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視察からの『 』
しおりを挟む壁の視察はダリルと行った。婚約者3人にはブーブー言われたがテメエらも仕事しろ。行ってらっしゃいのチューが異様に長い。なんせ3人分。しかもさりげなく尻揉むのやめて兄ちゃん。
なんだかなあ…。
流されてるんだけど、嫌じゃないのがなんだかなあ。
好きか嫌いかで言うとそりゃ好きだよ?でもさあ……
マーガレットの時では全く感じなかった気持ちがある。ぶっちゃけ、前世を思い出してからついでに思い出した記憶だ。
日に日にはっきりしてくるアレは、腹に鉛が押し込められてるような重い気持ちを俺に押し付けてくる。
嫌だ。逃げたい。逃げたい。もう二度と…… ーーー 。
二度と、………なんだろう。
考えると吐きそうだ。だから考えないようにしてたのに、俺のことが好きだって言う3人と結婚するんだって思うと………(うっぷ…)
だいたいあの3人も、俺が だって知ったら離れていく。
俺は ーーー ばけものだ。
壁は完璧だった。うん、さすが地竜。良い仕事だ。
壁のあっちこっちに媒体の魔法陣を刻んで仕上げていく。思ったより時間がかかった。
さあ宴会の準備だ。
朝からつまみの準備して、地竜のねぐらに向かう。地中の裂け目の峡谷だ。
途中でクロが迎えにきてくれてたから馬車から乗り換える。
辿り着いた地竜のねぐらには、『客』がいた。
俺の中のアレが大音量で警鐘を鳴らす。心臓がバクバクいって……だめだ、吐きそう………
ダメだ、ダメだ、ダメ……にげ……なく………ちゃ………じ、じゆ、う……そう、…わ………
わたしは、じゆうに…………。
「……ぷっ…!ははっ…!アッハハハハハハ!なんだ、それ?なんだそれ!?ああ、もう!笑わせてくれるなぁオイ?」
桜色の髪をした男が笑った。
「よくもまあ、そんなに完璧に擬装したなあ?感心するよ!《奈落》まで騙されてんじゃん?なあ ーーー 」
やめろ…!言うな!!俺は、私は、わたしは、にんげんだ……にんげん、なんだ………
見つけないでくれ。知らない振りをしてくれ。壊さないでくれ。
しあわせ、なんだ ーーー 。
「《高天》?」
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