巡りくる季節の途中で
小さい頃に出会ったあの子は、あたしのヒーローだった。
『きみ、つよいね。リクは、よわい子だから』
春の満開の桜も、夏の蝉時雨の暑さも、秋の木漏れ日の落ち葉も、冬の積雪の冷たさも、全部ぜんぶ通り過ぎても、もう、あの子に会えることは、なかった。
巡りくる季節の途中、また会えたと思ったのに、あたしのことは覚えていなかった。
相変わらず人気者のヒーローは、やっぱり時々、寂しそうな目をしていた。
本当は──
『ぼくは、つよくなんてない』
小さい頃から体が弱くて、心まで弱くなってしまった梨紅と、いつもみんなの中心にいる憧れの存在、一葉。
十年後に再び再会した二人は、お互いの弱さと強さを認め合っていく……
表紙:自作
『きみ、つよいね。リクは、よわい子だから』
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本当は──
『ぼくは、つよくなんてない』
小さい頃から体が弱くて、心まで弱くなってしまった梨紅と、いつもみんなの中心にいる憧れの存在、一葉。
十年後に再び再会した二人は、お互いの弱さと強さを認め合っていく……
表紙:自作
第一章 あれから十年
第二章 開店「和やか」
第三章 恋の事情
第四章 仲直りの仕方
第五章 カフェ巡り好きの同級生
第六章 家族のこと
第七章 花火大会
最終章 ありのままのヒーロー
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