【R18】フーデニング&もふもふ好きのオレは、神子召喚に巻き込まれましたが、気づくとダンジョンに住んでいました?!

カヨワイさつき

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ディーさんの登場に驚いていると、"レオリア様"と言う声に聞き覚えのある声とともに、書類が落ちる音や何やらバタバタしている部屋の中から、豪華な服装を身にまとったレオさんがいた。
レオさんがレオリア様?
まるで王子様の様な…まさか、な……。
貴族か王族、その後どちらかでしかあり得ない様な出立ちと廊下や部屋にある高価な品々。

「ハ、ハァ、ハァ……うっ。」
ポタポタ……。
口元を抑えた指の隙間から血が垂れていた。
「!!!」
「レオさん、すぐにベッドで休んでください!!」
「ベッ、ベッドに……ハァ、ハァルカ…ちゃんと……ゴフッ!!」
「レオさん!!」
1人で焦ってるハルカ(春川夏秋)のそばで、冷静に対応しているディー(ダグラス)さんに、ハルカは早くベッドに連れっててあげてください!と頼んでいた。
「こ、これは、幻なのか?私はもう、死ぬのか?」
「死なないで、レオさん!!」
布で拭いたものの血で汚れた手を何の躊躇(ためら)いもなく握るハルカに、レオ(レオリア)は感動しディー(ダグラス)は申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。
そのまま言うに言えないまま、元気になって下さいとか、早く良くなりますように!と言いながら寝かされ豪華な上着を脱がし、ベッドに寝かせたのだった。
レオリアの顔はハルカが近くにいると同時に手を握ってくれている事に、顔を赤くし息づかいまでハアハアと荒くしていた。
「なんマラ幸せだぁ、思い残すことなかぁ……。」
「気弱な事言ったらアカン!しっかり気張って、早く良くなって下さい、レオさん。」

                       ***

レオリアの比較的近い場所に、ハルカたちの客室が整えられたのだった。
そこでディー(ダグラス)さんがレオ(レオリア)さんの護衛兼乳兄弟である事、レオ(レオリア)はこの国、バッカー帝国の第一王子である事、そしてその弟ライアンが第三王子である事を明かしたのだった。
ハルカはよくある異世界もののテンプレで、身分がないものが貴族や王族に関わるともれなく厄介(やっかい)な事が起きると思った。
すぐに洞窟(ダンジョン)に戻ろうとしたが、すでに日は落ちた夜更けであると告げられ、しぶしぶお泊まりする事になったのだった。
それぞれの部屋でとる形となったが、レオリアはハルカがそばにいる喜びからか、「なんマラ胸がいっぱいだぁ。」といいほとんどの食事を残したのだった。
寝付けずに広い部屋内でウロウロしていた、ハルカはレオリアが"食事を残した"という内容のうわさを聞きさらに心配するのだった。
翌日の早朝に帰ろうとしたハルカであったが、ディーであるダグラスやハルカ(リストン王国の第三王女)たちに引き止められたのだった。
たびたびレオリアに会いに行き、声かけする顔を赤らめながらハアハアと呼吸を荒くするので、何かの病(やまい)にかかっているかのようだった。
言葉もぎこちなくなるレオリアと、約3年と半年ぶりに人と話すという事にまだ戸惑いがあるハルカとの2人の会話はかなり微妙なものとなっていた。

「きょ今日は、い…いい天気だな……。」
「えっ、は、はい?そうなんですか……。」
2人が話している部屋には分厚いカーテンがかかっており、魔道具である明かりが部屋を照らす夜だった。
「ご趣味は、君の好きな事……な、なんだ?」
「好き?」
ハルカの"好き"という言葉にビクッとするレオリアは、今更ながらに"ハルカちゃん"呼びでいいのか"君"とか"貴方(あなた)"と呼ぶには気恥ずかしいし"そなた"は古めかしいと口がもりながら悩んでいた。
2人の沈黙は再び訪れ、時折、居心地の悪さや気恥ずかしいさを誤魔化(ごまか)すためのわざとらしいレオリアの咳払いが虚(むな)しく聞こえていた。

「レオさんは、レオリアさ…様だったんですね。今まで数々のご無礼申し訳ございませんでした。」
「いや、私の方こそ……。レオという名前は、町とかお城抜け出す時に使っていたから…こちらこそ…なんだか、すまない。下手に身分があると…距離を置かれるし、今まで通りの話し方をしてくれたらありがたいんだが、ダメだろうか?」
「だ、ダメではありません、わかりました。」
レオリアはホッとし、ハルカの顔をマジマジとみつめたのだった。
今なら気持ちを言えるだろうか?
……よし、言えるはずだ。
レオリアは深呼吸し激しくなる心音を抑えようとした。
「ハァ、ハァハァ…そ、その君…ハ…。」
「レ、レオリアさん?大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だぁ。」
「でも、息づかいが荒いですし、ちょっとベッドに行きましょう。」
「べっ、ベッド?!ハァ、ハルカちゃんと!!」
「はい?微力ながら(ベッドルームに行くのを)付き合いますよ。」
「私に、つ、つ付き合って、ありがとう。ありがとう、ハルカちゃん好きだぁ。」
「もぉー(これくらいで)大げさですよ。」
「ハルカちゃん、もう、もう離したくない!!」
「はいはい。」
病気の時は心細いもんなぁ、仕方ないかぁ。
寝るまで側にいてあげよう、とハルカは思っていた。
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