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【暁視点】嬉しいけどもやっとする
しおりを挟むユスがうちに来て何日か経った。千年近く生きてると、正直時間とか日にちの感覚がなくなってくる。
でも今は、時間がしっかりと感じられる。3食とおやつ2回、夜食1回が楽しみで堪らない。
ユスはすごい。
魔法みたいに美味しいものを作ってくれる。
ふかふかの白いパンとか、ふわふわのオムレツ。トロトロカルボナーラとか、噛んだらジュワッと肉汁が出てくるハンバーグ。真っ白いシチューとか、ケーキみたいに分厚いホットケーキとか。野菜も青臭くて大嫌いだったのに、ユスが料理してくれると美味しいんだ。
ユスは綺麗だし、優しい。
白い肌と金糸の髪。息がつまるほど整った顔。まつ毛なんかすっごい長い。鼻も高いし唇もプルッてしてる。アーモンド型の薄い水色の目は透き通っててキラキラしてて、宝石を嵌め込んだみたいだ。
冷たく整った顔が、おれにだけふにゃっと緩むのを見るのがすごく好きだ。
でも、おれは知ってる。
ユスが優しいのは、おれが《名付け》して、ユスが『父さん』の《環》の中に入ったから。《眷属》になったから。
父さんがくれた《眷属》たちは、呪いみたいにおれだけに優しくて、おれだけを愛して、おれだけを守る。
わかってるよ。だってそれでも嬉しいもん。絶対に裏切らない家族。おれが《地球》で欲しかったもの。
でも……でもね…なんだろう…………
嬉しいのに、もやっとするんだ。
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