも動けなくなってしまう程の疲労の原因であろうとのことだ。
もうひとつの原因は長期に渡る潜入捜査による心身の疲労。
ここまで長期間に渡る任務は今までしたことがなかったし、正直に言えばルナイスはそんなに体力があるわけじゃないし、心も本来はとても弱い子だ。
甘えたり、頼れる俺やノヴァがいない環境に長い間いたのでは疲れ果ててしまうのも仕方がない。
寧ろよくここまでやってくれたと思いっきり抱きしめてやりたいほどだ。
しかし、俺がルナイスに変わって事後処理をしている間の3日間ルナイスは目を覚まさなかった。
シャオ・リンチュウが細い管を使ったり、水を染み込ませたガーゼ何かを口に入れたりして、水分と栄養を取らせていたが、ただの疲労でこんなにも目を覚まさないものかと心配のあまり寝ているルナイスを連れて聖教会へ踏み込んだ。
シャオ・リンチュウも魔力が不安定になっていると言っていたし、俺もルナイスが門前に倒れた時に感じて魔力循環をしたが、それでもまだ魔力が不安定なままだったようで、同じ闇属性適合者の司教が魔力を整えてくれ、やっとルナイスの体から強ばりが消えた。
一先ずは安心だろうとなったところで目の前にノヴァが現れた。
その顔は酷く青白く、瞳は不安定に揺れているが転移先に誰が転移してくるのか分かるように先に魔力を飛ばしてきたところを見るときちんと冷静ではあるらしい。
ノヴァにルナイスの状況を説明し、眠るルナイスを交代で見ていたが、2、3日してそれぞれのやらなければならないことを済ませに外に出たのだが、そんな時に限ってルナイスが目を覚ましたとの報告が入った。
今朝、城を調べ終わり、城に報告に訪れていたが、ルナイスの目覚めの知らせを受けた瞬間に俺は転移の付与札を使ってるルナイスの元へと転移した。
丁度同じ時に報告を受けたらしいノヴァと数秒の差での到着だった。
「「ルナイス!」」
隣のノヴァよりも数秒早くついた俺がルナイスの頭をガッと抱え込むと、ノヴァはルナイスの両手を握った。
俺はノヴァのこういうところを気に入っている。
無理に俺達を引き離そうとせず、当たり前のように俺達の依存ともいえる関係を受け止めている。
それは俺の妻となったナイもそうだ。
ナイは寧ろ俺達がくっつくと眼福だ何だと言ってはしゃいでいるが…
ルナイスの頭を撫でてやりながら国王様が言っていたことを報告する。
ウォード家の爵位の繰り上げにルナイスは満足気に頷いている。
きっと自分のことじゃなくてノヴァを軽んじる馬鹿が少しでも減ることが嬉しいのだろう。
アーバストイヤー家としてもウォード家の爵位の繰り上げは喜ばしいことだ。
口に出したことは無いが、昔からよくアーバストイヤー家に来ていたノヴァは家族のように思っているし、ルナイスと結婚してからは書面上でも間違いなく俺の家族で、少しでも2人が公爵家に近い家格になることで色々とやりやすくなることもあるのだ。
兄の前で久々の再会にルナイスの顔中に唇をおとすノヴァは気に入らないが、今回ばかりはルナイスも嬉しそうだし、視線を逸らして見ていないことにしてやろう。
Side end
____________
仕事が変わり、なかなか更新が難しく話を進めることができずすみません。
今までpcで更新してたのですが、最近はスマホでの更新のため誤字、脱字が増えているかと思います。
落ち着いて更新ができるまでは不定期となりますが、今後ともよろしくお願いします!
555
あなたにおすすめの小説
王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?
人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途なαが婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。
・五話完結予定です。
※オメガバースでαが受けっぽいです。
【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜
四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」
ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。
竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。
そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。
それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。
その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた!
『ママ! 早く僕を産んでよ!』
「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」
お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない!
それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――!
これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。
設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。
王太子殿下のやりなおし
3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。
とある時代のとある異世界。
そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。
公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。
王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。
そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。
王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。
王太子は喜び、舞い上がっていた。
これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる!
僕はやっと幸せを手に入れられるんだ!
「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」
あの男が現れるまでは。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
誰よりも愛してるあなたのために
R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。
ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。
前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。
だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。
「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」
それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!
すれ違いBLです。
初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。
(誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる