ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

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王都編

むにゃむにゃ

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「うーん、むにゃむにゃ…ノア様、もう食べられにゃいですにゃ…」

「ベレーザ、おいベレーザ起きろ。」

「にゃんにゃ?ヴァモシュ、もうちょっと寝かせてにゃ…」

「寝るのは良いから、まずノア様の上から下りろって…」

「うにゃ?」むくっ

「ぐほっ。」


ベレーザが寝ぼけ眼を擦りつつ起き上がると、下からノアの苦しむ声が聞こえた。


「にゃ?」


状況が分かっていないベレーザが徐に下を見ると、薄手の毛布を被ったノアが仰向けで寝ており、起き上がった際の弾みでベレーザの左手がノアの鳩尾に入った為、ノアが悲鳴を上げていた。 

そう、ベレーザはノアのお腹の上で丸くなって寝ていたのだ。


「朝方寝ぼけて僕の腹の上に移動してきたんだよ。
少しなら良いかな、と思ったけど流石に昼だし、ベレーザ中々起きないからヴァモスにお願いしたんだ…」


ノアが借りた部屋の窓からは、天高く昇る太陽から降り注ぐ陽の光が、丁度ノアのお腹の辺りに当たる位置にあった為、非常に温かくなっていたのも影響してベレーザが中々起きなかったのかもしれない。


「う、うにゃぁ!ごめんにゃさいですにゃあっ!」

ズルッ  ゴヌッ。

ベッドから飛び退いたベレーザは、足を滑らせ、後頭部を強かに打ったとさ。







「う~ん…痛たた、まだズキズキするぅ…
それとノア様、ごめんなさいですにゃ…」

「気にしてないからいいって。
それよりほら、コブ出来たんだからあまり触らない。
ヴァンディットさんが起きた時にまだ痛かったら何か薬貰おうね。」


※ヴァンディット、朝帰りの為爆睡中です。


「…ベレーザ、何かお前幼児退行していってないか?
何か前より語尾に『にゃ』って付く頻度増えたし…」

「そ、そんな事にゃ、無いよ!
ただ、頼れる人に出会ったから子供の頃の思い出を取り返そうと甘えてるだけにゃ!」

(『それを幼児退行と言うのでは?』)

(シッ!言わないであげて!)

「まぁ良いじゃないかヴァモス。
明日にはここ(王都)を出立して君達の仲間が沢山居る国に向かうんだ。
少し位甘えるのも良しとしようよ。」

「しかし…」

「まぁでも、9時間お腹の上で寝られるのはちょっとね…」

「ご、ごめんなさい!ごめんなさいにゃ!」


別にベレーザが重いから、とか女性に口が裂けても言えない様な理由がある訳では無いが、寝に徹しようとしても2分に1回位の割合でモフモフの尻尾が顔を撫でる様に振られる為、全く寝れないのである。






「…でも獣人の国か…どんな所なのかな…」

「期待半分、不安半分です…」

「そうなの?」

「えぇ。
"あの国"で生まれ育った私達は基本的に他国の情報を知る事はありません。
聞けたとしても、馬鹿にした様な…見下した様な、嘘か本当かも分からない情報を下卑た笑い声と共に喚き散らしてるだけですから…」

「王都の事も"低能の集まり"だとか"烏合の衆"などと言ってました。
それが本当であろうと無かろうと、"あの国"から出られるなら何処でも良いかな、とも考えてました。」

「そうか…
まぁ、好みが完璧に合致する様な国なんかどこにも無いさ。
人間、獣人、その他種族が沢山居るんだもの、不安なのは何処も一緒だよ。
その辺りは国に着いてからゆっくり決めれば良い、過ごすのと暮らすのとじゃ訳が違うからね。」

「ノア様は別の国に住む際の条件とかってあったりするのですか?」

「うーん…トラブルが無い国、かな…」

「「あぁ…」」


参考にしようと思って聞いた2人だが、全く参考にならず閉口してしまった。

ちなみに、今後もノアの行く先々でトラブルに巻き込まれるのはデフォである。(メタ)

    





「そういえば今更だけど、2人共自分の【適正】が何か、ってのは知ってたりする?」

「いえ…」

「【適正】の儀を受けさせて貰えなかったので分からないです。」

「やっぱりそうか…
もし良ければ、今から教会行って【適正】の儀を受けに行かない?」

「「い、良いのですか?」」

「うん、明日には王都を発つんだし、まだ春っちゃ春だし、この先教会があるかどうかも分からないから受けれる内に受けちゃおう。」


地域によっては受けられる時期に差はあるが、【適正】の儀は何処も春先に受けるのが殆どである。

木々に咲き誇っていた花が散り、青々とした葉が付き始めたがギリギリまだ春先である為受けられるのでは、と考えたノアによる提案である。


「と言う訳で善は急げだ、教会の場所は把握してるから行こうか。」

「「はい!」」


逸る気持ちを抑えきれないといった様子の2人を引き連れ、ノアは王都にある教会へと向かう事に。






ガコン…「失礼します。」

「はい、どちら様で…おや、【鬼神】のノア君ではありませんか。
如何なされましたか?」

「あの、2人に【適正】の儀を受けさせて頂く事は可能ですか?」

「えぇ勿論、王都であればいつでも受ける事は可能ですよ。
現在昼過ぎの為、教会に来られる方も少ないので直ぐにでも行えますよ。」

「はい、お願いします。」

「畏まりました。それでは後ろのお二方、こちらへどうぞ。」

「「は、はい…」」


教会の神父に手招きされ、最奥にある壇上の方へと向かう。
神父は懐に手をやり、分厚い本を取り出す。

壇上に上がったヴァモスとベレーザの2人は神父に促されるまま膝を付き、祈りのポーズを取る。


(『…何か懐かしいもんだな。』)

(うん、僕が【適正】の儀を受けた時の事を思い出すよ。)

(『あの時…俺の声が初めて聞こえた時の顔と言ったら…クックック…』)

(仕方無いだろ?急に体から赤黒いオーラが立ち昇るわ、どこからか声が聞こえたら誰だって固まるって。
今じゃ心の中で話してるから良いけど、始めは声に出してたろ?
近所じゃ"両親との訓練で心が壊れた"なんて噂立ってたんだぞ?)

(『えっ!?俺知らねぇぞ、そんな噂。』)

(その時『俺』寝てたから知ってるハズが無いでしょ。)


「それでは始めますぞ!」 

(『お、始まるみたいだ。』)


壇上に居る2人の前で神父が何やら祝詞を口に出すと、2人の頭上から光が降り注ぐ。

光の欠片が2人の周囲を漂ったかと思うと、徐々に体の中へと吸収されていく。

それに合わせ、神父が手に持つ本が光輝いていく。


「ほぉ…これは珍しい。
2人共始めから上位の【適正】を、しかも2人共同じ【適正】を獲得した様じゃ。」


【上位適正】とは、【弓】であれば【精霊弓術士】、【剣士】であれば【侍】や【騎士】等。

最初期の【適正】を育て上げた事で自身の戦闘スタイルに合った適正に進化した【適正】である。

始めから【上位適正】を持つという事は、普通の【適正】よりも早くその道を鍛える事が可能な為、しっかり鍛えれば強力なアドバンテージを得る事に繋がるのである。


「うむ、これにて【適正】の儀は終了となる。
2人共おめでとう、君達の適正は【魔法拳士】の様じゃ。」
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