巡りくる季節の途中で

 小さい頃に出会ったあの子は、あたしのヒーローだった。

『きみ、つよいね。リクは、よわい子だから』

 春の満開の桜も、夏の蝉時雨の暑さも、秋の木漏れ日の落ち葉も、冬の積雪の冷たさも、全部ぜんぶ通り過ぎても、もう、あの子に会えることは、なかった。

 巡りくる季節の途中、また会えたと思ったのに、あたしのことは覚えていなかった。
 相変わらず人気者のヒーローは、やっぱり時々、寂しそうな目をしていた。
 本当は──

『ぼくは、つよくなんてない』

 小さい頃から体が弱くて、心まで弱くなってしまった梨紅と、いつもみんなの中心にいる憧れの存在、一葉。
 十年後に再び再会した二人は、カフェ「和やか」で出逢う人たちやご飯を通してお互いの弱さと強さを認め合っていく……

表紙:自作
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