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宇宙海賊ランツベルク一味
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修也は慌ててブラスターの熱線を回避した。避けることなど不可能のように思われたのだが、体を転がすことで熱線を避けることに成功した。
だが、それと同時に修也の行動は自身の身を危険に晒すという行動にも繋がっていった。無防備な体が一瞬ではあるものの地面の上に転がっているのだ。
絶好ともいえる隙を逃さないルドルフではなかった。
ルドルフは続け様に熱線を発射していったのだが、直撃を受ける前に悠介がカプセルを押し、仮面の戦士への変貌を遂げた後で自らの腰に下げていたレーザーガンを発射したことによってルドルフの握っていたブラスターが地面の上へと転がっていき、ルドルフに一瞬の隙ができた。
それを見たジョウジがルドルフの頭部に手刀を喰らわせ、衝撃による呻き声を上げさせた。
その後で背後にいた部下の一人からビームライフルを奪い取り、貨物室の中で無茶苦茶に乱射していった。
これにより熱線が辺りに飛び散っていく羽目になった。あちこちの壁や地面に熱線が飛び、次々と抉られていくのが見えた。状態の悪いホースで撒いた水のように乱暴に飛び散っていく熱線を見て部下やルドルフは慌ててその場から逃げ出していった。それを見たジョウジが慌てて貨物室の扉を内側から閉めていった。
これで貨物室には敵の姿が消えていった。いくら見渡しても味方の姿しか見えないのは安心できる。
修也は安堵の深い溜息を吐いてから、
「すいません。ありがとうございます。助かりました」
と、功労者であるジョウジにお礼の言葉を述べていった。
「礼には及びませんよ。それよりもここから先のことを考えましょう」
戦いの興奮が冷めない修也とは対照的に落ち着いた口調で答えた。
「決まってるでしょう! 我々がやるべきことは悪質極まる宇宙海賊の手から我々の荷物を奪い返し、今後の交易を順調に進めていくことですよ!」
悠介の言葉はどこか大袈裟だった。例えるのならば為政者が国民を相手に訴え掛けているかのような大きな声であった。
修也は瞼を閉じ、自分の息子が演説をできるようになるまで成長したことを喜んでいた。
しかしうんうんと満足そうに首を動かしている修也とは対照的にジョウジは明らかに迷惑そうな顔を浮かべていた。
「本当にそんな行き当たりばったりの方法で上手くいくと思っているんですか?」
と、本気のトーンで問い掛けた。
真面目な顔で顔を見てくるジョウジの問い掛けを前に流石の悠介も具体的な方法を示さなくてはならならなくなった。そればかりではない。この船のどこかに捕らえられている麗俐とカエデの二人を救出しなくてはならないのだ。
どうにかして荷物も回収しなくてはならない。
それらの課題を解決する具体的な解決案に関してだが、正直に言って今の悠介には何も思い付かなかった。
お手上げの状態である。悠介が腕を組んで唸り声を上げていた時だ。
外からピッと電子音の音が鳴り響いていった。どうやら別にあった電子キーを回してもう一度攻撃を仕掛けてきたらしい。
ビームライフルを両手に持った男たちが血走った目で修也たちを睨み付けていた。
「悠介、下がっていなさい」
修也はそう言って息子を背後に下がらせると、カプセルを使って自らの姿も仮面の戦士へと変え、貨物室の荷物の陰に身を隠しながらレーザーガンを片手に海賊たちと銃撃戦を繰り広げていった。
その背後でビームライフルを構えたジョウジが後方支援を行なっている。
ここで悠介を銃撃戦に加わらせなかったのは悠介の手を血で汚させたくなかったからだ。手を汚すのは自分たちだけでいい。
修也はそう考えて積極的な戦いに身を任せていた。
積極的な戦意に応じて海賊側の戦闘員たちも貨物室と廊下を繋ぐ扉の背後や壁に身を隠しながら攻撃を続けているが、今のところ順調に勝負を進めているのは修也たちの側であった。
この時、親の心も知らずに不満を覚えたのは悠介である。悠介は安全のため銃撃戦が始まるのと同時に自らの身もパワードスーツで身を固めていたのだが、一向に出番というものが与えられないのだ。
銃撃戦に加わっているのは修也やジョウジだけで、自分は隠れているだけだ。
そんなことはあってはならない。悠介はレーザーガンを片手に身を乗り出し、海賊一味に向かってレーザー光線を発射した。
悠介の放ったレーザー光線は悪漢の右肩を貫き、地面の上へと倒していった。
「よっしゃ!」
その光景を見た悠介は両手を上げて歓声を口にした。この時の悠介は確実な勝利を信じて疑わなかった。
だが、悠介は戦闘のプロではない上に経験も浅かった。そしてそのことを海賊一味は見抜いたらしい。
両手を上げる悠介の胴体を目掛けて引き金を引いたのだった。悠介は油断していたこともあって胴体に熱線を直撃してしまう羽目になってしまった。
悠介は悲鳴を上げながら地面の上に倒れていった。
「悠介!」
息子が銃撃戦に巻き込まれた上にそこで倒れたことを知った修也は慌てて悠介の元へと向かっていこうとしたが、その地面の前に熱線を放たれたことによって目の前の戦闘に集中するより他になかった。
「クソッ、こいつら手強いな」
目の前で仲間の一人が倒れたにも関わらず、戦闘を続行しようとする修也たちを見て海賊の一人が呆れたように言った。
「そうだよな。グズグズしてたらこっちが殺されちまうわな」
もう一人が前方に向かって必死にビームライフルを放ちながら仲間の愚痴に答えていた。
「フン、もういい。所詮テメェらはその程度が限界ってことよ」
会話をしていた二人が引き金を引く手を止め、背後を振り返っていく。そこには青い色の『ロトワング』を装着したルドルフ・ラッセンベルクの姿が見えた。
「ぼ、ボス」
「退きな。こいつとの決着はオレのこの手で付けてやる」
ルドルフはそう言うと部下たちを押し除け、一人で貨物室の中へと入っていった。
それからレーザーガンやビームライフルによる攻撃をものともせずに進んでいき、修也たちとの距離を縮めていった。
それからある程度まで近付いたところで手に握っていた電流鞭を修也たちの元へと伸ばしていった。
電流鞭が触れると『メトロイドスーツ』を纏っている状況であるにも関わらず、修也の体全体に電流が迸っていった。
修也は悲鳴を上げながら地面の上へと倒れ込んでいった。
「ちっ、ちくしょう……」
修也はそのまま膝を上げて立ちあがろうとするものの、ルドルフはそんな修也の体を勢いよく蹴り飛ばしたのだった。
それからそのまま電子鞭を修也の首へと巻き付けて勢いよく引っ張り上げていった。
ルドルフの狙いは絞殺である。鶏農家が鶏を締め上げるかのように首を絞め上げて殺そうとしていたのだ。
修也は悲鳴を上げつつも必死に抵抗した。この時それまで武器として用いていたレーザーガンを戻し、腰に下げていたビームソードを抜いて電子鞭に向かって振り上げていった判断は英断であると褒め称えるべきだろう。
修也は実際これで電子鞭を斬り、ルドルフの武器を奪い取ったのだった。
それからルドルフの体に向かって右足を使っての蹴りを喰らわせた。
ルドルフは地面の上に倒されていった。そしてそのヘルメットに使って修也は険しいストレートを食らわせていった。
それから悲鳴を上げながら地面の上へと倒れようとするルドルフに対して続け様に強烈な右フックを喰らわせた。
顎に鈍器のような鋭い一撃を喰らったこともあってルドルフは何も言わずに地面の上へと倒れ込んでいった。
修也はそのままルドルフの背中に向けてビームソードを突き刺そうとしたが、ふと考えが変わったのか、ルドルフを引っ張り上げ、腕を掴んで体を盾のように前方へと押し出していった。
その後で当惑するルドルフの首元にビームソードを突き付けていった。
今この瞬間に船長であるルドルフは人質となった。
だが、それと同時に修也の行動は自身の身を危険に晒すという行動にも繋がっていった。無防備な体が一瞬ではあるものの地面の上に転がっているのだ。
絶好ともいえる隙を逃さないルドルフではなかった。
ルドルフは続け様に熱線を発射していったのだが、直撃を受ける前に悠介がカプセルを押し、仮面の戦士への変貌を遂げた後で自らの腰に下げていたレーザーガンを発射したことによってルドルフの握っていたブラスターが地面の上へと転がっていき、ルドルフに一瞬の隙ができた。
それを見たジョウジがルドルフの頭部に手刀を喰らわせ、衝撃による呻き声を上げさせた。
その後で背後にいた部下の一人からビームライフルを奪い取り、貨物室の中で無茶苦茶に乱射していった。
これにより熱線が辺りに飛び散っていく羽目になった。あちこちの壁や地面に熱線が飛び、次々と抉られていくのが見えた。状態の悪いホースで撒いた水のように乱暴に飛び散っていく熱線を見て部下やルドルフは慌ててその場から逃げ出していった。それを見たジョウジが慌てて貨物室の扉を内側から閉めていった。
これで貨物室には敵の姿が消えていった。いくら見渡しても味方の姿しか見えないのは安心できる。
修也は安堵の深い溜息を吐いてから、
「すいません。ありがとうございます。助かりました」
と、功労者であるジョウジにお礼の言葉を述べていった。
「礼には及びませんよ。それよりもここから先のことを考えましょう」
戦いの興奮が冷めない修也とは対照的に落ち着いた口調で答えた。
「決まってるでしょう! 我々がやるべきことは悪質極まる宇宙海賊の手から我々の荷物を奪い返し、今後の交易を順調に進めていくことですよ!」
悠介の言葉はどこか大袈裟だった。例えるのならば為政者が国民を相手に訴え掛けているかのような大きな声であった。
修也は瞼を閉じ、自分の息子が演説をできるようになるまで成長したことを喜んでいた。
しかしうんうんと満足そうに首を動かしている修也とは対照的にジョウジは明らかに迷惑そうな顔を浮かべていた。
「本当にそんな行き当たりばったりの方法で上手くいくと思っているんですか?」
と、本気のトーンで問い掛けた。
真面目な顔で顔を見てくるジョウジの問い掛けを前に流石の悠介も具体的な方法を示さなくてはならならなくなった。そればかりではない。この船のどこかに捕らえられている麗俐とカエデの二人を救出しなくてはならないのだ。
どうにかして荷物も回収しなくてはならない。
それらの課題を解決する具体的な解決案に関してだが、正直に言って今の悠介には何も思い付かなかった。
お手上げの状態である。悠介が腕を組んで唸り声を上げていた時だ。
外からピッと電子音の音が鳴り響いていった。どうやら別にあった電子キーを回してもう一度攻撃を仕掛けてきたらしい。
ビームライフルを両手に持った男たちが血走った目で修也たちを睨み付けていた。
「悠介、下がっていなさい」
修也はそう言って息子を背後に下がらせると、カプセルを使って自らの姿も仮面の戦士へと変え、貨物室の荷物の陰に身を隠しながらレーザーガンを片手に海賊たちと銃撃戦を繰り広げていった。
その背後でビームライフルを構えたジョウジが後方支援を行なっている。
ここで悠介を銃撃戦に加わらせなかったのは悠介の手を血で汚させたくなかったからだ。手を汚すのは自分たちだけでいい。
修也はそう考えて積極的な戦いに身を任せていた。
積極的な戦意に応じて海賊側の戦闘員たちも貨物室と廊下を繋ぐ扉の背後や壁に身を隠しながら攻撃を続けているが、今のところ順調に勝負を進めているのは修也たちの側であった。
この時、親の心も知らずに不満を覚えたのは悠介である。悠介は安全のため銃撃戦が始まるのと同時に自らの身もパワードスーツで身を固めていたのだが、一向に出番というものが与えられないのだ。
銃撃戦に加わっているのは修也やジョウジだけで、自分は隠れているだけだ。
そんなことはあってはならない。悠介はレーザーガンを片手に身を乗り出し、海賊一味に向かってレーザー光線を発射した。
悠介の放ったレーザー光線は悪漢の右肩を貫き、地面の上へと倒していった。
「よっしゃ!」
その光景を見た悠介は両手を上げて歓声を口にした。この時の悠介は確実な勝利を信じて疑わなかった。
だが、悠介は戦闘のプロではない上に経験も浅かった。そしてそのことを海賊一味は見抜いたらしい。
両手を上げる悠介の胴体を目掛けて引き金を引いたのだった。悠介は油断していたこともあって胴体に熱線を直撃してしまう羽目になってしまった。
悠介は悲鳴を上げながら地面の上に倒れていった。
「悠介!」
息子が銃撃戦に巻き込まれた上にそこで倒れたことを知った修也は慌てて悠介の元へと向かっていこうとしたが、その地面の前に熱線を放たれたことによって目の前の戦闘に集中するより他になかった。
「クソッ、こいつら手強いな」
目の前で仲間の一人が倒れたにも関わらず、戦闘を続行しようとする修也たちを見て海賊の一人が呆れたように言った。
「そうだよな。グズグズしてたらこっちが殺されちまうわな」
もう一人が前方に向かって必死にビームライフルを放ちながら仲間の愚痴に答えていた。
「フン、もういい。所詮テメェらはその程度が限界ってことよ」
会話をしていた二人が引き金を引く手を止め、背後を振り返っていく。そこには青い色の『ロトワング』を装着したルドルフ・ラッセンベルクの姿が見えた。
「ぼ、ボス」
「退きな。こいつとの決着はオレのこの手で付けてやる」
ルドルフはそう言うと部下たちを押し除け、一人で貨物室の中へと入っていった。
それからレーザーガンやビームライフルによる攻撃をものともせずに進んでいき、修也たちとの距離を縮めていった。
それからある程度まで近付いたところで手に握っていた電流鞭を修也たちの元へと伸ばしていった。
電流鞭が触れると『メトロイドスーツ』を纏っている状況であるにも関わらず、修也の体全体に電流が迸っていった。
修也は悲鳴を上げながら地面の上へと倒れ込んでいった。
「ちっ、ちくしょう……」
修也はそのまま膝を上げて立ちあがろうとするものの、ルドルフはそんな修也の体を勢いよく蹴り飛ばしたのだった。
それからそのまま電子鞭を修也の首へと巻き付けて勢いよく引っ張り上げていった。
ルドルフの狙いは絞殺である。鶏農家が鶏を締め上げるかのように首を絞め上げて殺そうとしていたのだ。
修也は悲鳴を上げつつも必死に抵抗した。この時それまで武器として用いていたレーザーガンを戻し、腰に下げていたビームソードを抜いて電子鞭に向かって振り上げていった判断は英断であると褒め称えるべきだろう。
修也は実際これで電子鞭を斬り、ルドルフの武器を奪い取ったのだった。
それからルドルフの体に向かって右足を使っての蹴りを喰らわせた。
ルドルフは地面の上に倒されていった。そしてそのヘルメットに使って修也は険しいストレートを食らわせていった。
それから悲鳴を上げながら地面の上へと倒れようとするルドルフに対して続け様に強烈な右フックを喰らわせた。
顎に鈍器のような鋭い一撃を喰らったこともあってルドルフは何も言わずに地面の上へと倒れ込んでいった。
修也はそのままルドルフの背中に向けてビームソードを突き刺そうとしたが、ふと考えが変わったのか、ルドルフを引っ張り上げ、腕を掴んで体を盾のように前方へと押し出していった。
その後で当惑するルドルフの首元にビームソードを突き付けていった。
今この瞬間に船長であるルドルフは人質となった。
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