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冒険はお姫様抱っこのままで

お雪の回想3

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日常が帰ってきた。

平穏が帰ってくればいい。
登校すれば、下駄箱には、手紙、読まずに捨てる。完全にルーチン化している。ふと、思う、読まずに捨ててるから、気づいてないが、ひょっとして果たし状とか、不幸の手紙?
いやいや、気にしたらダメだ。きっと、ラブレターに違いない。
教室に入ると、クラスメイト達は私を見てヒソヒソ話している。
無視して席に着く。すると、一人の女子生徒が声をかけてきた。
「おはよう。姫宮さん」
「誰?」
「同じクラスの鷹野愛美よ。覚えておいて」
「失礼ね。氷川よ」
「ごめんなさい。記憶にないわ」
「それで、私に何か用かしら?」
「いえ、別に。ただ挨拶しただけよ」
「そう、おはよう」
「それでは、またね」
「ええ、またね」
彼女は、自分の机に戻っていった。
私は、彼女の後ろ姿を見つめながら思った。
「おはよう。雪ちゃん」
「おはよ」
「ねえ、聞いてよ。昨日ね。変な夢見たんだ」
「どんなの?」
「なんかね。知らない女の子が出てきてね。『お前の身体をよこせ!』って言うの。怖かったよ~」
「へー、面白いね」
「面白くないよ。怖いだけだよ」
「その子の顔覚えてる?」
「うーん、ちょっと思い出せないかな?」
「そっか……」
「どうかしたの?」
「何でもないよ」「変なの……」
☆☆☆
放課後、私は、図書室にいた。今日は、誰もいないようだ。
「ねえ、君」
振り向くと、そこには、見知らぬ男子生徒がいた。
「誰?」
「僕?僕は、君と同じクラスだけど……」
「興味ないから忘れた」
「ひどいな……」
「で、何のよう?」
「あのさ。僕の彼女にならない?」
「無理」
「即答?」
「だって、あなたに興味ないもの」
「ひょっとしてあの噂、本当なの?」
「なに?」
「君は、男が嫌いで同性愛者って」
「なによそれ!」「違うの?」
「違うわ!」
「じゃあ、どうして、そんな噂が流れてたの?」
「知らないわよ!」
「なら、確かめさせて」
「どうやって?」
「こうやって」
彼は、私にキスしょうとするのでひっぱたく
「きゃーっ!何するの!変態!痴漢!ドスケベー!」
「」
「違っ!誤解だって!」
「信じられない!最低!通報する!」
「だから、違うって!」
「何が違うの?」
「いや、それは、その……」
「言い訳無用!」
私は、110番に電話しようとすると、彼は慌てて止めた。
「待ってくれ!」
「離してください!」
「頼むから話をきいてくれ」
「むしがいいわね!」
「お願いします」
「自分がしょうとしたことわかってる?犯罪だよ!」
「本当にすまなかった」
「許さない」
「何でもします」
「なんでも?」
「はい」
「そう……警察だけはかんべんしてあげる」
「ありがとう」
「こんなことしてただすむと思ったの?」
「はい」
「次は通報する」
「はい」
「あと、二度と話しかけないで」
「わかりました」
☆☆☆
次の日の昼休み、私は、図書室で読書していた。しばらくすると、誰かが入ってくる気配がしたので顔をあげると、そこには、鷹野愛美が立っていた。
「こんにちは。姫宮さん」
「わざとやってるの?

「えっ?」
「氷川よ!」

「ああ、ごめんなさい。私、人の名前を覚えるの苦手なの」
「二度目よ!わざとでしよ!」
「わざとじゃないわ」
「嘘よ。絶対、私の名前を間違えているでしょう」
「そんなことないわ」
「じゃあ、言ってみて」
「あなたの名前は、氷川雪菜」
「正解」
「やったー。当たった」
「ふざけてるの?」
「真面目よ」
「私の名前を知ってたのね」
「当然よ。同じクラスの人の名前ぐらい覚えているわ」
「それで何のよう?」
「私とつきあって」
「はあ?」
「彼女にしてあげる」
「はあ?なんで?どうして?」
「どうしても。だって、貴女、れずなんでしょつ?私もよ。」
「誰が言ったの?」
「みんな知ってるよ。男を振ったら、男とは皆、同性愛者だと決めつけるんでしょう。迷惑よね」
「私には、関係ない」
「私も関係ない。でも、私は、気にしない」
「どういう意味?」
「私、貴女が好きよ」「はあ?」
「貴女のことが好きよ」
「ごめんなさい。私は、あなたのことをよく知らないから」と
「そう、残念だな」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。これから、仲良くなればいいんだから」
「ええ……」
「そういえば、姫宮さん。私の友達になってくれない?」
「名前を三度も間違える人と友達になれない」
「酷いわね。雪ちゃん」
「なっ!」
「よろしくね。雪ちゃん」
「嫌だ」
「ふぅ~ん。あっそ。わかったわ。じゃあね。雪ちゃん」
彼女は、そのまま出て行った。
私は、ため息をついた。
☆☆☆
「あはははははは!」
家にかえると雪姉に大笑いされた。
「男気がないと思ったらお雪、そっちだったの?」
「違います!」
「照れなくても良いよ。私は、応援するよ」
「だから、違うって!」
「はいは~い」
「聞いてよ!」
「聞いているよ」
「聞いてないじゃん!」
「聞いていますよ。お雪は、男の子が嫌いなんですね!」
「違う。もうっ、最低!」
おもいっきり、へこむ。
「ごめん。ごめん。冗談だから」
「レズ違う。違うもん」
「誤解を解くいい方法があるわよ」
「本当?どうすればいいの?」
「彼氏いるアピールだよ」
「そんなんバレる」
「替え玉を用意すればいいのよ!」
「そんな相手いない!」
「…シンジは貸さない!」
「いらないわよ!」
「……ならいいけど」
「とにかく、違うから!」
「あれでいいかな?」
「あれ?」
「イケメンだよ!」
「うーん。信じたいけど、あれでいいかなっていったよね?あれでって?」

「まあまあ、落ち着いて」
「誰のせいよ!」
「とりあえず、明日デートしよう」
「えっ?」
「ほら、いつまでもウダウダしてても仕方ないでしょ!切り替えていこう!」
「うん……」
「そうだ!遊園地行こう!大丈夫、段取りは、我にまかせるのじゃ」
「そこはかとなく不安なんだけど」
「いいから。いいから、まかせるのじゃ」
「不安しかない」

☆☆☆☆
「おしゃれしていくのじゃ」と言う雪姉の言葉にしたがってかなり気合いのはいった服できてしまった。
入り口前で待ち合わせって…
普通、駅前でとかあわせちゃうんかい?
誰が来るんだ?
と、突然、何かの影に入って暗くなった。
「?」ふと見上げるとでかいイケメンがそこにいた。
「おまえかよ!」
雪姉がどこからからつれてきた格ゲーの対戦相手。
これをどうしろと言うんだ?
そいつは、ポケットかなにらかみきれをとりだした。
「遅れてすまない。またせてしまったか?
きょうの…きみは、いちだんときれいだ。そのふく、さいこう…に…あつてるて…かわいい」

(カンペかい!おまけに棒読み…どないせいいうんや!)
頭をかかえるしかない。「さあ、いくぞ」
カンペを見てる
「ちょっと待った!まだ心の準備が出来ていない」
「大丈夫だ。この紙に予定が書いてある。この通りにすればいい言われた」
(ネタバレするかぁ!)
「そういう問題じゃない!そもそも、あんたは、雪姉の知り合いなんだろ!なんでこんなことをするんだ?」
「それは、老けた方のお雪に頼まれた。」
「老けた方の…プッ、あははは」
老けた方…、老けた方の…、やばっ…つぼる…、私は、しばらく笑いが止まらない。
「笑うな!俺も好きでやってるんじゃない。」
「ごめん。こんなこと頼んで、ははは、はひてん」
「おまえ、笑うとかわいい」
「えー?え?え?」
やばっ、予想外、こんなこというやつなの?
予想外の不意討ちに赤面してしまう。

「行くぞ!」
「あーっ、まってぇ」
彼は、歩き出す。私は、慌てて追いかけていく。
「ねぇ?どこにいくの?」
「ああ?任せる」
「もしかして、ノープラン?」
「安心しろ。紙に書いてある」
「それ、見せるの?」
「見せるなとは言われてない」
「それくらい察しろ!」
「そうなのか?」
「こいつ、本当に大丈夫か?」
と、思わずにはいられない。
☆☆☆
「これらしい」
「ジェットコースター…」
「怖いのか?」
「べっつにぃ~」
「そうか」
私たちは列に並ぶ。
すると、目の前には、雪姉がいた。
「なんでいるんだよ!」
「いや~、保護者だし」

「なんだ?安心しろ。引き受けた以上。ちゃんと最後までやる。老けた方のお雪!」
私は、また爆笑する。
「もうだめ。お腹痛い。雪姉。最高!」
「誰が老けた方じゃ!」
「おまえが老けた方のお雪さんだろう!」
「貴様!」
「はいはい。そこまで。二人とも落ち着いて。喧嘩しない」
「はいはい」
「わかった」
「ほら、順番来たよ。早く乗りなよ」


「はいよ」
私達は、席につく。
そして、動き出した。
「結構楽しいかも!」
隣のやつを見る、眉一つ動かさない。
「怖い?」
「怖い?ってなんだ?」
「楽しくなかった?」
「楽しいって?なんだ?」
こいつ、なんなんだ!
☆☆☆
次は、コーヒーカップだ。これは、勝負だ。
「ほらほら、もっと速く回して」
「わかった」
「まだまだ遅い!」
「これでいいか?」
「いいよ。いいよ。いいね~。いいよ~」
「これが速いのか?」
「最高だよ」
「そうか」
「次、回って!」
「わかった」
「きゃははは、いいよ。いいよ。いいよ。いいよ!」
「楽しそうだな」
「楽しいよ。凄く

次ってこれ?
私たちは、お化け屋敷の前に立っている。
「雪姉め!ミスりやがった」
雪女の私とこの感情が死滅したようなおそらく人外のこの男が、楽しめるとでも思ったのか?
 「では、いくぞ」
「まて、まて、まて、私らが入って意味あると思うのか!」
「予定通り行く!」
だいたいわかってきた、融通がきかんどころじゃない。融通と言うことを知らないらしい。
こめかみがひくひくたまま、手を握られ、そのまま、中にに連れていかれる。中は真っ暗だ。
「暗いな」
「そういうものだから、でも見えるのだろ?」
二人とも夜だろうが暗かろうが、普通に見通せる。
だから、怖くはない。
「ほら、手離して」
「嫌だ」
「なぜ?」
「お前が逃げるから」
「逃げないから」
「本当だな?」
「私達は、仕掛けなんてスルーしてどんどん出口に向けてあるいていく。
「これはどこが楽しいのだ?」
「ごめん。これは私も楽しめんので説明できない」
とスタッフらしきお化け役をこいつ、がにらんだら、スタッフが恐怖で腰を抜かして倒れた。
わたしも背後から、隠れて脅かすはずのもう一人のスタッフを振り向きざまににらんでしまい失神させてしまった。
「どうしよう?」
「ほっとけ」
「うん」
☆☆☆
「さあ、最後のアトラクションいくぞ」
「えっ?まだあるの?」
「ああ」
そこは、観覧車だった。
私は、景色を見てため息をつく。
「綺麗……」
「そうだな」
「うん」
「どうした?」
「ううん。なんでもない」
私は、こいつのことを何も知らない。名前もわからない。
私は、こいつがどんなやつか知っている。感情がないわけじゃない。
「ねえ?あんたは、なんでそんなに無表情なの?」
「そういうに生まれた存在だからだ」
「そっか……」
「お前も雪女と言う存在として生まれたろう?」
「そうだけど……」
「それと同じだ」
「あんたは、なんで生まれたの?」
「わからん」
「だよね……」
私は、夕焼けに染まる空を見つめながら言う。
「お雪…」「ん?」
「おまえ、きれいだな」
ああ~っまた不意討ちだ。
と、紙切れを見てやがる。いまのは、かんぺの台詞か!くそっ!
「ああ、すまん!予定続行不能だ。」
「え?どうした!予定どおり最後までやるのじやあ…」
「これは、どう考えてもおまえの了承なくすすめたらマズイ。俺にだってわかる」
「え?何が書いてあるの?」
「これだ」
紙に書いてある内容を見て頭が沸騰しそうになる。
雪姉の字で「夕陽をバツクに抱き寄せてキスすると書かれていた。」
「雪姉ーっ!下に降りたら雪姉殺す!」


「待ってくれ。俺は、ただ言われた通りにしただけだ。許してくれ!」
「わかってる!全部、雪姉が悪い!」
「そうだな。あいつがいけない」
「うん。そう。あいつがわるい。でも、その前に……」
私は、男に近づいていき、唇を重ねた。
「お礼。ありがとね。今日は、とても楽しかった」
「??なんで?何が起きた?」男は、混乱している。
「じゃあね」
「????」
私は、走り出した

☆☆☆
出口近くで雪姉を見つけ全力で走り出す
「今日は楽しめたかい?」
等と笑ってる雪姉に跳び蹴りをくらわす。
「雪姉!」
「ぐはぁ、いきなり何をする!」
「こっちのセリフだ!あれは何じゃい!」
「なんじゃ!じゃと?」
「これよ!」
あいつが持っていたカンペを見せつける。
「これは、台本だ!」
「台本?なにそれ?」
「はいはい。そこまで。二人とも落ち着きなさい」
「落ち着けるかー!」
「はい」
「ここの抱き寄せてキスってなによ!」
「それは、私が考えたのだよ。お雪ちゃん。いい感じでしょ?」
「よくない!」
「まあまあ、いいじゃないか?ファーストキスくらいしたって」
「うわーん。私の初めてがこんなやつにぃ」
「いい経験になっただろう」
「うるさい!もう帰る!雪姉なんか大嫌い!」
私は、雪女の力を開放し、辺り一面を凍らせる。
「ちょっ!お雪ちゃん!」
「ふん!」
☆☆☆
私は、家に帰る。
「もうっ、雪姉なんか知らない、あいつもカンペなんかみせるな!そのままキスればいいのに…。私の了承なしにできないって…あいつらしい…感情がないくせに変なとこで優しい…」
私は、布団に入り眠りにつく。
☆☆☆
次の日、学校に行く。
下駄箱には、いつも通り手紙。捨てようとしてやめる。いちお見るだけみるか…

私は、教室に入る。
「おはよう」
「おはよう。お雪さん」
「おおはよう」
「お雪なんかあった?」
「なにもないけど?」
「そうかな?表情がいつもより柔らかい」
「え?」
「気のせいならごめん。私、席に戻るね」
「あっ、ありがとう」
友達に言われて気づく。
昨日の遊園地が楽しすぎて顔に出てるんだ。
私は、自分の頬を両手で挟むように叩く。
「よしっ、切り替えていこう」
体育の授業中、うかつにもつまずいて足を捻ってしまった。
多少、痛むが歩けないわけではない。
帰るのに時間がかりそう。
その日の放課後、大騒ぎになっていた。
正門前に2メートルをこえるイケメンが腕組みして立っている。
教室ノマドから、あいつを見た。
「なにやってるだ!?あいつ!通報されるぞ!」
多少、足を引きずり校門まで行く。
「なにしてる?」


「お前を待ってた」
「なんで?」
「昨日のこと、意味がわからん。どういう意味なんだが教えてくれ」
「何の話?」
「昨日キスした意味だ!」
「馬鹿!こんなとこで」
回りには、大勢の生徒、クラスメイトもいる。大騒ぎになる。

「わかった。場所を変えよう」
「うん」
フワッとからだ浮く。
あいつは、私をお姫様抱っこしている。
「きゃっ。えー?馬鹿ぁ~っ止めろ、恥ずかしい!」
回りは、さらに大騒ぎ。

思わず声が出てしまう。恥ずかしくて死にそうだ。でも、こいつの顔をみてるとドキドキしてしまう。
私は、こいつが好きなのか?わからない。でも、このドキドキが心地よい。
「どこいくの?」
「家までおくる」
「うん」
「ご両親いるのか?」
「いない」
「そうか」
「うん」
会話終了。
無言のまま歩く。でも、不思議と嫌ではない。むしろ安心する。
家の前まで着く。
「降ろして」
「部屋まで連れていく」
「えー?だめだって」
「大丈夫だ。俺は、何もしない。約束する」
「本当だな?」
「ああ」
「わかった。信じるよ」
「ああ」
「お帰り」
コントローラーを握りしめたまま雪姉がにやにやしている。

私の部屋まで連れてかれる。

「ここで待ってる」
「うん」
私は、部屋のドアを開ける。
あいつは、ベットに腰掛ける。
「お待たせ」
「いや」
私は、あいつの隣に座る。
「さっきは、ありがとう。助かったよ」
「いや、別に」
「あのね……」
「ん?」
私は、思い切って言うことにした。
「好き……かも」
「ん?」
「だから、あんたが好きなの!」
「俺を?」
「そう!私を!」
「なぜ?」
「理由なんてない!」
「そうか、」
「そうだよ……」
「雪……」
「なに?」
「好きになってくれてありがとう」
「どういたしまして……」
「キスしてもかまわないか?」
「いいよ」
「じゃあ、目を閉じてくれ」
「うん」
「本当にいいんだな?」
「しつこい!早くしろ!」
「すまん」
唇が重なる。とても長く感じた。
そっと離れていく。もっとしたいと思った。
「もう一回する?」
「今日は、ここまでだ」
「明日も来るよね?」
「毎日くる」
「わかった。待ってる」
「じゃあ、またな」
「バイバイ」
私は、扉を閉めて鍵をかける。
ベッドに倒れこむ。心臓が爆発しそうなくらいバクバクする。
「あいつのバカ!いきなりあんなことしやがって!絶対、責任取らせてやる!」






☆☆☆☆☆
いつもと違う日常

学校行くと大変な騒ぎになっていた。

が体がでかくてただでさえ目立っのに校門前で仁王立ち、挙げ句、公衆の面前でお姫様抱っこで下校したのだ。
学校休もうかと思った。
雪姉は、嬉しそうだったけど……。
教室に入ると大騒ぎになっていた。
みんなに問い詰められる。
「ねえねえ、あれで誰?」
「名前は、?」
「どこで知りあった?」「付き合ってるの?」
等々、質問責めにあってしまう。
「付き合ってないし、名前も知らない」
「じゃあ、これから知ってけば?」
「う、うん」
私は、席に座りながら
キーンコーンカーンコーン♪チャイムが鳴る。
先生が入ってくる。
「はい、授業はじめるぞ~」
「きり~つ、れ~い」
「よろしくお願いします」
「着席」
「今日の連絡事項は、特になし。では、今日も一日頑張るように」
「起立、礼」
「ありがとうございました」
「おーい!お雪」窓際の女子が呼んでる。
「なに?」
「あれ!あれ!」窓の外を指差す。
「え?」
校門前にまたあいつが立ってる。「なんなの?あいつ!」
「なんか用事でもあるんじゃねーか?ほら、早く行ってこい」
「うん」
あいつの所に行く。
「なんなの?」
「迎えにきた。昨日の質問に答えてもらってない」
「なんだっけ?」
「あの日キスした理由を聞いてない」「あっ!そっか!すっかり忘れてた」
「教えてくれ」
「うん。私が、遊園地に付き合ってくれたお礼よ!」
「ああ」
「それだけよ」
「そうか、わかった。帰るぞ」
「うん」
☆☆☆
家に着き、部屋に入る。
「疲れた~」
「お疲れ様」
「雪姉、ありがと」
「ふっふっふっ、私に感謝するがいい。おう。、おまえもきたか、ちょうど良い対戦するぞ」

「わかったよ。」

雪姉がゲームを始める。
私は、ベットに横になる。
☆☆☆
あいつが部屋に来る。
「雪、いいか?」
「なに?」
「ちょっといいか?」
「いいよ」
部屋に招き入れる。
「どうしたの?改まって」
「雪、俺と付き合ってくれ」
「え?急にどうしたの?」
「俺は感情が理解できないからな。雪が好きだというこの気持ちが何なのかわからないんだ。だから、雪が俺のそばにいて、俺にこの気持ちを教えてほしい」
「え?でも、それって……」
「嫌なら嫌と言ってくれてかまわない」
「嫌じゃないよ」
「え?嫌じゃないのか?俺は、雪が好きだ。雪は、どうなんだ?」
「もうっ、昨日告ったでしょ!」
「ああ、そうだったな。すまない。俺には、感情というものがわからない。だから、この気持ちが恋なのかどうかもわからない。でも、俺は、お前が好きだと思う。一緒にいたいと思う。これが恋という気持ちなのか?」
「私は、あんたが好きなのよ。だから、私はあんたが好きなの」
「そうか、ありがとう」
「だから、あんたが私のことを好きって言ってくれるのは嬉しい」
「そうか」
「だから、私達は両想いなの」
「そうか、良かった。これで雪と一緒にいれる」
「あんたは、私と付き合いたいの?」
「そうだな。雪とは、ずっと一緒だ。だから、付き合って欲しい」
「うん。私もあんたが好きなの。あんたが良ければだけど、付き合ってください」
「ああ、喜んで」
「教え欲しいことがあるの」
「なんだ?」
「あんたって、本当に人間じゃないのよね?」
「そうだ」
「貴方の正体はなに?まだ聞いてなかった。私の正体が雪女って貴方だけ知ってるのは不公平よ。教えて!」
「塗り壁だ」
「ぬりかべ?」
「そうだ。妖怪だ」
「へーそうなんだ」
「驚かないのか?」
「まあね。私だって雪女だもの」
「そうか」
「それで名前がないのね」「ああ、今までは、名乗るほどのものでもないと思ってな」
「そう。じゃあ、こんどから壁と呼ぶ。いいかな?」
「かまわない」
「そうか。これからは、そう呼ぶことにする」
☆☆☆
次の日から学校へ行くとさらに騒がれてしまう。
「ねえねえ、あの人誰?」
「誰だよ。あのイケメン」
「彼の名前は、壁」
「かっこいい~」
「おい!お雪!彼氏ができたって本当か?」
「うん」
「どんな奴なんだ?」
「彼は、壁さん」
「は?」
「名前は、壁さん」
「はあ~?なんだそりゃ?」
「だから、名前は、壁さんだよ」
「ふざけんな!男の名前なんてきいてねぇよ!どこで出会ったとか聞いてんの!」
「雪姉の友達を紹介してもらった」「はぁ~?雪姉だと?」
「うん」
「どういうことだ?」
「私のいとこの雪姉の紹介」
「へー?」
「私にも誰か紹介してもらえないかな?」
「お雪のいとこってあの美女か?まじかよ」
「うん」
「おめでとう!よかったじゃん!お雪!」
「ありがとう。みんなのおかげです」
「なにが?」
「なんでもない」
「あっそ、なんかあったら相談しろよ!」
「ありがとう」
「はい、席につけ!」
先生が入ってくる。「おーし!授業始めるぞー」
☆☆☆
授業が終わり、帰る準備をする。
「雪、帰ろうぜ」「うん」
校門を出るとあいつが待っていた。
「壁、待っててくれたの?」
「ああ」
「ありがとう」
私は、あいつの腕にしがみつく。
「なんだ?」
「なにって腕を組んでるんだけど?」
「そうか」
「うん」
私は、あいつと手を繋ぐ。
あいつの顔が赤くなってるような気がする。
「なあ、私達って恋人同士に見えるかな?」
「わからん!」
「きっと見える!周りからは、どう見えるかわからないけど、少なくとも私は、あんたのこと好きだよ」
「そうか」
☆☆☆
家に帰る。
「ただいま」
「おかえり、今日も壁と帰って来たのか?」
「うん」
「ふ~ん、仲良いね」
「うん」
「あんなに楽しそうな顔してるとこ初めて見たかも」
「え?そんなに笑って笑ってた?」
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