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終章
実験
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「生方先生。やはりあなたに任せた甲斐がありました。お手柄ですよ」
天使に似つかわしくないその言葉を聞いて、サトシとフリードリヒの視線がルークスに注がれる。
ルークスは注目されている事すら気づかず呆気にとられていた。
全く理解が追い付かない。
日本語なのに聞き取れない。
言葉は判るが意味が解らない。
ルークスの目は、天使の頭の先からつま先まで、ぎょろぎょろと忙しなく動き回る。
しかし焦点が定まらない。
その様子を見てサトシは天使に攻撃を仕掛ける。
「茨」
呟きが天使に聞こえないように細心の注意を払いながら天使の体に超合金(イモータライト)の棘を生やす。
ザシュ!!
天使の体は一瞬にしてウニのように棘に包まれる。
が、
その棘が一本、また一本と地面に落ちてゆく。
すべての棘が地面に落ちたとき、天使は何事もなかったようにやさしくサトシに微笑みかける。
「面白いことが出来るんですね。なにより、冷静に行動を起こせるところが素晴らしい。柔軟な発想力と適格な判断力。見事です。流石生方先生」
サトシもその言葉の意味を理解することが出来なかった。
攻撃したことを褒められたかと思えば、ルークスを讃え始める。
その行動の異様さに、追撃することを躊躇っていた。
「どうしました?参拾参號。さあ、私が敵だと思うなら存分に攻撃して見なさい。あなたの力を見せてください。さあ!」
天使は両手を大きく広げ、ノーガードであることをアピールする。
サトシはその意図を探ろうと必死に思考を巡らせる。
フィキャ!!
激しい閃光が天使の首を貫く。
ドガァァァン!!!
わずかに遅れて衝撃波と爆風がサトシたちを襲う。
砂埃と蒸気で何も見えない。サトシは注意深く天使の気配を探る。
「その注意深さも素晴らしい。無防備に見える私に対して安易に攻撃しなかったことも評価に値します。
が、
七拾八號。あなたはいけませんね」
いまだ姿が見えない天使が講義でもするように楽し気に語り掛けてくる。
ブファァ!!!
サトシとルークスに向かって一陣の風が吹き抜ける。それと共に周囲の砂塵や蒸気が一気に晴れると、天使が悠然とこちらを見下ろしていた。
「私にそんなちんけな攻撃が通用すると思いますか?今まで何を見ていたんです?理解力が足りません。やはり強制的に接続を修正しなければ品質が低いということでしょうか」
天使はフリードリヒに視線を落とすと落胆の顔で言い放つ。
先ほどの閃光はフリードリヒが放ったものだった。
ルークスの記憶ログを頼りに渾身の魔力を込めて放った「高出力LASER」だったが、天使に毛ほどの傷をつけることも叶わなかった。
「自己修正でここまで改善できているという点は評価に値しますが……まあ、弐拾號よりはマシでしょうか」
「弐拾號……。か……カールの事か?」
フリードリヒの声が低く唸るようなものとなり、その言葉には激しい怒気が籠っていた。
天使に似つかわしくないその言葉を聞いて、サトシとフリードリヒの視線がルークスに注がれる。
ルークスは注目されている事すら気づかず呆気にとられていた。
全く理解が追い付かない。
日本語なのに聞き取れない。
言葉は判るが意味が解らない。
ルークスの目は、天使の頭の先からつま先まで、ぎょろぎょろと忙しなく動き回る。
しかし焦点が定まらない。
その様子を見てサトシは天使に攻撃を仕掛ける。
「茨」
呟きが天使に聞こえないように細心の注意を払いながら天使の体に超合金(イモータライト)の棘を生やす。
ザシュ!!
天使の体は一瞬にしてウニのように棘に包まれる。
が、
その棘が一本、また一本と地面に落ちてゆく。
すべての棘が地面に落ちたとき、天使は何事もなかったようにやさしくサトシに微笑みかける。
「面白いことが出来るんですね。なにより、冷静に行動を起こせるところが素晴らしい。柔軟な発想力と適格な判断力。見事です。流石生方先生」
サトシもその言葉の意味を理解することが出来なかった。
攻撃したことを褒められたかと思えば、ルークスを讃え始める。
その行動の異様さに、追撃することを躊躇っていた。
「どうしました?参拾参號。さあ、私が敵だと思うなら存分に攻撃して見なさい。あなたの力を見せてください。さあ!」
天使は両手を大きく広げ、ノーガードであることをアピールする。
サトシはその意図を探ろうと必死に思考を巡らせる。
フィキャ!!
激しい閃光が天使の首を貫く。
ドガァァァン!!!
わずかに遅れて衝撃波と爆風がサトシたちを襲う。
砂埃と蒸気で何も見えない。サトシは注意深く天使の気配を探る。
「その注意深さも素晴らしい。無防備に見える私に対して安易に攻撃しなかったことも評価に値します。
が、
七拾八號。あなたはいけませんね」
いまだ姿が見えない天使が講義でもするように楽し気に語り掛けてくる。
ブファァ!!!
サトシとルークスに向かって一陣の風が吹き抜ける。それと共に周囲の砂塵や蒸気が一気に晴れると、天使が悠然とこちらを見下ろしていた。
「私にそんなちんけな攻撃が通用すると思いますか?今まで何を見ていたんです?理解力が足りません。やはり強制的に接続を修正しなければ品質が低いということでしょうか」
天使はフリードリヒに視線を落とすと落胆の顔で言い放つ。
先ほどの閃光はフリードリヒが放ったものだった。
ルークスの記憶ログを頼りに渾身の魔力を込めて放った「高出力LASER」だったが、天使に毛ほどの傷をつけることも叶わなかった。
「自己修正でここまで改善できているという点は評価に値しますが……まあ、弐拾號よりはマシでしょうか」
「弐拾號……。か……カールの事か?」
フリードリヒの声が低く唸るようなものとなり、その言葉には激しい怒気が籠っていた。
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