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一章

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 夕暮れの山頂から観る景色は綺麗やね!

 四方八方、微妙な茶けた土地と点在する原っぱ、遠くに点在する街や村。

 ほんに私らが住んでる村は超ど田舎って言うより忘れ去られた地図に無い感じの場所にあるんよな。

 たまに動いてるモノが見えるんは魔獣やろ。
 この地域にはノーマルな獣は生き抜けん。
 ああやってハグレで動きよるんはカシムの爺ちゃんとカルロスに狩られるんや。

 あ、村には牛や鶏なノーマルな家畜はいてる。
 村の周りには結界術で魔獣や野盗とかは入って来れん。だから家畜はストレス無しや。村の爺婆もいくら強くても寝こみ襲われたないんやって。

 サンドラって言う結界術の得意な婆ちゃんが村周りに結界張ってくれてるん。村の中でもちょっと奥に住んであんま出てこんけど。

 山頂付近でちょっとぼんやりしてもうてたわ。

 目の前にはアースドラゴン。レギウスは弓使いでこんな大物に矢は通るんか?って思うやん。矢に魔力付与で強化して目を狙って貫通や。すげ。

「ルーノ!眉間を狙え!!」
「へ?」

 レギウス、実は外したんか?

 暴れるアースドラゴンの頭上に飛んで愛刀・迦楼羅に雷を纏わせて眉間に突き刺す。
 火魔法はせっかくのドラゴン素材を痛めるから。

 日本刀は袈裟斬りで使いたい。突き刺すんは最悪や。

 そんじょそこらの衝撃で折れたり曲がったりするような鈍らやないけど、役割がちゃうやろ。

 剣も持ってた方がいいかな。

 アースドラゴンは雄叫びを上げて崩れ落ちた。

「レギウス、最初から眉間狙えばええやんか」
「それじゃルーノの訓練にならないだろう。運良くまぁまぁなレベルが出てきてラッキーでしたね」

 しれ~って感じで流されたわ。
 ドラゴンがまぁまぁレベルってほんとなん?ラノベやと高ランクに位置してたやろ。

「これは血も高く売れるから解体は村でやろう」

 飯狩りに来たんやなかったっけ。
 ドラゴンステーキは美味しくて好きや。せっかく狩ったんにお預けやで。ぷんぷんやわ。

 仕方ないのでまた獲物を探して歩く。
 きのこはわりと毒々しいのが美味しかったりする。前世やとうっかり食べて死ぬ感じのやつ。

 木の実は胡桃とコケモモを見つけた。レギウスはもっと見つけてん。ほぼ毎日山に居てるから負けても仕方ないけどなんかモヤるんや。

 ホルホル鳥とまんまるなレッドボアが狩れたのでグウェインたちのとこへ戻った。

 戻ったら、マッチョな爺二人が何故かサーペントをぶつ切りで炙り焼きにして火加減を見ながら、半裸でスクワットしている。
 ルージュはまだ戻ってないんやな。

「・・・」
「なんですか。見苦しい」
 
 レギウスが嫌そうに荷物を出す。

「ボアかー」
「肥ててうまそうだ」

 汗だくでパンプアップした爺たち。誰得なんや。

「〈洗浄〉」

 レギウスが爺たちを強制的にクリーンにした。

「良い汗かいた」
「スッキリしたわー」

 グウェインとデュークがムサイのは今に始まったことじゃないからスルーして、さっさと血抜きと解体する。

 血はレギウスが魔法で強制的に抜いちゃうから楽なんだけど、皮剥がしてブロック肉にするんはデッカいから大変だ。
 爺さん婆さんたちは魔法でスパスパやっちゃうか剣でぶった切る。

 私は訓練の時は自力でやらなくちゃで、魔法ではまだうまく捌けない。
 流石に迦楼羅や紅蓮は使いたく無いのでカシムの爺ちゃんがくれた牛刀包丁?を使うで。

 私が包丁を使うんを保護者たちは最初の頃はおっかなびっくりで見てたんに今は見守りもせん。成長したんやって感じや。
 
「レギウス~、鉄板で焼きたい」

「「お!焼肉か!!」」

 レギウスはマジックバッグから鉄板を出す。私も持ってるけど今忙しいからな。鉄板あっためといてもらわんと。

「それじゃ間に合わないから俺たちのも出そう」

 て、一人一枚ずつ鉄板いるんか?めっちゃ食う気満々や。
 二人もそれぞれ鉄板を取り出して、焚き火もそれぞれつける。

 魔獣が寄ってきても追加の肉くらいにしか思わんからお構いなしや。

「ルージュの分もやっておかないと煩いでしょうね」

 一人ずつ専用の焚き火が用意されたわ。

 キノコも切り分けて、鍋に入れる。汁もんは必須や。

「あらぁ、もう夕食準備してるの?」
「遅いくらいですよ」
「そう?」
 ルージュが戻ってきた。

 爺ちゃんがあまりにウザかったから着いてきただけで寝る時以外はフリーだって山に入った時点でどっか行っちゃってたん。

「コカトリスがいたからちょっと張り切っちゃって」

 一人で三羽狩って卵は二個獲ってきたんやって。

「それはご馳走だな」
「唐揚げにしたいな」

 爺さん二人めっちゃテンション上がったけど、すでにサーペントとボアがあるから明日以降にってなったわ。

「ルージュ、肉焼かん?」
「ちょっとだけ焼くわ」

 早速自分の鉄板を出して焚き火にセットや。

 いつも、血の滴るほどのレアが好みよって一応鉄板に置くけどすぐ口に入れるから実質生やと思うで。

 獣人さんは食事もワイルドや。でも私が作ったもんは上手いって食べてくれるで。

 タレは持ってきてるけど山の恵みの岩塩とハーブでも美味しゅう食べるねん。

 やっと準備が整ったから、いただきますや。

 

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